32、神の炎
「これより、儀式を開始する。聖女様をここへ」
私は騎士達に教皇ウィールの前まで連れられて行かれる。
聖堂の中には多くの国民が祈りを捧げ、騎士達が壁際に立ち監視している。
私は教皇の前に膝をつかされ、教皇は剣を引き抜く。
「神よ。呪われし者を封じる為に、尊き命を奪う我らをお許しください。
どうか我々にあなた様の奇跡をもたらし、この者の魂を導いて下さい」
教皇が剣を構え振り上げたその瞬間、轟音が鳴り響き聖堂の扉を傷だらけの騎士達が突き破って現れる。
「な、何事だ!」
「こういう事だ!」
ゴルディアーナ騎士団長が黄金の槍を振るい教皇に攻撃を仕掛け、ゾルが飛び出してくるが教皇を巻き込んで吹き飛ばす。
「聖女様、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。それよりも、何故ここにいるんですか?夜月様達はどうなったんですか?」
「夜月殿は今は仲間たちと一緒にいて、生きています。私は聖女様を助けに参りました」
ゴルディアーナは私の縄を斬り、突然のことで混乱している国民に紛れ逃走する。
聖堂を出ると大勢の騎士達が駆けつけてきて、私たちを捕らえようとするがゴルディアーナが槍を振るう度、騎士達は吹き飛ばされる。
「流石は元聖堂騎士団長だね。だけど無駄だよ。またあの時の様に僕に負けるんだから」
「そうならない為に、俺はあの後も鍛えてきたんだ。俺はお前を道ずれにしてでも倒す!」
ゴルディアーナの体を黄金の炎が包み込む。
「いくぞ!」
ゴルディアーナが地面を抉りながら走り出し、ゾルに横凪の攻撃をする。
ゾルは剣で受け止めるが耐えきれず吹き飛ばされる。
吹き飛ばされた先にゴルディアーナがいつの間にかいて、ゾルをかち上げると自分も跳び連続で突きを放つ。
ゾルは突きを全て避けゴルディアーナの体を剣で突くが、その体に傷を付けることが出来ない。
ゾルを槍で殴り地面に叩きつける。
「何で僕の剣が刺さら無かったんだ」
「あいつ、神の炎を使ってやがるのか!」
ゾルの隣りに現れた黒いローブを纏った忌々しそうに言う。
しかし、すぐに笑い始める。
「馬鹿め。神殺しに選ばれただけの人間が、あの炎を扱えるわけが無いだろう。
お前の命は持ってあと1分ってところだろう」
「笑いたければ笑え。私はお前を殺す為にここに来た。
私の娘を護る為なら、私はこの命を燃やし尽くしてもいい!」
ゴルディアーナは振り返り私の顔を見る。
左頬に一筋の涙が流れているのが見えた。
「アリア、もう少しで夜月殿達が来る。この場を離れ、夜月殿達と合流するんだ」
光の馬が出現し、私を鎖でその馬の背に縛り付ける。
「お父さん!」
「行くんだ!」
光の馬は走り出し、お父さんの姿は一瞬で見えなくなった。
俺は槍を構える。
体の一部が灰となり初めている。
急がねばいけない。
「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
槍に炎が集まり燃え上がる。
灰になる速度が速まるが、俺の頭にはゾルを殺すことしか無かった。
「これで終わりだ!」
「ぐあああああああああああああああああぁぁぁ!崩れる!体が崩れる!僕の体が!」
槍がゾルの心臓を貫き、その部分を中心にヒビが入り爆裂する。
吹き飛んだゾルの破片や体は一気に灰になり消え去る。
俺は地面に倒れる。
槍の炎がゆっくりと小さくなっていく。
「終わった。これで終わったんだ。夜月殿、あとは頼みました」
「クヘヘヘヘヘ。ケ~へへへへへへへへ!残念だったな!」
突然、灰が舞い上がりゾルが消えた場所へと集まる。
灰は腕や脚を形作っていく。
「キャヘヘヘヘヘヘヘ!俺は死を司る神だ。死んだ人間を蘇らせることなど俺には簡単な事なんだよ!」
「無駄死にだね」
「そうでも無いぞ」
その声が聞こえた瞬間、ゾル達は吹き飛んでいく。
「ゴルディアーナ、娘残して死ぬんじゃねぇよ。
ゾル達は俺が殺すが文句を言うなよ」
夜月殿が触れると、灰になっていた体が元に戻る。
「あとは俺たちに任しておけ」




