30、ゾル
「一体、どうなっているんだ!」
教皇様に聖女様奪還、裏切り者の聖騎士団長ゴルデイアーナと主犯の空風夜月、その仲間達の殺害を命令された。
我々は聖騎士団5000人に冒険者2500人を引き連れて来た。
それにも関わらずたった3人に負けている。
3人の周りには死体が幾つも転がっている。
「あれにどうやって勝てばいいんだ!」
「すいません。遅れました」
「おぉ、勇者様方!来てくれましたか」
勇者様方が現れたことで、我々に希望が生まれる。
「兵を引いてください。ここからは僕達が戦います」
「敵が引いていくな」
「あら、強そうな子達が来るじゃないの」
振り返ると、クラスメイト達がやって来る。
「あいつらか」
「あら、知り合いなの?」
「俺達と一緒にこの世界に召喚された仲間達だよ」
「そうなの?そのわりには殺す気満々のようけど」
魔法がこちらに向かって放たれる。
俺は銃を取り出し魔法に向けて撃つと、魔法は潰れ消える。
「何をやったの!?」
「これで重力魔法を魔法に撃って潰したんだよ」
俺はさらにクラスメイト達に向けて撃つ。
重力魔法が発動し、クラスメイト達は地面に這いつくばる。
今ので全員を潰すはずだったが、思ったよりも強くなっていたようだ。
俺はもう1発撃とうとして構えたが、すぐに狙いをクラスメイト達からその後ろに立っている少年に向けた。
少年の背後には、ボロボロの黒いローブを纏った骸骨が立っている。
「僕と同じ人を初めて見たよ」
「お前には私の力がある。さっさと殺してしまえ」
「分かってるよ」
少年は髑髏であしらわれた悪趣味な剣を引き抜く。
「ゴルディアーナ、あいつがゾルとか言う奴か?」
「そうよ。あの子の攻撃を受けたり触れられたら駄目よ。それだけで、あの子と戦った人達はみんな死んだんだから」
「来るぞ!」
少年が跳んで来て一優に向け剣を振るうが、それを割って入り剣で受け止めカウンターを放つ。
だがすぐに距離をとられ俺は巨大な火球を撃つがゾルの剣に斬られた瞬間、何も無かったかのように消え去る。
「僕には君の攻撃は効かないよ」
「面倒な能力だな」
「死ね!」
少年の背中から真っ黒な靄が現れ、それが無数の腕に変化する。
真っ黒な腕は四方八方に飛んで行き、触れられた聖騎士達が干からびていく。
「これは不味いわ!」
「避けろ!絶対に触れられるな!」
「キャー!」
振り帰るとソフィ達と逃げたはずの聖女がいた。
聖女は恐怖で体が固まり逃げることができない。
俺は駆け抜け、聖女の代わりに真っ黒な腕を受ける。
体中に激痛が走り、再生が何度も繰り返される。
「夜月さん!ごめんなさい」
「早く逃げろ!お前が捕まったら終わりなんだぞ!」
「逃がさないよ」
ゾルが聖女を捕まえる。
動こうとしたが腕が俺に集中して向かってきて俺は倒れた。
ゴルディアーナと一優は、聖騎士達に囲まれ鎖で縛られている。
「驚いたよ。僕の力で死なない人間がいたなんてね」
「おい、そいつを離せ!」
「それでもいいよ。どうせ、もう1人いるんだから」
「どういう事だ!」
「君の妹だよ。彼女も聖女の力を持っているからね。聖女が捕まえることができなくても、君の妹を使えばいいんだからね」
それを聞いた俺は、激しい怒りが込み上げてくる。
干からびた両足で立ち上がり剣を構えた。
僕は目の前の光景を信じられずにいた。
両足は干からび立ち上がることは不可能なはずなのに、立ち上がり剣を構えている。
そして、巨大で強烈な殺気が僕を襲う。
相手は今にも死にそうなのに、恐怖している僕がいる。
ふざけるな!こんな奴に負けるわけない!僕は最強なんだ!
「ゾル、戻るぞ!」
「どうして止めるんだよ!」
ヨルモが隣りに現れ、僕に止めろと言う。
「目的は達成した。わざわざその男をお前が相手にする必要は無い。あとは部下に任せて戻るぞ」
「そうだね。わかったよ。
お前達、僕は先に聖女を連れて戻る。その男達を始末するんだ」
僕は転移魔法を発動し、聖女を連れ戻る。
黒い魔法陣の中に聖女が消えていく。
聖騎士達が向かい、剣を振り下ろす。
「夜月!」
その瞬間、振り下ろそうとした聖騎士の体がばらばらになる。
夜月がゆっくりと歩き出す。
何が起きたのか分からなかったが、夜月の近くにいた聖騎士達がばらばらに斬られ死んでいく。
「何だ!何が起こっているんだ!」
「来るな!近づくんじゃねぇ!ぎゃああああ!」
夜月を止めようとした者や近づかれた者達が殺されていく。
だんだん俺達の方に近付いてきて、目の前にまで来たとき夜月は倒れる。
「今だ!殺れ!」
「させるか!」
チャンスとばかりに聖騎士達が駆け寄ってくる。
俺は鎖を引きちぎり、大剣を掴み魔力を流す。
大剣が光り輝き、俺は地面に突き刺す。
俺達を囲むように鋭く尖った岩が出現し、聖騎士達を串刺しにしていく。
「夜月!しっかりしろ!」




