27、聖女
「ありがとうございます。あなたのお陰で村の皆が助かりました」
村の長老が頭を下げる。
聖騎士達を始末した後、俺達は村人の手当てをした。
獣人の少女はすぐに元気になり、ソフィラと遊んでいる。
「これからどうするんですか?」
「私達が暮らせる様な場所は、この国にはもう存在しません。エスペラント王国に1度避難し、そこから今後の事を考えます」
元気になった村人が、旅の支度を開始する。
長老はその様子を見る。
「この国もすっかり変わってしまった。昔は、聖騎士もこんな事をしなかった。
あの男が教皇になってから全て狂ってしまった」
「昔は違ったのか?」
「昔はこの国にも多くの獣人が住んでいました。
先代の教皇様はお優しい方で、我々が困っていると誰よりも先に来て助けて下さいました。
教皇様が亡くなられると右腕だったウィール枢機卿が現在の教皇になりました。
更に聖女様が亡くなるとウィールを止める者はいなくなり、ウィールはこの国から獣人達を追い出しました。
たった16年で現在のこの国になりました」
長老は悲しそうな顔でそう話した。
その時、村人達が集まって騒ぎ始める。
何事かと思って近付くと、3人の騎士を連れた少女が現れる。
「聖女様が、何故ここに!?」
「聖女様?」
「はい。あそこにいらっしゃる方が先代の実の娘であり、現在の聖女様であるナタリア様です」
聖女が1人の騎士に支えられながらこちらに近付いてくる。
聖女の両眼は包帯で巻かれていた。
「ありがとうございます。村人達を救ってくれて感謝します」
「聖女が何でこんな所にいるんだ?」
「その事でお話があります。私達を国境まで護衛してくれませんか?」
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「集まってくれたか」
暗い一室に5人の人物が集まっていた。
「あの小娘は見つかったか?」
「えぇ、勿論ですよ。私の使い魔達が見つけてくれました。
ですが、少々問題があります」
「どうした?」
「聖女の周りには、元聖騎士団長と聖堂騎士隊長の3人が付いていますね。更に爵位持ちの悪魔を複数召喚する少年がいました」
「何!?」
私は思わず立ち上がる。
「そんな奴がいるとは………」
「ウィール様、僕がいるから大丈夫ですよ。どんなに強くても僕にとっては唯の人間ですから」
「そうです。それより、早く聖女を連れて来て儀式を行わなければいけません」
その通りだ。
この機会を逃せば、次に儀式が出来るのは100年後だ。
何としても、あの小娘を捕まえなければいけない。
「聖堂騎士団長、どんな手を使ってもいい。すぐに小娘を捕まえて来るのだ!」
「分かりました。もし、聖女が自殺した時はどうしますか?」
「その時は、勇者の仲間の聖女を使うまでだ」




