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落ちこぼれは伝説の女神と契約する  作者: 黒神レイ
二章 帝国と月狐族
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13、獣王

獣王が出ます。

あれから俺達はオルガーナに向け歩いていた。

途中、帝国兵や商人に化けた人攫いがいたので4人を捕縛し後は全員始末した。

こいつらは他の獣人も同時に運んでいて、その殆どがまだ小さな子供で、中には毎日のように暴力を振るわれ体中に痣があり弱っている子供もいた。

俺はネーロに荷台を繋げ、その中に助けた子供達を乗せてレインとセリスに治療をして貰う。

子供達は警戒していたが俺達が酷い事をしないと分かると、徐々に打ち解けていき今は楽しそうにレイン達と話をしている。

ちなみに一優は既に子供達と遊んでいた。

そんなこんなで俺達はオルガーナを目前にしていた。

巨大で無骨な城壁が囲み、門の前では獣人の兵士達が監視している。


「オルガーナにようこそ。どういったよう出来たんですか?」

「帝国に連れて行かれそうだった人達を届けに来たんだ。

帝国兵と人攫いも捕縛してあるからすぐに確認してくれ」


獣人の兵士達が急いで荷台に乗せている子供達を確認し、縄でぐるぐる巻きにされている帝国兵と人攫いをすぐに連行していく。

子供達は降ろされるとすぐにギルド方に連れて行く。子供達の両親がギルドにいるそうだ。

ソフィの事も頼んだが、行こうとしないので放置する事にした。

しばらくすると、鎧を纏った熊の獣人が他の獣人を引き連れ現れる。


「仲間を助けてくださり感謝します。

獣王様がお会いしたいと言うので、ついて来てください」

「分かりました」


俺達は獣人の兵士達の案内で獣王の城に向かって歩く。

街の中は活気で溢れているが、獣人の兵士や冒険者が所々で見張っている。

城の門には2人の羊の獣人が立っていて、俺達の姿を見ると扉を開ける。

そして俺達は玉座に座る、燃えているような赤い鬣の獅子の獣人に会う。


「ようこそ、オルガーナへ。

儂は獣王、炎獅子族のガリルと言う者です。

この度は子供達を助けて頂き感謝します」

「初めまして、俺は夜月です。獣王様、オルガーナでは何が起きているんですか?」

「現在オルガーナは帝国と戦争をしています。

帝国は各地の村を襲い、子供達がその混乱に乗じて連れ去られているのです」

「獣王様、もし連れ去れた獣人を全員連れ戻す事が出来ると言ったらどうしますか?」

「本当に出来るのか」

「はい、俺は特殊な魔法が使えます。その魔法で連れ去った獣人達がどこにいるのか、いつ帝国兵がオルガーナに攻撃を開始するのかも分かっています」


獣王や獣人の兵士達が話し合いを始める。

そして、すぐに俺達を見る。


「夜月殿、儂らはあなたを信じます。

どうか仲間を助けてください」

「分かりました。では、仲間を置いて行きます。

ネーロは俺と一緒に行動してもらう。

レインとティア、一優はここに残って俺が来るまでの間帝国兵から守っていてくれ。

それとセリスにも頼むけど、俺が来るまで殺さない用に」

「分かった、約束するからご褒美を頂戴」


俺はセリスに終わったらお菓子を作ると約束した。

そして俺はネーロと一緒に獣人の救出を始めた。



────────────────────────────────



ハイレールの大通りにある大きな4階建ての建物、表向きは『バリアース商会』という全国に支店がある巨大な商会だが、裏では金さえ貰えれば人攫いから暗殺まで何でもするこの世界最大の裏組織『ブラッティーボーン』の本拠地だ。

そして現在、慌ただしく人が出入りしている。


「何、アジトが次々潰されているだと!」

「はい、既に40以上が潰され護衛の帝国兵や冒険者達も全員皆殺しにされています。

しかも襲っているのはたった1人です」

「へ~、そんなに強い奴がいるのか」

「こっちにはSランクとAランク冒険者が10人いるんだ。

襲って来ても簡単に捻り潰せるわ!」


ドォカアアアアアアン!


爆音を響かせ、扉は粉々になって吹き飛ぶ。


「ここで最後だ」


俺は部屋の中に入る。

俺の姿を見た瞬間、相手は武器を構える。

奥の部屋からも続々と武器を持った相手が出てくる。


「ボス、襲撃者はあいつです!」

「野郎共、あいつをぶち殺せ!絶対に生きて返すな!」


その瞬間、部下達を突然現れた鎖が全身を縛り動け無くする。


「なっ!?」

「あんたが親玉だな。ここの地下に閉じ込めてる獣人達を解放して貰おうか」


俺が親玉に近付こうとすると矢が飛んでくる。

頭を少しずらして避けると、その間に巨大な盾を持った甲冑男と長さが2m以上ある大剣を構えた男がいる。

後ろの方には杖と矢をこちらに向けている男女もいる。


「俺はSランクの不屈のガリオスだ」

「同じくSランクの破壊斬のギル」

「私は鷹の目のナル」

「Sランク冒険者の灼熱のミリア」


ハイレールで活動しているSランク冒険者達で、同じパーティーメンバーでもある。


「俺達が雇われているときに来るとは、運の無い奴だ」

「変な仮面なんて被って」

「悪いことは言わねぇから、大人しく帰ってくんねぇか」

「それは出来ない」

「なら、死んでもらうしかない」

「その前にお前達が死ぬけどな」


俺はギルとの間合いを詰めると、その首を斬り落とした。

俺は大剣を死体から取り、後ろにいる2人のSランク冒険者に向け斬り掛かる。

3人の魔法職が前に出て障壁を張るが、それごと3人を斬る。

ミリアとナルが火球や風の刃を飛ばしてくるが、俺は大剣を振るい全て斬る。


「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!」


ガリオスが盾を前に構え突進し、俺を壁に押し付ける。


「ナル、ミリア!お前達は他の奴らを連れて逃げろ!」

「でも、ガリオスはどうするの!」

「俺は時間を稼ぐ!だから早く行け!」


ミリアとナルは仲間を連れて出ていく。

ブラッティーボーンのボスが必死に呼び止めようとするが腰が抜けて動けない。

俺はガリオスを盾ごと殴り吹き飛ばす。

俺はゆっくりブラッティーボーンのボスに近付き、大剣を振り落とす。

両足が切断され、痛みで地面をのたうち回る。


「待て、まだ俺は生きてるぞ」

「俺の目的はこいつであって、お前達じゃない。

今回だけは見逃してやるから、さっさと出ていけ。

それともここでお前も死ぬか?」


ガリオスはゆっくり立ち上がると出ていった。

俺はそれを確認するとブラッティーボーンのボスを見る。


「それでお前はどうする?」

「頼む。解放するから助けてくれ!」

「地下室に行くにはどうすればいい」

「暖炉が入り口になっている」


俺はブラッティーボーンのボスを連れ1階の暖炉に向かう。

暖炉を蹴りで破壊すると、階段が現れる。

階段を降り薄暗い通路を歩くと扉があり中に入る。

酷い悪臭のする部屋の中には、大勢の獣人達が檻に入れられている。


「ここにいるので全員だな」

「はい」


俺は檻の鍵を開け獣人達を外に出していく。

最後の檻には体中に痣や切り傷があり、左眼が潰れた猫人族の少女がいた。

俺は少女に回復魔法をかけ、更に再生魔法で潰れた左眼と体の傷を治す。

そのままおぶると獣人達を連れ外に出る。

そして、入る前に掛けておいた魔法を発動させる。

一瞬で炎が建物を飲み込み、中から悲鳴が聞こえてくる。

俺は獣人達を荷台に乗せていく。

おぶっていた少女も乗せようとしたが、服を掴んで離さなかったので仕方無く俺の隣に座らせると、急いでオルガーナに向け出発した。



────────────────────────────────



少し時間を巻き戻す。

オルガーナから離れた場所にある大河。

帝国兵や傭兵、冒険者達がテントを広げ、オルガーナを攻撃するときを待っていた。


「何、黒骸騎士団が殺られただと!」

「はい、朝にオルガーナを偵察してくると行ったきり全員戻って来なかったので捜索したところ、黒骸騎士団全員の死体を発見しました」


帝国の第一皇子であるフランクは椅子を蹴り飛ばす。

フランクは焦っていた。

帝国は強さが全ての国で、強ければ罪も許され貴族にもなれる。

フランクの父である現皇帝が倒れ、今帝国では誰が次の皇帝になるかで争っている。

皇帝になるには力を示さなければならない。

フランクは長年争っているオルガーナを潰す事で力を示そうと考えていた。


「あの馬鹿共が!」

「おやおや、随分荒れていますね」

「おお、モルドーか」


商人のモルドーが入ってくる。

モルドーとは2年前からの付き合いで、彼の持ってくる珍しい武器や道具を何度も買っている。


「どうしてここにいるんだ?」

「私はフランク様に皇帝になって欲しいので、少しでもお役に立てる用にとここに参りました」


そう言ってモルドーは懐から3つの玉を取り出し、フランクに渡した。


「これは何だ?」

「この玉にはSランク級の魔物が封じ込まれています。

玉に魔力を込めると封印が解け、魔物は魔力を注いだ者の意のままに操ることが出来ます」

「それは凄いな!」

「それともう1つ、入って来てくれ」


ローブを纏った男が中に入ってくる。

歳は16~18ぐらいで、美形でひと目でこの中にいる誰よりも強い事が分かる。


「この者は一体誰なんだ」

「彼は異世界から来た勇者で、名を白河勇也と言います。

彼があなたの力になってくれます」

「フランク様、私はあなたが皇帝になれる様に力を貸します」

「おお、よろしく頼む。

ハハハハ、これであの獣の共を一掃できるぞ!

急いで全員に伝えろ。早朝に攻撃を開始する!」


そう言って、勇也と部下を引き連れフランクは出ていく。

モルドーはその様子を楽しそうに見ていた。







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