16話 俺、柄にもなく諫めます
「こ、婚約!?こんにゃくじゃなくてですか!?」
「こんにゃく・・・?」
「なんですか、それは?」
・・・お、話が逸れた。
「こんにゃくっていうのはな、こう・・・まぁ食べ物なんだけど、灰色とか白のプルプルしたゼリー状なんだ!見た目は素朴だけど美味しいんだよ!」
「ふむ・・・まぁ、そんなことは今はどうでも良いですわ」
「・・・へ?あ、あぁ、そうでした、こんにゃくはまた後で良いとして・・・」
「えっ、良いの?」
「もちろんですわ。さぁ、ユウキ様。サナとモナ、どちらを選びますか?」
「ますか?」
多分、いつもの俺の様子を見ている第三者がいたとしたら、ここで俺はまた美少女に積極的なアプローチを受けて喜びつつもヘタレるのだろうと思うのだろう。だがしかし、俺はそこまでチョロくない。
いや、実際そういう意見があったとしたら否定は出来ないのだが、この双子についてはちょっと違う。だって、俺はコイツらのことを全く知らないのだ。しかも、本気かどうかも怪しい。いくらなんでも初対面の男に結婚してくださいとか言い寄るような女は信用ならない。
「ま、待て待て、2人とも。まずは自己紹介といこう」
「ハッ。サナとしたことが」
「モナとしたことも・・・。これは申し訳ありません」
「よーし・・・。じゃあまず俺から自己紹介を。俺は知っての通り『アトラス』所属のサクマ=ユウキ准尉です。今のところ結婚願望はありません」
もちろん、ウソだ。いつか素晴らしい女性に出会って幸せに暮らしたいです。だが、それは今じゃない。
「えええっ!?」
「それはもう少しお考えくださいな!?」
「ないものはないですからね。それで、お二方は?見たところ軍関係者には見えないけど?」
「サナはサナ=ベルトリアです」
「モナはモナ=ベルトリア。以後お見知りおきを・・・いえ、今から誓いを立てていただくので以後もなくより親密な仲になりますが」
「2人ともそっくりすぎて見分けがつかないなぁ・・・」
見た目に限らず声もそっくりだし、なにかパッと見て分かる差のようなものはないのだろうか。
「サナとモナの見分けがつかないのであれば、目を見てくださいませ」
「モナは目の色が青ですが、サナは赤なのです」
「あ、ホントだ。えっと、じゃあ右の赤いのがサナで、左の青いのがモナか」
「そうなりますわ」
「それで・・・どちらがよろしいですか?」
「・・・・・・」
誰か助けてください。結婚の押し売りとか、ウチはそういうの結構ですので。
というか、そうだ。俺は確かにこの2人のどちらかと結婚する理由がないが、あちらはどうなのだろう。少なくとも俺は2人に会ったことがないが、2人は俺の話を聞いているのだろう。それにしても俺はこの世界に来て1ヶ月程度なので、直接会ったこともない人間を惚れさせられるほどの印象は与えていないはずだ。
ここは是非とも俺を選んだ理由とやらを聞かせていただきたいと思い、俺はまた2人を宥めた。気を抜くとすぐに結婚してと抜かしてくるアホの相手は大変だ。
「選ぶ前に聞かせて欲しいんだけど、なんで俺なんだ?」
「と、言いますと?」
「ユウキ様を選んだ理由を聞きたいということですか?」
「そう。俺と2人とは面識もないし、どうして俺に結婚を申し込んできたのかなって」
「そんなの決まってますわ」
「あのシャルルのお気に入りの殿方が、どのような方なのか気になったんです」
「・・・?」
「もし?」
「聞いておられますか?」
「え、それだけ?」
それだけ―――というより、なんの理由にもなっていない風に感じた。この世界ではそれで結婚の理由には十分だとでも言うのだろうか。本当にそうなら毎月毎月違う芸能人の不倫が騒がれる日本でも自分のことを棚に上げて笑い転げられるくらい不倫騒動が起きそうだが。
「で、なんでシャルが・・・」
「それですわ。シャルルのことをシャルなどと、非常に親しげに」
「あの機械弄りばかりしている女性らしさなんて微塵もないシャルルがあのようにベタベタとくっつこうとする殿方なんて見たことありませんわ」
「そしてそれを拒まないあなたの態度を見ていても、そこらの男性がシャルルに対して見せるそれとは違います」
「あなたは彼女の本質を知っていてなおその好意を拒まない、非常に器の大きな殿方なのだと思ったのです」
「つまり・・・嫉妬?」
「そうですわ。なんでサナたちより早くあの機械オタクが男を見つけてるんだって思っ・・・あ」
「サナ!?」
あー、はいはい。なんとなく見えてきた。シャルルと仲良くしている俺を見て俺とシャルルがそういう仲なのだと勘違いした(いや半分は合っているのだが)サナとモナは、悔しさ紛れに俺をシャルルから取り上げてしまおうと思ったわけだ。どうりで真剣味が薄いと感じたのだ。
なんて幼稚な結婚観念なのだろう。いや、俺もそんなハイセンスなものなんてよく分からないが、これじゃあ幼稚園児がお父さんと結婚すると言ってはしゃいでいたのと変わらない気もする。
しかし、なぜシャルルなのだろう。見たところサナとモナは良いとこのお嬢さんのようだが、シャルルとの接点はどこにあったのだろう。そもそも、ここまでシャルルを目の敵にする理由もよく分からない。
「さ、さぁ!くだらないお話は以上にしましょう!ユウキ様はサナとモナ、どちらを選ぶんですか!?」
「サナ、もう・・・」
「あのですね、お嬢さん方。こういうのは本当に好きな人とするものなんだと思うぞ。ちょっとした思いつきとイタズラで結婚なんて言い出したらいけません」
「ぐ・・・そ、そんなことは分かっていますわ!」
「サナ、この辺で・・・」
モナの方は途中から冷静だったが、なるほど、この双子は性格もちょっと違うらしい。2人とも美人さんなんだから、いつかまともに相応しい相手が現れるだろうに、なにを焦っているのだか。
負けを認めきれないのかサナは厳しい顔をしている。
と、そこにようやく助けがやってきた。
「ここにいましたかぁ!!見つけたッスよ、サナにモナ!さぁ、ユウキを返してもらうッスよ!!」
「にゃあ!?」
「シャ、シャルル!?」
「・・・む?思っていたより大人しいッスね。なにかあったんスか?」
「俺が優しく人生観を説いてあげたんだよ」
「あ、ユウキ!無事だったんスね!はぁー、安心したッスよぉ!」
「やめろ!抱き付くな・・・抱き付かないでください!」
いろいろ語ったが、俺は、童貞だ。双子の美少女の前で、その嫉妬の相手本人に抱き付かれるとか、後でギロチンになるレベルの大罪だ。それより先に背徳感と体に押し当たる感触で死にそうだ。マジ死ぬ。
「ああああ!」
「やっぱりおかしい!」
「フフン。大方2人は私がモテないと高を括っていたところにユウキが現れたので焦って横取りしようとでも考えてたんでしょうけど、残念!既にユウキは私のものになると契約してるんスよ!なっははは!!」
「そ、そんなバカな!」
「あ、あのシャルルと、そんなムチャクチャな契約を!?ユウキ様は一体どれほど寛大なお心の持ち主なんでしょうか!?」
「した!したけどそういう意味じゃない!!というかシャルがモテないのは事実だろ!!」
「別にユウキがいれば気にならないッスよ」
「・・・!」
なにそれ超嬉しい!嬉しいけどなんか恐い!
「分かった、分かったから一旦放してください!」
「仕方ないッスね。まぁ2人にも見せつけられたのでよしとするッス」
「ぐぬぬぬぬ・・・」
「ギリギリギリギリ・・・」
「おやおや、悔しそうなお顔ですわね、サナさんにモナさん?おほほほほ」
シャルルがすごくウザい顔をしている。シャルルが人をここまでコケにするのは普段はなかなか見られない光景かもしれない。
見事に挑発に乗ってしまったサナとモナがキレてシャルルに飛びかかったが、優秀な軍人であるシャルルに敵うはずもなく、あっという間に組み伏せられてしまった。というか、お嬢様にこんなことをして大丈夫なのだろうか。後で懲戒処分とかにならなければ良いのだが。
「サナとモナが私に敵うはずがないでしょうに」
「悔しいですわ!!」
「なんでモナがこんな目に・・・」
「さっきから思ってたんだけど、シャルとサナ・モナの関係ってなんなんだ?」
うるさい2人も黙らされてちょうど良いので、俺はシャルルに気になっていたことを聞いてみた。
「まぁ見ての通りの関係ッス。あ、ちなみに言っておくとサナとモナは『アトラス』のメインスポンサーであるベルトリア製薬の社長令嬢ッスから、ほどよくよろしくしておくと、困ったときに私たちのところにお金が回ってきますよ」
「だっ、誰がサナたちに暴力を働く輩が乗ってる艦にお金を回したりなんて!」
「そうです!きっとお父様が・・・」
「とか言ってますが、2人ともホントのところは?」
「ホントもクソもないですわよ!」
「です!」
結局、見ての通りの仲と言われたらジャイアンとのび太くらいの関係にしか見えない。のび太は2人になってもジャイアンに虐げられる運命からは逃れられないのだろう。綺麗なドレスを着た双子のお嬢様が床に顎をつけて喚いていると思うと、なんだか哀れすぎて泣けてきた。
「シャル、もう良いんじゃないか?」
「それもそうッスね。私も気が済みましたし、中に戻るッスよ」
「ちょ、待って!」
「埃を払わせてください!」
「しゃーないッスねぇ・・・まぁ待たないッスけど」
「ええ!?」
「シャルルのバカぁ!」
●
シャルルと俺はサナ・モナを本当に置き去りにしてきたのだが、2人は元気に走って追いかけてきた。のび太のくせになんでわざわざジャイアンを追いかけてくるのだろう。ドMなのだろうか。
アホだし幼稚だし威厳もないし、なんだかそろそろサナとモナがお嬢様としては見られなくなってきた。もうお前らって呼んでも良いよな。
「シャルとお前らって仲良いの?」
「そっ、そんなわけないですわ」
「見たでしょう、あの酷い仕打ちを」
「これは心外ッスね、私は2人とお友達のつもりなのに」
「食い違ってるんですけど」
「サナとモナは私に構ってもらえないから拗ねてるだけッスよ。2人ともツンデレなので」
「んなっ!?」
「な、なななんでそうなるの!?」
「ほら、照れてるでしょう?ごめんなさいッス、2人とも。私も立場を得て忙しい身なんスよ、分かってくださいな。・・・あ、でもよろしければ2人もパイロットになってみては?そうすれば一緒にいてあげられる時間も増えるかと」
「あげられるって上から目線が気に食わないですわ!誰もそんなこと言ってないし頼んでもないのに!」
「というかモナもサナもパラティヌスの操縦なんて適正がないもん!」
「ダメッスか?残念ッスね・・・」
ジャイアンとのび太かと思っていたが、これは違うわ。年の離れた姉妹だ。なんだか微笑ましくなってきた。
3人が会話するときの口調も最初お上品だったのはからかい半分で、本当は今みたいに砕けた口調になるのだろう。
にしても、これは・・・良い。百合百合していてステキな空間が出来ている。もうお前らが結婚しろよ。
と、俺が男の幸せに浸っていると、向こうからジェントルマンがこちらを見ていた。俺と視線が合うと、そのジェントルマンは小さな笑みを浮かべてから、こっちへやって来た。
その男性は、落ち着きを感じさせる銀髪で宝石のように青い目をしていた。・・・あれ?どこかで見たような。
「やぁ、君がサクマ=ユウキ君だね?」
「あ、はい。えっと、あなたは―――」
「ゲッ、お父様」
「お父しゃま!?」
しまった、驚きのあまり噛んでしまった。いやでも、やはりそうだ。見たことのある銀髪、見たことのあるサファイアの瞳。
しかし、やはり聞き慣れないシャルルの言葉遣い。
「『ゲッ』とはなんだ、久々に親の顔を見るなり、悲しくなるな、シャルル」
「それはごめんなさい。でも・・・」
「えっと、待って。じゃあ、この方は・・・」
「はい、私の父ッスよ」
「マルコ=シュタルアリアというんだ。この子の父親で、大統領補佐官をしている。よろしく、ユウキ君」
「ははー、どことなく似てますもんね・・・・・・って、大統領補佐官!?」
「ハハハ。ユウキ君はいちいちリアクションが派手で愉快な少年だな」
待て、落ち着いて状況を判断するんだブレイン・オブ・ユウキ。
ここにいるジェントルマンは大統領補佐官をしていて、そして彼は自身をシャルルの父親だとおっしゃっておりまして、シャルル自身もそう言っている。
つまりシャルルは大統領補佐官の娘というポジションに収まりながらも空軍の超エリート部隊の隊長を務めていて、「なになにッス」という砕けたしゃべり方をする機械オタクで・・・?
「これはおじ様、ごきげんよう」
「御機嫌麗しゅうございます」
「やぁ、サナにモナ。また少し背が伸びたんじゃないか?」
加えて、大企業の社長令嬢であるサナ・モナとの絡みもごく自然ということは、マルコは地位相応な人脈を持っていると思ってもよろしいので?それで、その娘となると・・・。
「すごく・・・不躾なことを聞くんだけど、マルコさんの娘ということはシャルって・・・お嬢様?」
「うう・・・!」
「あらユウキ様はまだ知らなかったんですの?」
「シャルルはシュタルアリア家のご令嬢なんですよ。」
「えええええ!?」
シャルルは顔を赤らめて俯いている。お嬢様であることがバレては困ることでもあるのだろうか。着飾っている今なんて、まさにお嬢様然として見えるのに。
「あの・・・シャルルお嬢様、今までのご無礼を―――」
「だからお嬢様って呼ばれたくないって毎度毎度言ってきたんスよ!ユウキも普通にいつも通りにしてください!」
「ご、ごめん、冗談だって・・・。それにしてもロボオタでしかも戦場の最前線で暴れ回って、挙げ句の果てに散歩ついでで敵の基地を叩き潰すヤツが、まさかまさかの上流階級のお家出身のご令嬢だったなんてなぁ」
「生まれる家を間違えたッスね」
「それはもう親に会えない俺の前で言ってはいけないことだぞ!お前、後で絶対気付くぞ、親のありがたみってヤツに!」
「うぐっ!」
そう、なにを隠そう、俺の引き籠もり生活を支えてくれていたのは両親なのだ。食事に始まり掃除洗濯その他諸々をこなしてくれた母親、一家の大黒柱として収入を得ていた父親。あぁ、今思い出しても両親の存在なくしてあの日々は成立しえなかったのだ。ありがとうお父さんお母さん、俺は2人の無償の愛のおかげで安心して引き籠もれていたんだね・・・。本当にありがとう。
つまりそんな両親の庇護が受けられない状況にある今、俺は軍の一員として多少は働いて食い扶持を稼がなければならないわけである。あぁ、働きたくないでござる。
と、俺は親のありがたみをしみじみと思い返していれば、マルコも、そしてサナとモナも、みんな感心した顔をしてくれていた。俺の感謝の理由はともかくとして、言葉の聞こえは素晴らしかったのだろう。シャルルも反省してくれているようである。俺の感謝の理由はともかくとして。
「ユウキ様はやはり素敵な方でしたのね」
「なんだかんだ言ってもモナたちの目に狂いはありませんでしたわ」
「このような立派な考えの持ち主と出会えるなんて、シャルルも幸せ者だな」
「まぁ、そうですね・・・。お父様、さっきは心ないことを言ってしまって申し訳ありません・・・」
「いいんだよ。まぁ、今でもシャルルが軍のトップエースとして戦場を飛び回っていると思うと心配でならないのは変わらないがね」
「でもやめる気はありませんよ。今の居場所が、私のずっと求めていた居場所です」
「お前がそう思っていることは父親としても素直に喜ばしいが、危険と隣り合わせなのが恐いと言っているのさ。だからこその約束だろう?」
「お言葉ですがお父様、私はこれから先も一度たりとも敗戦はしませんよ。約束もあってないようなものです」
「やれやれ・・・」
俺も偉そうなことを言ったが、きっとシュタルアリア家にはシュタルアリア家の事情があるのだろう。なんとなく覚えのあるフレーズも聞こえてきて、俺は無闇に口は挟まないようにしようと思った。なんにしたってマルコも家の格調高さとか関係なく、娘思いの普通の父親なのは確かだ。
「それにしても、まさかシャルルが男の子を連れて帰ってくる日がまたくるなんて・・・思ってもみなかったよ」
「失礼ですねお父様。自分の娘に自信がないのですか?」
話題が切り替わると、途端にシャルルはフフンと鼻を鳴らした。
「まあ、なかったな。男勝りな性格で恋愛にも興味がある素振りはないし」
「ウッ・・・!」
「でも、レイモンド君は良かったのかい?昔なんてよく『私大きくなったら―――」
「んっんー!!ゴホンゴホン!!・・・私にはユウキのことしか見えてませんわ」
そんな風に言ってもらえるとやっぱり超嬉しいけど、レイモンドとなにがあった!2人の過去やいかに!?過去編に突入しないかなぁ!
「マ、マルコさん。シャルとレイモンド少佐の関係を聞いても良いですか?」
「ちょ、ユウキ!」
「あぁ。まぁ良いじゃないかシャルル。昔は昔、今は今なんだろう?」
「むぅ・・・まぁそれもそうですね。良いですよ」
「それじゃあ、シャルルも恥ずかしがっているから、あんまり細かい話はしないようにするさ。まぁ、簡単に言えば2人は兄妹みたいな仲だったんだ。昔からレイモンド君のクライアエル家とウチは仲が良かったから、2人もよく一緒の遊んでいたものだ」
「あの人も御曹司だったんですね」
どうりであんな勤務態度でも巨大空母の艦長から降ろされないわけだ。後ろ盾強すぎるだろ。
でも、なるほどだ。大勢の前ではキラキラしているレイモンドもシャルルやその周りの連中と絡むときだけは素だったのも、シャルルと昔馴染みだったからってわけだ。
「そうだね。でも彼もシャルルと同じで飛び級飛び級の優等生だったから、あっという間に士官学校を卒業して空軍に行ってしまって」
「え、優等生・・・?」
「ん?」
「いえ、なんでも」
優等生!?誰が!?お父様、冗談はよろしくありませんわよ!?
「元々レイモンド君から空軍に入りたいという話を聞いていたシャルルも、前からパラティヌスに興味があったのも合わせて彼の後を追いかけて『アトラス』に辿り着いたわけだよ。いやぁ、シャルルが彼のことを『お兄ちゃん』と呼んで慕っていたのが昨日のことのようだ」
「まぁいざ再会してみれば艦長室で惰眠を貪って淫夢見てるようなクソ兄貴になってましたけどね」
「え、あのレイモンド様がそんなことを!?」
「ウソだと言ってよシャルル!」
「ホントッスよ。まぁ話を広めると後で私が怒られるので内輪話程度にしといてください」
曰く内輪話で女の子たちがあれこれ言っている横で、俺はロリシャルルがショタレイモンドを「お兄ちゃん」と呼んで追っかけ回している光景を想像してみた。なんか今では想像出来ないが、微笑ましいというか、萌えた。後の美男美女(見た目だけだが)に成長する2人だと思うと、幼い頃もさぞや見目麗しい子供だったのだろう。
ちょっとだけショタモンドが羨ましくなってきた俺はやはりサーシャに毒されすぎたのだろうか?
それにしても、あんな素っ気ない態度を取っていたくせにシャルルがレイモンドの追っかけだったというのは驚きだ。
「ユウキ、今いろいろ想像したでしょう。でも実際のところ別に私は少佐に恋愛感情なんて抱いたことはないので安心してくださいッス。私は君一筋ッスよ」
「公然で堂々そんなことを言ってくれるシャルルのメンタルがカッコイイ!」
むしろ俺の方が断然女々しい。しかもシャルルときたら、最初は恥ずかしがっていたが、結局昔話をされても素っ気ない。いくらお嬢様の格好をしていても、父親が認める男勝りさは健在なわけだ。・・・いや、よく見たら顔が赤いしプルプル震えている。恥ずかしいのは恥ずかしいのだろう。可愛い。
「・・・さて、そろそろ祝宴も終わりが近付いてきたみたいだね」
マルコはステージの方を見てそう言った。また大統領が挨拶をしている。
「私はまだ残るが、シャルルたちはもう家にお帰り。まだ君たちは子供なのだし、女性を夜遅くまで外にいさせるのも忍びない」
「そうですね。私はお先に帰らせていただきます」
「シャルルでしたら不埒な殿方など軽く捻ってしまいそうですがね」
「ええ、きっとそうに違いありません。さっき私たちにしたみたいに」
「ん?シャルル、2人になにか―――」
「あらお父様、なんのことでしょうか?いや、そういえばサナとモナがユウキに唾をつけようとしていたのでやめてくれと言った憶えはありますが・・・?はて、それ以上のことはしたでしょうか・・・?うーん?」
「あっ!」
「あんて白々しい!」
「あ、そうッス、ユウキ」
「どうした?」
「君、帰る家、あります?」
「・・・・・・ぁ」
―――ない!!俺、家なき子や!!
「でしょうね。ちょうど良いッス。ユウキ、私の家に来ると良いッスよ。大丈夫、客室はいくらでもあるので、1つを君にあげるッス」
「良いの?いや、待て・・・考えろ、そうしたら俺は女の子の家に居候をするという不思議と興奮するシチュエーション・・・あぁ、そうか、今まで艦の中だから意識しなかったが、女の子と一つ屋根の下ということになるのか・・・!あぁッ、でもそんなのはなんとなく厳しいものが!すごくドキドキしちゃう!しかし立場は居候!どことなくスネかじりなイメージが・・・!いや、俺にピッタリではあるが!」
「ユ、ユウキ君?急にどうしたんだい?私は別に君を客人として家に迎えても良いんだよ?」
「マルコさん!」
「お義父様でも良いくらいだ」
「マルコさん・・・」
気が早いぞお父様。
「でも、じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔させていただきます」
「やった!じゃあこれから休暇中もずっとユウキと一緒ってことッスね!」
「ぬぬ・・・」
「これでは本当にユウキ様がシャルルのものになってしまう・・・」
サナとモナが苦々しい顔をしている。多分、これからはちょくちょくこの2人の顔も見るのだろうな、と俺は適当に想定していた。
●
「あ、いたいた。やっと見つけたぞシャルル」
「にぃも一緒」
サナとモナは帰りは別なので、元いる場所へと戻っていった。別れ際に俺と連絡先を交換したあたりはちゃっかりしている。思ったのだが、俺のポルックに登録されている連絡先は女の子ばかりだ。全国の異世界転生ハーレムを夢見ている野郎共よ。ドヤァ!俺は勝ち組だ!・・・実際は楽なことばかりでもないが。
晩餐会も終わるので、俺とシャルルはアンフィたちシャルル隊のメンバーと合流した。
「おや、ココアの姿が見当たらないッスけど?」
「ココアなら、ほら、あそこ」
「あそこ?」
アンフィが俺たちの背後を指差すので見てみると、ココアと30代くらいの男性がしゃべっていた。ただしココアの表情は今にも懐のナイフを取り出しそうなレベルで不穏な色を醸している。持っていたら、だが。
「あの子はやっぱりモテるね。・・・オッサンに」
「あれって言い寄られてたんですか!?」
「ユウキは知らないのかな?ココアなんて一部ではアイドル扱いだよ」
「この国もロリコンだらけかよ。引くな!!」
とはいえ、確かにココアの容姿であればファンがつくのも分からないでもない。言ってしまえば金になる顔をしている。それを言うのなら、シャルルやアンフィもそうなのだが。
サーシャは・・・まぁ、もう数年したらその扱いにしても良いと思う。まだあの無垢な少女を世間の汚い視線に晒したくない。
しかし、いっそ俺プロデュースでサーシャ以外の3人に地下アイドルでもやらせたら、がっぽり稼げたりして。地下から地上に侵攻出来るかもしれない。そして最後にはお嬢様にそんなことをさせたことがお父様のお怒りを買うかもしれない。やめよう。ほんの冗談です。そんなことはしません。サクマPなんてゲームの中だけの話です。
俺たちはしばらくココアの様子を見ていたが、相手の男性もなかなかのやり手のようだ。どうやら意外にもシャルルが読唇術を修得しているらしく、ココアと男の会話を再現しているのだが、その内容は意外というかやっぱりというか、酷い。
ココアは引きつった笑顔のまま暴言を吐いているのだが、男性はそれをご褒美にしてしまっているらしく、聞いている俺はむしろ尊敬してしまう。だが、社交場だからまだココアの毒も抑えが効いているのだ。公の場でなくなったらあの愛想笑いも消えてハイライトもなく冷え切った真っ青の瞳が真っ直ぐにこちらを見て「死ね」だの「キモい」だの言ってくるのだ。
しばらく待っても、ココアが解放される様子がない。もう会場は開放されて帰る人は帰り始めている。
「そろそろ助けてあげた方がいいんじゃねえの?」
「そうだね。さすがにいつナイフ取り出すか分かったもんじゃないし」
「もしかしてココアってあの格好しててもナイフ隠してんですか?」
「私にも分からないけど、もしかしたら、ね」
どうも少女趣味の疑いがある男性からココアを引き離すためにも、ここは大人のお姉さんであるアンフィが出撃した。今日は悩み事もないはずだから撃墜されることはないだろう。
男性はまぁまぁ偉い方らしいのでアンフィはペコペコしながらココアを連れて帰ってきた。こちらを見た男性はシャルルやサーシャを見てニヤニヤしたあと、俺の顔を見て恨めしそうな顔をしてきた。アンタ、俺が普段どんだけ振り回されてるか分からないだろ。今日なんてアンタがさっき口説いてた腹グロリに両目を潰されたんだぞ。
さて、これにてようやく全員揃ったので、帰れる。
しかし、宴会場を出た俺たちにスッと近付いてくる人影。
「シャルル=シュタルアリア中尉とアンフィ=ベーコン少尉宛てにお手紙を預かっておりました。どうぞ、お帰り際に目をお通しになってください―――」
そしてスッと消えていく人影。なにあれ、カッコイイ。
「これ・・・もしかする?」
「みたいッスね。開発局からッスし」
「ま、言われたとおり帰り際にしようか」
「そうッスね。先に着替えたいので。もうホント、こういう格好は窮屈でならないッスよ」
「なんだもったいないな、似合ってるのに」
「ユウキが見たいと言うなら家でもこの格好でいてあげてもいいッスよ?」
「待ってください!家でもってどういう意味ですか!?それ原始人が中尉の家に滞在する感じに聞こえるんですけど!?」
「その通りッスけど?」
「ぎゃあああああ!!げっ、原始人!あなた、あなたという原始人はッ!!うらやま・・・死ね!!」
「だって俺帰る家ないんだもん!!せっかく泊めてくれるって言ってるんだからお言葉に甘えたって良いじゃないか!ココアの心配するようなことは極力しないはずだから!」
「極力!?万が一は存在してるじゃないですか!!中尉のご意向なら仕方ないかもですが、待っててください、今すぐここで原始人の汚い肉棒をカットオフします!!」
「やめてくれ!!てかホントにコンバットナイフ隠し持ってたよコイツ!!」
「まぁまぁ、2人とも落ち着くッスよ。慣れてくれるのは良いッスけど、一応ここまだ社交場なので」
「「すみません」」
見られたらマズいことは分かっているのか、ココアもナイフを素早く懐に仕舞った。
俺とココアが大人しくなったところで・・・いや、俺なにも悪くないと思うのだが、とにかくそんなところで、シャルルがとある提案をした。
「ココアがそんなに言うんなら、どうせなのでみなさん今夜は私の家に泊まっていけば良いッスよ。サーシャのご両親には連絡差し上げないとですが、まぁ、今日くらいなら許してくれるでしょう」
「おー。みんなでお泊まり。うん。パパもママも許してくれるはず。楽しみ」
「中尉、本当に良いんですか!?やったー!じゃ、じゃあ!あたし、アレやってみたいです!枕投げ!」
「修学旅行か!」
なにに期待して目を輝かせているのだか、ココアにアンフィがツッコんだ。そもそもお金持ちのお屋敷で枕投げなんて言語道断だろう。知らないが。というか、枕投げという習慣がこの世界にあったことにも驚きだ。あれは和室で畳の上にみんなが布団を並べるからこそ出来る遊びだと思っていた。
「まぁ、シャルルがそう言うなら私もお邪魔しようかな」
「それが良いッスよ。それに枕投げも構わないッスよ。どっかの広間借りてお布団を敷きましょう。みんなでごろ寝も悪くないッス」
「布団もあったんだ」
「ウチの国でも割と広い地域で敷き布団は使われてるんスよ。ウチは災害時の避難所にもなってるので非常用で100式の敷き布団を確保してるッスから、それを拝借するだけッス」
「贅沢な避難所だなぁ」
俺が知っている避難所では、誰も彼もが体育館の床にブルーシートと段ボールやなんかを敷いて雑魚寝だったのに。すごく狭いスペースにひと家族が収まって、とても窮屈そうに身を寄せ合っているのはさすがの俺でもなにも思わないではいられなかった。これも文明レベルの差か。
さて、女子組は更衣室へ行ってしまったので、俺はしばらく待ちである。
暇なのでポルックの通知を確認したら、なにやら新しくメッセージが届いていた。
「なになに・・・?」
『ユウキ、アスキーノコト、忘テナイ?(´・ω・`)』
「・・・あ」
なんで文面まで丁寧にカタカナなんだ・・・はい、ごめんなさい、忘れてました、すっかり。
『アトラス』の中においていくわけにはいかないので俺はひとまずアスキーを他の荷物と一緒に預けていたのだが、今あいつはどうしているのだろう。
「『そんなことはないぞ。しかし、今アスキーはどこにいるんだ?』・・・っと」
俺がメッセージを送信すると、すぐに返信が帰ってくるのでビックリ。いや、思えば相手はロボットなのだから、これが当然なのかもしれない。PINEの公式アカウントのパワーアップ版みたいなものだろう。
『ナントカ荷物ノ中カラ抜ケ出シテ、今ハ記念会館ノ前ニイル。ユウキハ?』
「すげえな・・・隣町から歩いてきたってことか。『そろそろ記念会館出るとこだよ』」
『ナルホド。ユウキ、今日ハドコニ帰ルノ?アスキーモ連レテイケ』
「『シャルの家にいさせてもらえることになったんだけど』」
『キターーー(゜∀゜)ーーーー!!女子ノ家!ユウキ、ナカナカヤルナwwwデカシタゾ!』
「・・・こいつホントにロボットなのか?」
俺は適当な返事をして、アスキーとのやり取りを終わらせた。まぁなんにしたってアスキーを放置するのも俺の本意ではないので、ちょっと言動が怪しいが、シャルルに頼んで屋敷に持ち込ませてもらおう。なに、本業はお手伝いロボットなのだ。家事の役には立つだろう。
それからほどなくして、着替え終わってすっかりいつも通りのシャルルたちが戻ってきた。
「あぁ、いつものみんなだ」
「なんか寂しそうだね、ユウキは」
「今更ながら、みんな綺麗だったなと思って」
「マジで今更ッスね」
写真を撮っておけば良かった。素直にもったいないことをした気分だった。
「なぁ、シャル。ひとつ頼みがあるんだけど」
「なんでしょうか?」
「アスキーが今会場の前まで来てるらしいんだけど、一緒にシャルの家に連れて行ってもいい?」
「えぇ、構いませんよ。ついでッスから家事の手伝いでもさせるッスよ」
「良かった」
あっさり承諾を得られてホッとしているうちに記念会館の外に出た。さすがに深夜だから、マスコミも少ない。いないわけではないが。待ち構えていたようにアスキーが合流する。変わりないようでなによりだ。
・・・と、そんなときだった。
「皆の衆!我らが女神が降臨なさったぞ!」
『おおおおおおおお!!』
―――何事だ!?女神!?降臨!?
一瞬ペルセポネが現れたのかと思ったが、そんなことはなかった。見据えた先にはなにやらむさ苦しい赤い法被の集団が。こっちは祭の後だというのに、なんのお祭りを始めるつもりなのだろうかと思えば、どうやら―――。
「我らココア=シュガースイート伍長親衛隊!本日のご受賞おめでとうございましたぁぁぁぁぁ!!」
『っしたぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「つきましてはぁぁ!我々からもお祝いの意を込めて!我らが女神に讃美歌を!!」
『讃美歌を!!』
「ひっ!?また湧いてきて・・・!!キモいんですよあなたたちは!!散れ!!散って散って散りまくってください!!さもなくばバラバラにして海に捨てますよ!!」
『ありがとうございます!!』
との様子である。
「さすがココアってとこッスね。相変わらずの人気っぷりッス」
「世も末だな」
「まぁそう言わないでやんなよユウキ。人気があるのは良いことじゃん」
「でも。あの人たちうるさい。夜なのに近所迷惑」
眠たげにサーシャは目を擦っている。サーシャの安寧を侵すとは、あのアイドルオタク共、許せん。
「ほらココア、サーシャも眠そうだからそんなの相手にしてないで早く行くぞ」
「原始人のくせにあたしに指図しないで欲しいですね!」
俺がココアの肩に手を置くと、ココア親衛隊(自称)のリーダーらしきガリメガネが素っ頓狂な声を上げた。
「ファッ!?貴様いったい何者だ!!誰の許しを得て我らがココア=シュガースイート伍長に御身に触れているんだ!イエスココア、ノータッチの原則を弁えんのか!?」
「サクマ=ユウキ准尉様だよ!つか恐えよ!宗教か!そんでもって俺の中ではノーココア、イエスタッチだわ!」
「イエスタッチってどういう意味ですか!?今度こそブッ殺しますよ!!」
「くそ、なんだあいつ!ココアちゃんと親しげだぞ!」
「おいどんがブッ殺したいであります!」
「そういえばサクマ准尉と言えば今日盛大に表彰されていた・・・」
「立場使って取り入ったんだな!卑怯な!!」
「Fu○k!!」
「うっせーこのロリコンこじらせたマゾヒストどもが!俺なんか今日本当に殺されかけたんだぞ!」
『我らにはご褒美!それ以外のなんでもない!!女神による天誅、嗚呼、願ったり叶ったり!!』
「・・・・・・」
ダメだ、勝てる気がしない。再来年あたりには新興宗教になって暴れ回っているかもしれない。信仰対象が率先して嫌がっているが。
「お前も苦労してたんだな」
「原始人に同情されたッ!!屈辱の極みを遙かに通り越して1億年かけてウジ虫に体中を貪られ続ける並みの苦痛です!!」
「あ?」
「わっ!?」
それは心外なので、俺はココアをドMロリコニストたちの中に突き飛ばしてやった。
しかしそこは紳士な皆様方。ノータッチの精神を貫いてササッとココアを避けた。見上げた心がけである。
すぐさま起き上がってココアはこっちに帰ってきた。
「なにしやがんですか原始人!!」
「すまんな手が滑っ―――ごめんなさい俺が全部悪かったです誠心誠意謝るのでその物騒な刃物を仕舞ってくださいませココア様!!」
「フン・・・所詮ヘタレですね。まぁ抵抗するようならバラバラに解体して人肉のお刺身にでもしてやろうかと思いましたが、その無様な姿と中尉のお心に免じて見逃してあげます」
「ありがたき幸せ・・・!」
『キュアー』をする前に殺されたら俺でもひとたまりもない(はず)なので、俺は本気で安心した。なにやら変態共からさらなる怨念ベクトルを感じるのだが、気にしない。
いや、中には羨望の眼差しも混じっている。やめろよ、ちょっと特別酷い扱いを受けているからって俺をココア教のカリスマ的存在に仕立て上げたりしたらマジで反乱起こすからな。反吐が出る。
そんなこんなでココアを回収することに成功した俺はシャルルが捕まえていたタクシーに乗り込んで、帰路に就いた。いや、俺の家にではないが。
団体様が乗れるほど大きなタクシーで、アスキー込みで全員が1台に乗り込めた。
サーシャが寝息を立て始め、パシャパシャと追いかけていたカメラのフラッシュも振り切った頃。
「さて、それじゃあ落ち着いたことだし、さっきの手紙見てみようか」
「そうッスね」
気になるので、俺とココアも2人の手紙を覗き込んだ。それにしても、このご時世に紙の手紙なんて、なかなか素敵な趣向をしている。味があって、俺は大好きだ。
決して年賀状とかがもらえなくてお手紙に餓えていたとか、そういうことではない。年賀状なんて別に毎年毎年わざわざ家の郵便受けにまで見に行くほど楽しみにしてたわけじゃないんだからねっ。自分だけ1通ももらえなくてガッカリしてたなんて、そんなことないんだからねっ。
まぁ、強がり半分だから聞き流して欲しい。そもそも俺は友人を作ろうとも思っていなかったから、年賀状なんてもらえるはずがなかったのだ。
さて脱線してしまった。俺は改めてシャルルの手紙に目を通す。
「ふむ、やっぱりッスね!」
「みたいだね。光栄光栄。頑張らせてもらおうかな」
書いてあった内容。それは―――。
「エースパイロット向け新型パラティヌスのテストパイロット・・・楽しみで今夜は寝られなさそうッス!」
「だね!」
明日の午後、トレアノにあるパラティヌス開発局にて、新型機の運用試験を行うというものだった。
アスキー。小説にあるまじき文体ばっかり使いやがって(;´༎ຶД༎ຶ`)