第5話~ばれてるぞ おっさん~
「えっと、おいしい果物を売りに来ました」
あらかじめ決めていた言葉で返答をする。
「ふーん、果物や、野菜などの農作物を街に下せる村は限られているけど、君、どこの村?」
まずい!! いきなりつまずいた!?
「まぁ、それはとりあえずいいや、とにかく君、ちょっとこっちに来てね?」
と、衛兵さんに入り口横の小屋へ連れていかれる。
何か変な態度をとったとか、知らずに何か法律違反をやらかしたとか、いろいろ悪いことばかり考えてしまう。
でも、この世界で法律なんかあるのかな・・・
衛兵さんに付いていくと、小屋の中の一室へ案内され、机越しにある椅子を勧められた。
「さて、まずはハッキリ言うと、君が異世界からやって来たことは、すでに知っているから、何もゴマかさなくてもいいよ。
それに、別に取って食おうというわけじゃないから、そんなに緊張しなくてもいいからね。
我々この世界の住人は、君たち異世界人を歓迎するよ」
「はい~?」
なんか全部ばれてる?
「先日、神様からお告げがあってね。
異世界からの移住者が大量にやって来るとか、その人たちの特長も教えられてるよ? 黒目・黒髪って一目で解かりやすいよね。
更に言えば、もうすでに何人かの異世界人の方を迎えているから、見間違えや勘違いのしようもないよ」
「えっ、ちょっと待って!! 異世界から来たのって俺一人じゃないの?!」
「当り前じゃないか、ハッハッハッ!!」
びっくりしたけど、考えてみたら、あの爺さん「間引き」って言ってたな。
俺一人じゃぁ、確かに「間引き」にはならないか。
「それで、君はどんな能力を授かったんだい?」
「そんなことまで知っているのか?!!」
「まぁね、ちなみに今まで人たちは、炎を操ったり、空を飛べたり、凄いのなんかは、竜の大群を召喚したりしていたからね、君の能力も期待しちゃうよ」
「はい~っ?!!!」
お読みいただき、有難うございます。