第3話~旅立ちだ おっさん~
どのくらい走っているんだろう。
とっくに体力は限界に達し、息は上がり、肺に空気が入ってこない。
しかし、恐怖が立ち止まるのを許さない。
今もすぐ後ろに狼もどきの息遣いが聞こえてきそうで、もっと遠くへ逃げなければと気ばかり焦るが、足が、体が言うことを聞いてくれない。
しばらくすると、目の前の木の間に光が差し込んできた。
「やった!!」
森が終わる。
何の根拠もなく狼もどきからも逃げきれたと思い、最後の気力を振り絞った。
転がるように森を抜けだし、さらに四つん這いになりながらも森から離れて、やっと止まることができた。
そのまま、いつの間にか出てきた道の真ん中で、大の字になって動けなくなっていた。
こ・・・怖かった・・・
今考えると、確かにあの爺さんはこの世界には、モンスターがいるとか言っていた気がするけど、でも本当に遭遇するとは思わなかった。
でも、なんかあの狼もどき、林檎に興味を持ってくれたみたいで、そうゆう意味ではこの能力、めっちゃ役に立ったな。
それに、数もいっぱい出てたし、確か2・30個は出てきていたと思うが、感覚的にはまだまだ出せる気がする。
限界まで試す気はないけど、まずまず使えるんじゃないか、この能力・・・
初めてのときに、ショボいなんて思って申し訳ありませんでした、能力さん。
改めて出した林檎を食べて腹を満たした後、のっそりと立ち上がり、いよいよ歩き出すことにした。
とりあえず、森があった方向とは逆に行くことにしよう。
お読みいただき、ありがとうございます。