プロローグ~無職だ おっさん~
初めまして。
読む専門だったはずが、なぜか思い立ってしまい、書き始めた物語です。
なので、読みにくかったり、意味不明なところがあったりすると思いますが、温かくみ見守って頂けると幸いです。
「長い間、ありがとうございました」
俺はオフィスの入り口でそう呟いて一礼した。
だが、残っている同僚・上司は自分の仕事に忙しく誰もこちらを見向きもしない。
まぁそうだろうな・・・
辞める時にも碌に引き留められなかったし、親しい友人も会社にとって有益な特技の一つもない俺は長い間お荷物状態だったんだしな。
俺の名前は鈴木茂、34歳、独身だ。
新卒で入った中小企業で10年以上、上司の嫌味や毎日のように何かしらのミスをしてしまう自分に対する自己嫌悪に耐えていたが、先日売り言葉に買い言葉で、勢いに任せて『退職願』を提出したら、あっさり受理され円満退社となってしまった。
この先のことなど何も考えていないし、正直不安もいっぱいだが自分一人が食べていくぐらい何とかなるだろう。
とか考えながら会社から出るといつの間にか真っ白な空間に立っていた。
「なっ、なにっ!なんだっ!!なにがおこった!!!」
いきなりの変化に何もできず、パニックに陥る。と
「騒がしいのぅ」
「うおっ」
目の前に突然人が現れ、ビックリして尻餅をついてしまう。
「だれだっ!!」
「いきなりこんなところに連れてこられて混乱するのはわかるが、少し落ち着け」
渋く低めな声で諭され、混乱や疑問でぐちゃぐちゃだった心が急速に落ち着いてくるのがわかる。
「疑問にはひとつひとつ答えてやるからのぉ、まずわしはこの世界の管理者の一人でな、分かり易くいえば神様とかゆうやつじゃ。
そして、ここは普段お前たち人間のいる現世とわしたち神のいる神界の間に広がる亜空間じゃよ」
かっ神様!?
一瞬なに莫迦なこと言ってんだって思ったが、なぜか目の前の爺さん言うことが真実だと理解できた。
「今この世界は、爆発的に増えている人間のせいで生命の数が足りなくなり始めておる。
そこで一定の数を間引かねばならなくなったんじゃがな・・・」
「はぁ」
「しかし、せっかく生まれた魂を無理矢理殺してしまうとこの世界が腐ってしまう。
そこで代替え案として、まだ人間の数の少ない異世界に送り込むことになったんじゃ」
すごく嫌な予感がする
「その通り、お主もその対象に選ばれたんじゃよ」
「やっぱりかっ!!」
何で俺が異世界に行かなきゃなんないんだよ!!
「間引くといってもどんな人間でも良いと言うわけにもいかん。
産まれたばかりの赤ん坊や、貧困地域の難民では生命力が弱すぎて異世界にいってもすぐに死んでしまう。
逆に生命力の強すぎる人間や犯罪を犯した人間では、異世界に与える影響が強すぎて暴走する危険がある。
故に、生命力の強さがそこそこで、それほど悪人でもない、普通の人間の中から間引く対象を選ばせてもらったと言う訳じゃ」
「そっ、そんな・・・」
「これは決定事項じゃ。
異世界にはこの世界の物は持って行くことは出来んので本来なら素っ裸になるとこじゃが、あちらの世界の服に変えてやろう。
言語についてもあちらの言葉に変換させてやるし、最後に死なない為の力も一つくれてやろかのぅ」
えっチート能力ってやつか?
「あくまで死なない為の力で、そこまで凄い物ではないぞ。
何の力も持たずに送り込むと、モンスターや野生の動物にすぐに食い殺されるからのぅ。
因みに元のこの世界には帰ってこれんので気を引き締めて生き延びるんじゃよ」
「うそっ」
「ほれ、いくぞ!!!」
こうして俺は何の覚悟も、録な情報も無く異世界に送り込まれたのだった・・・