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VRMMOを外道が行く  作者: 上からピーコック
1/4

私は新汰也

色々ありましたが、再び連載開始です。、

もしも私に密林への遭難経験があると言ったら、何人が信じるだろうか?

私自身はゼロだと思う。何故ならこのご時世、頭の悪い私からすれば一生理解できない機械でアメリカまでひとっ飛びなのだ。

もっとも飛んでる訳ではなく「てんい」しているらしいが、私には一生縁がないだろう。話を戻すと、私はアジアの未開拓地に最高の人力飛行機を飛ばしていた。

勿論運転手は私だ。世界には何時になっても浪漫を追い求める漢がいるらしく、日本でも高い身体能力と動体視力を持った私で誰も成し得ていない人力飛行機での永遠飛行を試そうとしていた。

当時貯金の厳しかった私は報酬に釣られ、この話を飲んだ。しかし、この判断を私は一年も後悔する事となる。





私は未開拓森上空を飛行していた。安定した速度で機構を動かせば落ちる事はない。

そう過信していた。しかし、物には欠陥が生じるらしい。機構のベルトから煙が出る。強がりで、なおかつ報酬を減らされたくなかった私は、これを伝える事は無かった。

暫くし、世界記録を更新した時点で、一旦戻れとの指示が入る。その通りに旋回しようとする私。だが、残念ながらベルトは切れて機構は滅茶苦茶に、私も鉄クズと共に密林へ落下していった。




あれからは公害に適応する為に理解不能な進化を遂げたトカゲやネコ、ヘビや魚を喰らいながら生きた。救助ヘリコプターに見つけられたのは実に4ヶ月後だった。

救出された私だが、ここの生物を食べた前例がないらしく、一年近くの検査と実験を受けた。結果としては食べる生き物のみだったらしいが、私個人はもう食べたく無かった。

鶏肉の味がする筈のカエルからは謎の液体が染み出て来て、ゴムの味がし、ヘビには本来の淡白な味は無く、怪しい塩味がした。

魚は…とにかく硬かった。今だからこそ笑い話だが、遭難した時は本来現代人の私なら食べない物も飢えを凌ぐ為に食べてしまった。あの青いキノコは今もヤバイ気がする。




=====▽


「これが私の人生で一番後悔した時だ。満足したか?」

まだ社会人になって五、六年だが、久々に会った友人にはこの話をしたくなるのだ。例えば今日の様に八百屋でかつてのリーゼント頭を丸々坊主にした同級生などに…な。

「いやぁ…笑った笑っ…ブフゥ」

「笑い過ぎでは無いか?」

私はあまり変な話をした覚えはないが…まあ思い出話の肴となれば良いだろう。

しかし、私はどちらかといえば突然家を継ぐと言ったきり、学校に姿を見せなくなったお前の方が気になるがなぁ。

「ふぅ…。その顔じゃお前も俺がどこに行ってたのか聞きたいんだろ?実はあの時期に親父が一山さしかかってなぁ…、マジで逝っちまうかと思って遺言まで書き出したんだよ。それで俺はまあ…安心させる為と言うか…なんというか…そんな感じだ!」

そうだったのか…。このままやさぐれていくのかと思ってしまったが、旧友の行き先は安泰の様だ。

長い付き合いだった為、連絡の取れなくなった時は悲しくなったが、意外と近所で幸せをつかんでいたのか…。

「玄田、電話番号くれ。もう失踪とかすんなよ?」

「分かってる…と、言いたい所だが今俺、携帯電話捨てたんだ。もう家の電話だけで充分だから…。だから家の番号だけな?」

「おう」

彼は彼なりに吹っ切れたらしいので問題無い様だ。

「できればここに買いに来る。またな」

「無理してまでは来るなよ!またな!」

声量は中学校の応援団の時から変わらないらしい。坊主になり、貫禄が僅かについた旧友は、八百屋の店頭が似合う大人になっていた。

「おっと!ストップ!最後に今までのお礼な。ちょっと待っててくれ!」

相変わらず騒がしい奴だ。そこもあいつらしいのだが。

「これこれ!最新のゲーム。お前に行ってもわからないかもだが…。その名も「VRギア[element]だろう?」お前も流行に乗るようになったか?びっくりだぜ」

VRギア。製品登録名はヴァーチャルリアルシュミレートギア。今こそゲーム専用だがヴァーチャルというだけあり、様々な用途が期待される脳波シンクロ機。

らしい。CMの丸パクだ。

「だが…こんなに高いものは…」

「気にすんなよ!むしろ学校でも事、色々助けてくれたのはお前だけだから。ありがとうは俺に言わせろよ?」

「…分かった。が私はソフトは持っていないぞ?」

「ギアにダウンロード版が入ってるぜ!中身はお楽しみで!んじゃ客が入る前に!」

「あ、ああ。ありがとう」

こうして私、西宮 新汰はVRギアを手に入れた。

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