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#XX-C1 Column①


『丞の魔導師講座(第1回)』

講師:碓氷 丞

生徒:逢坂 全、十朱 灯里


◇Q1

「さて、あまりにも君たちの知識が浅いから特別講義だよ?」

「いや、でも、一応試験は通ったんだぜ?」

「うんうん。いけるって、たぶん」

「甘い!試験問題が解けたぐらいでやっていけるほど魔導師は甘くないんだよ!」

「なんか、お前今日熱いな」

「いつにない気迫を感じる」

「じゃあ、第1問。日本にいる二つ名持ちの魔導師は何人でしょう?」

「10人だろ?バカにすんな」

「じゃあ、全員挙げてみて」

「えっと――“酔天”、“銀姫”――あと、“孤狼”だっけ?」

「あ、“黒銀”と“計策”と……あと誰だっけ?」

「全然だめじゃん」

「半分は出ただろ!?」

「そこは褒めようよ!」

「半分も出てないよ」

「「え゛」」


日本の二つ名持ちの魔導師は、

“道楽”“峻烈”“酔天”“孤狼”“点極”

“皇帝”“鉄壁”“赤芒”“転機”“計策”

の10人です。

有名な“黒銀”、“銀姫”は二つ名が与えられた時点での所属はイギリス・ロンドンだったため、10人の中にはカウントしません。


「知らねーよ!」

「ちなみに、強いとされている順に並べておいたよ」

「“道楽”なんて名前聞いたことないんだけど……」

「会ったことあるはずだよ、試験の時に」

「うそぉ」

「京都支部の支部長さん」

「えええ!?あの、ダメそうな大人が!?」

「あの人すごいんだよ?詠君も『にこにこ笑顔のまま相手をボコボコにするから超怖い。まあ、普段はダメな大人なんだけど』って言ってたし」

「マジかよ」

「というか、日本最強が九条支部長なら世界最強は誰なんだ?」

「いい質問だね!」

「うわ、丞の目がキラキラしてる!」

「地雷踏んだ!」

「一応、ランキングというのがあってね?そこの不動の1位は、やっぱりIMA代表のクロウリー氏だね。ちなみに詠君は6位だ」

「そんな高いのか」

「あんまり表で活躍してないから低いけど、普通にベスト3級の強さだと思うよ。というか、魔導書2冊もってて、端末も2個同時に使いこなせるバケモノを超える人間なんてそういない――と思ってたんだけど、『ハーマンだけは無理。アイツはおかしい。魔法効きにくい体質らしいし、撃ってくる雷の威力がおかしい。というか停電になるから自重しろ』というコメントを貰っているよ」

「なんやかんやで、詠も結構ノリノリで参加してるよなこの企画……」



◇Q2

「それじゃあ、現行の魔導端末について、その仕組みについて答えてもらおうかな」

「えっと、なんだっけ?」

「プログラムを実行したら魔法が出るんじゃないかったの?」

「あー……君ら、それでよく試験受かったね」

「必要なことは限界まで詰め込んで、そしてすべて忘れた!」

「全、清々しいほどに阿呆だね」

「灯里に言われたくない!」

「私はまだちょっと覚えてるもん!」

「いや、さっきの答えを聞く限り灯里さんも微塵も覚えてないと思うよ……」


 魔導端末で魔法を行使するには、まず“プログラム”を実行します。これは、端末内にあるマナを、予め定められた属性のマナへと変換し、それを保存されている術式に合わせて変質させる役割を持ちます。高級なプログラムほどこの変換効率がよく、多くの術式を組み込むことができるようになります。


「あー、そういえばそんなんやったなぁ」

「大体あってるでしょ?」

「あってないし、酷いよ――まあ、こんなもんだろうとは思ってたけど」

「「ひどっ」」

「ちなみに、端末ごとにはプログラムを同時に実行できる処理能力の限界値が設定されてて、これはCPUとか高性能なのに変えれば結構上がるんだけど――まあ、勝手にやるのは違法だよね」

「え?オレらの端末大丈夫?」

「大丈夫。それはソフトの質の差だから」


同じ処理能力で火属性に寄った術式構成を作る場合

《プログラム名》(マナ1単位に対する変換効率:火/水/風/地/光/闇)


・市販品

《Fire 2》(3/0/0/0/0/0)

《Fire 3》(5/0/1/0/0/0)

《合計》(8/0/1/0/0/0)

登録術式

ファイヤーボール

アサルトサポート

フレイムアロー

フレアレイン

フレイムランス

アサルトチャージ


・詠のオリジナルプログラム

《Magenta》(9/0/0/1/1/0)

登録術式

ファイヤーボール

アサルトサポート

フレイムアロー

フレアレイン

フレイムランス

アサルトチャージ

ナパームフレア

ドラグネイル


「まあ、見ての通り、詠君のプログラムなら市販品より4も多く変換してるってことなんだけど……このすごさわかってる?」

「いや、たった4か……って思ったけど」

「あのね、全は馬鹿だからわからないだろうけど、この4があれば、使えるのようになる術式の質も数も全然違うんだから。全は馬鹿だからわからないだろうけど」

「何で二回言った!?」

「詠君の組む構成ならこのレベルのプログラムを3つ組み込む感じだね。まあ、そうするとかなり大きい差ができて来るのが馬鹿の全でもわかると思うけど」

「三回目!」

「そういえば、少し前にレベッカが専用の術式を組んでもらったって喜んでたけど、アレはどういうこと?」

「そもそも術式の形状を変えることはそれほど難しいことじゃないから。でも、詠君の組む術式は異常な程に改良が加えられてて見てて面白いよね。形とか変えるのはあんまり意味ないけど、そういうのは浪漫だよね。流石、わかってるなぁ……」

「オレの端末には汎用の術式しか入ってないみたいだけど?」

「まあ、僕らの端末にはそんなに大した物入れてないよ。レベッカさんは実戦で使うからね」

「私たちも一応プロのライセンス取ったんだけど」

「先に言っとくけど、プロになったんだからお金払った方がいいよ。“友達”ってだけでタダにしてるといつか詠君の所に苦情が来るし」

「レベッカはいいの?」

「レベッカさんは専属契約してたみたいだし、そもそも、“黒銀連合”だし。僕も入れてもらえるように頑張らないと」

「え?丞、アイツの下につくのか」

「職場としては最高だと思うけど。まあ、その分要求されるスペックは異常に高いけど。とりあえず、詠君に相談したら影千代さんのところでしばらく鍛えてもらえって言われたから」

「いつの間にそんな相談を!?」



◇Q3

「ちなみに、師匠も兼ねてる我らが友詠君だけど、その師匠は誰かわかる?」

「なんかたくさんいそうだよね」

「ああ、そんな気がする」

「珍しく正解。詠君が師事してたのは、まず最初は“酔天”こと冷泉影千代さんなんだけど……まあ、こんなかんじ」


(15歳:カルマとの契約数か月後から)“酔天”冷泉影千代

(16歳:アメリカに送られて資格取得まで)“落雷”ハーマン・セドリック・シャンクリー

(16歳:アメリカから脱走中)“孤狼”月影照日

(17歳:ドイツ短期留学時)“西風” テア・リッケルト

(17歳:“銀の事件”前後)“蒼姫” キャロル・マガーリッジ(現在は“女帝”)

(18歳:日本の1級資格取得まで)“点極” 会津加那萌

(現在)“天壌”A・A・クロウリー、“面妖” マリウス・バルナバス・ローエンシュタイン


「つまり、その順番で師事していけばアイツみたいになれる、のか?」

「いや、たぶん無理だと思うよ。詠君曰く“常人なら20回は死ぬ。魔導書が無ければ死んでた”らしい。そもそも、大物ばっかりだから影千代さん以外は会うことも難しいんじゃないかな」

「見たことある名前ばっかりだよね……うちの学長さんって、詠が師事するほど強いの?」

「まあ、とある組織の幹部みたいだし、戦闘というよりは政治方面の知識を学んでるみたいだよ?」

「とある組織……」

「テア・リッケルトってどういう人なんだ?その人だけは名前も聞いたことないんだけど」

「まあ、端的に言うと世界で一番強い魔女だね」

「そんなに強いのか」

「(まあ、意味は伝わってないだろうけど、そっとしておこう。レベッカさんの事もまだいまいちわかってないみたいだし)」

「何か言ったか?」

「いや、何も。じゃあ、今日の講義は終わりかな」

「やったー!」

「帰れる!」

「僕は、今から真白さんと勉強するけど、来る?」

「行くわけがない!」

「え、どうしようかな……」

「灯里、行くのか?」

「うーん。最近、なんか進路が不安になってきて……全を見てると特に。こんなんじゃだめかなぁって」

「あるある、よくある」

「いつの間にか反面教師にされている……まあ、今日の所は勉強するか。補修もあるし」

「そうだね。それがいいと思うよ。次の講義でこれ以上酷いことになれば、詠君の本気の訓練(実技)を受けてもらう予定だから」

「「いや、それ死ぬから」」


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