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#01-08 A criminal is you.

警察署を出た後、2人が向かったのは魔導連大阪支部。

とりあえず、更紗の荷物を回収し、ついでに車を借りる。


「詠、免許持ってるの?」

「ペーパーだがな」

「ええー……」


不安な表情で助手席に座った更紗。

発進させる前に電話を済ませる詠。


「もしもーし、全か?」

『講義中だぞ!?』

「どうせ聞いてないだろ。それより、笹川居るか?」

『待ってろよ……………いねーな。なんで笹川なんか気にしてんだ?告白でもすんのか?』

「気持ち悪いこと言ってないで講義聞いとけ。じゃあな」

『まて!お前、山月さんとっ……』


容赦なく切る。


「……話聞いてあげたら?」

「聞くだけ無駄だ。とりあえず、アイツが良く出没する裏通りの辺に行ってみるか」

「うん」


なぜか上機嫌の更紗を隣に乗せて車を走らせる。

裏通りを中心に半径100mほどをぐるぐる回る。


「いねーか?」

「そもそも顔知らないんだけど……」

「そうだったな……茶髪で顔は厳つい感じ、ピアスとか馬鹿みたいにつけてる奴」

「あんな感じ?」


外を歩く男を指さして更紗が言う。


「ああ、うん。というかアレ本人だわ」

「え!?」


急いで近くのコンビニの駐車場に車を入れ、あとをつける。


「バレないようにする?」

「いや、もう遅い」


対象はちらちらとこちらを確認している。


「……やっぱ更紗が目立つからなぁ」

「どういう意味?」

「美人だからな。さて、本格的に気づかれたな」

「ごめんね、顔売れてて」

「まあいいさ。追うぞ」

「わかった。プログラム“Cyan”“Lemon”“Silver/-2”並列起動」

《Cyan : Starting……Success》

《Lemon : Starting……Success》

《Silver/-2: Starting……Success》

「対象2名“アクセルバースト”発動」

《Magic : Starting》


風魔法の力によって2人の移動速度が上昇する。

それを察したのか、むこうも身体強化の魔法を使い逃走する。

路地を奥へ奥へ奥へ逃げていく。


「あんまりこの辺り詳しくねーからな……」

「よくこんな細い道通ろうと思うよね……」


文句を言いつつも追いかける。


「逃げるな笹川!やましいことでもあんのか?」

「くっ!」


また笹川が角を曲がり消える。

その直後にガシャンと大きな音が響く。

詠たちが角を曲がると道は倒れた自転車でふさがれていた。


「自転車……」

「あの野郎……」

「どうしよ。迂回する?」

「いや、ちょっとどいてろ」


更紗が詠の方を振り返ると詠は銀色の魔導書を開いていた。


「5章2節『分解』」


不法駐輪の自転車体が白い光に包まれる。

そしていくつかの球に分かれていく。


「続けて5章3節『構成』、形状は球」


光が弾け、道をふさいでいた自転車は消え、アルミとゴムの球がいくつか転がっているだけとなった。


「怒られないかなこれ」

「不法駐輪なんて知ったことじゃない。それより急ぐぞ、幸いまだ背中は見えてる」


自転車を取りに来たであろう人が唖然としているのを横目に走り抜ける。


「追いついたっ!」


先に追いついた詠が、笹川の背中に蹴りを入れる。

場所は中小の町工場の集まる工場付近。


「何しやがる!」

「おら、さっさと端末出せ」

「詠、カツアゲみたいになってる……」

「やめろ、離せ!」


詠を振り切り、立ち上がる笹川。


「何の権限があるんだよお前に!オレの親父は代議士だぞ?」

「……で?」

「魔法省のお偉いさんたちにも顔が利くんだぜ?1級魔導師だろうと資格剥奪できる」

「……って言ってるけど、どうする?詠」

「さあ?アメリカにでも引っ越すかな。で、オレ……はともかくとして、更紗が魔導師だってわかって逃げたわけだ」

「いいのか?どうせ親父が揉み消すぞ」

「気にすんなよ、今録音してるし、あとでマスコミにでも流す。それより、端末をおとなしく提出しなさい。あなたには放火、殺人未遂などの容疑がかかっています」

「……魔導師(かいいぬ)如きが……プログラム“Redness”起動!」

「更紗!」

「任せて!プログラム“Lemon”“Silver/-2”並列起動」

《Lemon : Starting……Success》

《Silver/-2: Starting……Success》

「燃え尽きろ!“ダークフレイム”」

「“イージス”発動」

《Magic : Starting》


笹川の放った黒い炎は周囲を食らいながら、こちらへ進んでくる。

しかし、更紗の展開した光の盾を削ることはできない。

焦る笹川と更紗の隣で冷静に魔法を準備する詠。


「ちっ……もう一回だ!」

「プログラム“Blue”“Cobalt”“Violet”を並列起動」

《Blue : Starting……Success》

《Cobalt : Starting……Success》

《Violet : Starting……Success》

「“アクアバースト”発動」

《Magic : Starting》

《The attribute of "water" was strengthened》


燃えている周囲の事も考えて、鎮火のため水魔法を強化する詠。


「プログラム“Redness”“Schwarz”起動。“ロードオブファイア”!!」

「え!?はや……」


更紗の声を聴いた直後、詠は端末を操作しながら更紗の体を引き、射線から外す。


「プログラム継続。“アイシクルエデン”発動」

《Processing is continued》

《Magic : Starting》


詠を中心に強烈な冷気が走り、焔をかき消し、コンクリートの地面を白く凍らせていく。


「ちっ……一人じゃ分が悪いか」

「待て!」


詠の声に反応した更紗が水弾を乱射し右腕から端末を弾き落とす。


「くそっ!」


悪態をつきながらも走り去る笹川。


「追う?」

「もちろん。お前、マナの残り大丈夫か?」

「一応、補給しとく」

「イージスなんて使わなくても行けただろ」

「でも、せっかく詠が組み立ててくれたから使ってるとこ見せようと思って」


更紗が詠に微笑みかける。


「……そうか。じゃあ、行くぞ」

「うん」


笹川の端末を回収し、笹川が走り去った方向へと向かう。


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