有華の恋心
※作者はたびたびスランプに陥ります、ご注意ください※
※主人公がころころ変わります、ご注意ください※
タイトル変更、長すぎる
「と、いうわけなのよ」
「光黙ってろ」
ふざけた光の口を強制的に封じる。
「あれは大学一年のとき・・・。」
当時のわたしは何をするでもなく、無気力にすごしていた。
輝いていた世界もまるで色を失ったように。
きらきらとした過去の思い出にとらわれて、現実を見ようとはしていなかったの。
東山大に入ったのは学校の先生に勧められたから。
「ここなら君みたいな子でも入れるだろう」って、その時のわたしには蔑まれているように感じたわ。
もちろんそんなことは無くて。わたしのことを心配してくれている、ちょっと無愛想で人付き合いの苦手な先生だったんだけどね。
この大学のシステムを見たのは入ってからよ。
年に何度か学校に来て、レポートさえ提出すれば単位をくれる。
だからわたしの引きこもりになおさら拍車をかけたの。
元々人見知りだったうえ、中学の頃から仲のよかった数人は別の高校。
高校では入学式の日に骨折して入院。
ギリギリ進級できるだけの日数は取れたけど、グループに入れなかったわたしはどんどん孤立していったの。
学校には来ていたのだけど、三年生にもなるとまわりがピリピリしてきて学校に行きたくなくなった。
それからはずっと引きこもりのような生活で・・・。
そして大学一年の夏。
夏休み中にレポート提出のため学校に来たわたしは、途中で呼び止められたの。
「ちょっとそこのお嬢さん。私と共に異常現象研究会を作ってみないかい?」
壁に寄りかかり、キザなセリフと共に前髪をかき上げるその仕草が妙に似合っていた。
わたしはそんな物に興味は無かった。
ただ、もしかしたらこの『変な人』がわたしの人生を面白く、おかしくしてくれるんじゃないかって思ったの。
だから・・・。
「わたしは滅多に顔を出さないわ」
キザ男は黙って聞いていた。沈黙は数秒。
「それでもいいなら、入ってあげるわよ」
途端、彼の表情が一変したの。まるで子供のような笑顔だった。
その時、彼に恋をしたの。
それからしばらく経って、彼は幼馴染だってことが分かったの。
奇しくも初恋の子と同一人物だった。
ああ、これは運命だって。本気で信じてた。
考え事をしている時の、真剣な表情。
分析するときの、無感情な目。
喜びを全面に表した、とびっきりの笑顔。
まるで子供のような、無邪気な行動。
すべてを見通すような、切れる頭。
すべてに惹かれて、すべてを愛した。きらきらの日常を取り戻していった。
学校にも徐々に行くようになって、異常現象研究会は二人だけで、まるでデートみたいに。
思い切って告白しようとした春、事件は起きたのよ。
彼を呼び出すつもりで、下駄箱にラブレターを入れようとしたの。
『轟 御我さん
話したいことがあるので、
放課後に校舎裏の桜の下まで来てください。
お待ちしています。
有華』
少し硬いかな、でもこれ以上書いたら恥ずかしい。
不安と期待でごちゃ混ぜになりながら彼の下駄箱に向かったのよ。
そこには、黒髪のショートで可愛らしい顔立ち、身長は彼の頭一個分小さくて、オーバーオールを身にまとった可愛らしい女の子。
仲のよさそうな雰囲気で、とてもじゃないけど近づけなかった。
もしも彼が彼女に振り向いても、彼女が悪いわけじゃない。それは十分に分かってたの。
だけどね、やっぱりわたしは彼女になにかしちゃいそうで、学校にも来なくなった。
だから・・・。
し・・・しりあすぅ・・・
なんか重いっす・・・自分、堪えられる自信がないです