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一人百物語 2

怒っている女

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


ある日、仕事の移動で天野さんがタクシーに乗り込むと、信号待ちでタクシーが停まった。

ふと右横を見ると、そこにも同じ方向に向かうタクシーが停まっていて、後部座席には眼鏡をかけた中年男性が座っていた。

そして更に見ると

助手席の窓ガラスに、中年よりはまだ少し若い、ゆるやかなウェーブのパーマ頭の女性の顔が映っていた。

助手席には誰も乗っていない。

助手席の窓の右半分あたりに、どういったわけか、女性の顔の部分だけが映っていた。

窓ガラスに映っている女性は何やらとても怒っている様な表情で、天野さんの方を向いてしきりと何かを訴えて口をパクパクとさせ、次には後部座席の中年男性を睨みつけては、また何かを言っている様だった。

「……」

天野さんはどうしたものかと眺めていたが

やがて信号が変わり、女性の映っているタクシーは先に行ってしまった。




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