〜□D51■D〜貴方様が私の為に泣いてくださるから泣けない私の心は救われるのです〜
「何故そんな事を言う?結果的にお前は光りを失ったではないか?」そう。デージョ王子様は私にお訊ねになる。
……紅茶色の綺麗な瞳を揺らしながら。
「…確かに…右眼の光りを失った事は残念ですが、私には、まだ左眼が残っております。ーーそれに」
私は、デージョ王子様に応え……思う。
……紅茶色に揺れる綺麗な瞳から美しく涙を流す尊い御方。
……私の事を想うあまりに御自身が泣いている事にお気付きにならない。泣けない私の為に泣いてくださる御方。
……泣くことができない誰かの為に涙を流せる尊い御方。
私はそんな綺麗な心を持つ貴方様を深く愛しています。
「失くして初めてー見えるものもございますー」
光りを失す前よりも…もっと…貴方様が、とても眩しい。
ーー尊い。ーー愛しい。貴方様の頬に伝う涙に指先を伸ばして触れれば、そこで、やっと貴方様は、御自身が泣いている事にお気付きになられましたね。……なんて尊い御方。
「デージョ王子様ー私の為に泣いてくださりありがとうございますー貴方様が私の為に流してくださる涙ーその優しく尊い綺麗な想いを拝見させていただいて私は、とても嬉しく思いますー」
尊いデージョ王子様に私は告げました。
「ー貴方様が私の為に泣いてくださるから泣けない私の心は救われるのですー」
「…俺が、オマエの事を救っている…?」不思議な御表情をされるデージョ王子様の男性にしては華奢な造形の小さな御顔に手を添えて、私は一つ小さなKissを贈りました。
「…………」デージョ王子様は、何が起こったのか?混乱している御様子で、固まっておられました。
「今のは、感謝のKissです。私の心を救ってくださったデージョ王子様へのー感謝のKissですー」
「…………」何もお応えにならないデージョ王子様に私は、想いを告げました。
「貴方様はきっと。おわかりになられないかも知れませんが、私にとってデージョ王子様ー貴方様の存在がどれ程に大きな喜びかー私は貴方様に深く感謝しているのですー」
去り際に「デージョ王子様ー私は貴方様を深く愛していますー」告げた想いがキラキラとデージョ王子様の流される涙の様な光の粒になって、残暑の色濃く残る青い空へ晩夏の涼風が運んでいきました。
ーー熱い夏が、……過ぎ去ってゆく。
ーーもうすぐ秋摘みの美味しい紅茶の季節がやってくる。
私はただ愛する貴方様と美味しい紅茶をいただきたい。
私の願いは、ただそれだけ。
それが私の幸福なのです。




