〜■D4□Dーー何か出たッッッ!!〜
「ーーなっ、何か出たァァァ!!」
怯えてドリルの様に揺れる地面にめり込み私の後ろを指差し怯えるオドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃん。
「ちょっと落ち着きなさいな!!何かって、何ーー!?」
振り向いた私は、叫びました!!
「ーー何か出たッッッ!!」
其処に広がる光景は、何だかお洒落なロッジの様なウッディ(木製)な建物……。……まぁ。何てご立派な……。
とか、関心している場合では無い!!
「えっ!?これ私がやったのかしら!?」背後に聳え立つ何とも御立派な建物と己の右手を交互に見遣り。
「いやいや!!私が在れと言ったのは、紅茶であって、こんな謎の建物では無いわよ!!」
右手をブンブン無い無いと横に振り言ってはみるが、其処で私は、ある香りに気付いたーー。
「あれ?あれれ?この香り、紅茶の香りがする!!」
芳醇な香りに誘われて私は、その突然目の前に現れた御立派な謎の建物へと歩み寄る。
「なっ、ナロージュ様っ!!」
後ろからオドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃんが、心配そうな声で私の名を呼ぶのが聞こえた。
繁繁とその紅茶の香りのする御立派な建物を見遣ると。何か表に看板の様な物が掲げられている。そして其処には多分この世界の言葉で何やら記されている。
そして、不思議と私にはその異世界の言葉が読めた。
……と言うか。自作小説の世界だしね……。
……そう言えば変に作品を作り込み文字まで作ってた。
……事を思い出した。黒歴史此処に極まれりね……。
……アルファベットを逆さまにした様な文字。
「えっと、ー紅茶工房ーって、書いてあるわ!!」
私が看板の文字を読み解いて言えば、ドリルの様に地面にめり込み怯えるオドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃんが、モグラみたいに顔だけをピョコンと出して私の名を「なっ、ナロージュ様ぁ〜〜!!」と心配極まった様子で呼ぶので取り敢えず地面にめり込んだ彼女を救出し私は言う。
「さぁ!!中に入ってみましょう!!」
「えぇ〜〜!?」
オドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃんが、オドオドと怯えて声を上げる。
「ほら♡早く♪」
そんな彼女の小さな手を取り謎のー紅茶工房ーの木のドアを開き私はワクワクと《ドリル・メイドール》はオドオドと共に建物内へと足を踏み入れたのだった。
建物の中は、案外広かった。そして暖かい木の温もり溢れるお洒落な空間が広がっている。其処彼処から紅茶の芳しく華やかな良い香りがしている。建物内は二部屋に分かれており。目の前の部屋はさながら喫茶店の様な風貌でシックで落ち着いた室内に繊細なカフェテーブルとチェアーが設置されている。そして、透明な硝子戸を隔てた奥には何やら作業場の様な空間が広がっていた。
「なっ、何でしょう?此処は?何だかとても良い香りがしますがっ!!」《ドリル・メイドール》はオドオドと落ち着かない様子で、落ち着いた室内を忙しなくキョロキョロと見渡して言う。彼女の性格は私自身がキャラ設定したので、自分で言うのもホントに何だが、こんなに落ち着いた空間で、こんなに落ち着かない様子で居られる何て、キャラ設定って凄いんだな。と一人心の中で感心する。
「香りの正体はコレね♡」
私は、硝子戸を開けて作業場の様な空間の中に入り。作業台にびっしりと敷き詰められていた。麗しいボルドーに染まった紅茶の茶葉を両手いっぱいに掬い取ってオドオドと落ち着かない様子の《ドリル・メイドール》へと見せてウインクして言う。
「確かにー紅茶よ在れーとは言ったけど!!まさか茶葉からとはね!!其処からっ!?って感じね♪」
何だが楽しくなっちゃってベラベラと話す私を《ドリル・メイドール》ちゃんが不思議そうに細い首を傾げて問う。
「そっ、そのぅ。…こうちゃ…とは、一体?」
オドオドと私の紅茶の茶葉をいっぱい掬った両手を頭に疑問符を沢山浮かべて繁繁と見詰めるオドオドメイドちゃん。
「そうだったわね。先ずは其処からよね。紅茶と言うのはとても美味しい飲み物よ♡」
私の言葉に《ドリル・メイドール》ちゃんは驚いて訊く。
「のっ、飲み物?これがですかっ!?」
信じられないと言わんばかりの彼女に訊き返す。
「あら?コーヒーだって、これ飲み物ですか?って、感じでしょう?」
「そっ、そう言われると。…確かに…」
私の言葉に彼女は何だが腑に落ちた様に頷いて、続いて私にオドオドと怖ず怖ずと訊ねてくる。
「どっ、どうやって飲むのでしょうか?…こっ、コーヒーの様に挽いてお湯で蒸らして飲むのでしょうかっ!?」
怯えながらも興味が隠せない様子の《ドリル・メイドール》ちゃん。流石メイドキャラ。色々と気になるのね。
ちゃんとメイドしてて偉いわよ♡と心の中で褒めつつ。
「ふふ♡では、食後のティータイムと洒落込みますか♪」
ーーと。茶葉を手に室内を見渡せば、ティースプーンにティーポットにティーカップにソーサーからティーストレーナー迄、汎る紅茶に関するティーグッズが戸棚に勢揃いしているではありませんか!!何ここ紅茶天国なのっ!?
私は、ウキウキで作業場内に設えられた小さなキッチンで、丁度良さげな缶に両手いっぱいに掬った紅茶の茶葉を移して、先ずはポットでお湯を沸かす。
「この時!!お湯は勢いよく沸かすのがポイントよ♪」
私の隣でウロチョロと興味津々に紅茶を淹れる様子を見学する《ドリル・メイドール》ちゃんに説明する。
「まっ、先ずは、お湯を勢いよく沸かす!!」
メモメモと《ドリル・メイドール》ちゃんが何処からか取り出したメイドノートにメモを取る。
「そして先に、ティーポットとティーカップにお湯を注いで温めるのよ♪此れを《湯通し》と言うわ!!」
「…《湯通し》…」
一生懸命にメモメモとメモを取る《ドリル・メイドール》ちゃんのメモの様子を見遣ってから。
「次に温めたティーポットのお湯を捨て、温まったティーポットにティースプーン1杯を1人分とし人数分の茶葉を入れる。私とメイドールの分で2杯ね♡」
「お湯を一度、捨てるのですね…ティースプーン…1杯分の茶葉…ティースプーンと言うのは?後、茶葉と言うのは一体?」一生懸命メモメモを取る。メイドノートから小ぶりな顔を上げて《ドリル・メイドール》ちゃんが、疑問符いっぱいに質問する。
「ティースプーンは、これよ♡」
小さな銀色のスプーンを掲げて《ドリル・メイドール》ちゃんに見せて言う。オドオドメイドちゃんが、興味津々と私の掲げた銀色のティースプーンを手に取り深い灰色の目で見詰めて言う。
「なっ、何て可愛らしい。とても小さなスプーンなのですね。デザートスプーンよりも小さいですっ!!」
可愛らしく燥ぐオドオドメイドちゃんを微笑ましく見遣って、次に私は缶に移した紅茶の茶葉をもう一度今度は、片手に乗せて《ドリル・メイドール》ちゃんに見せる。
「そしてこれが紅茶の茶葉よ♡茶樹から摘んだ葉を発酵させた物よ♡」
ティースプーンを片手にオドオドと私の掌の上に乗った紅茶の茶葉を興味津々と繁繁と見詰めて言う。
「なっ、何だか…その…枯れ葉の様で御座いますがっ」
そして、ハッとした様子でティースプーンを持った小さなお手々で小さなお口を塞ぎ「すっ、すみましぇん!!失礼致しましたっ!!」と。何時もの如くドリルの様に床にめり込もうとするオドオドメイド《ドリル・メイドール》を私は、既のところで止める。
「ストップ!!メイドール!!ドリルストップ!!」
こんなに素敵なー紅茶工房ーを壊されたくない!!
既のところで《ドリル・メイドール》が床にめり込む前に何とか止めた!!良かった!!ー紅茶工房ーは無事だ!!
謎のドリル危機を乗り切った私は、ストップコールにフリーズするオドオドメイド《ドリル・メイドール》に言う。
「さあ♡メイドール!!そのティースプーンで紅茶の茶葉を2杯分ティーポットに入れて頂戴な♡」
「はっ!はいっ!!」《ドリル・メイドール》は、私にオドオドとでもはっきりと返事をしてから私から紅茶缶を受け取り片手に持った銀色の小さなティースプーンで紅茶の茶葉を2杯掬って、温まったティーポットへと恐る恐る入れた。
「有難うメイドール♡」期待と不安が入り混じった様子のオドオドメイドちゃんに私は御礼を言い。いよいよ大詰め。
「ポットで沸かした新鮮なお湯をティーポットに注ぐ」
ーーーートポポポポッッッ!!
「この時!!お湯を勢い良く注ぐのがポイントよ♪」
温めたティーポットに高い位置から私は勢い良くお湯を注ぎ解説する!!
「お湯をティーポットの中で対流させれば紅茶の茶葉が、ティーポットの中を美しく舞うのよ♪其れはもう♡舞踏会でワルツを踊るようにね♡紅茶の茶葉が美しく踊れば香り高く美味しい紅茶になるの♪」
「すっ、凄いです♡とても良い香りが致しますっ!!」
ー紅茶工房ーに芳しく華やかな紅茶の香りが広がる。
「お湯を注ぎ終えたら♪直ぐにティーポットに蓋をして、3分間蒸らすのよ♡」
白い陶磁器のティーポットに同様の白い陶磁器の蓋をし私と《ドリル・メイドール》はワクワクとその時を待つ。
3分間を計る砂時計を逆さまにして、長い様で短い。
3分間を息を詰めて待つ。軈て砂時計の最後の砂が落ち。
3分が経過したのを確認して、私は温めたティーカップを二つ。そしてティーストレーナーを用意する。
「さあ♡このティーストレーナーをティーカップの上でお持ちになって♪」
私が差し出した銀色のティーストレーナーをオドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃんは、恐る恐る。
「はっ!はいっ!!」と。銀色のティーストレーナーを受け取り温めたティーカップの上にオドオドと構える。
「ふふふ♡」一生懸命で可愛らしいオドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》に微笑み。
片手でティーポットを持ち。軽くティーポットを回す。
「ー美味しくなぁ〜れ♡ー」と。魔法の呪文を唱える。
「ー萌え♡ー萌え♡」詠唱する。
「ーキュン♡ーキュン♡」とても強力なお呪いである。
「良いいこと《ドリル・メイドール》貴女もメイドの端くれなら紅茶を淹れる時はこの呪文を詠唱なさい!!」
「はっ!はいっ!!ナロージュ様!!」
蛇足だが、この日オドオドメイド《ドリル・メイドール》は、能力《萌えキュン♡》を会得したのだった!!
「能力《萌えキュン♡》メイドール行きますっ!!」
オドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》が、ティーストレーナーをティーカップに丁寧に置いてから。早速♡会得した能力《萌えキュン♡》を一撃必殺炸裂した!!
「おっ!ー美味しくなぁ〜れ♡ー」胸の前で♡
「もっ!ー萌え♡ー萌え♡」小さな両手でハートを作る♡
「ーキュン♡ーキュン♡」ーーパァァァアアアア!!
オドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》の放ったハート♡からピンク色のハート型の光がティーポットを包む♡
ーーそして!!ーーパラララッパラー!!と。
何とも愉快な音が鳴り響き♪
『ー美味しさが100%UPしましたー』ーーと。
何やらパラメーターの様な物が出て報せてくれた。
「凄いわ♪メイドール♡流石は現役メイド!!」
私が拍手絶賛で全力で褒めると。
「〜〜っうう!!」と《ドリル・メイドール》が何故だがポロポロと深い灰色の瞳から涙を流した。
「ぇぇええッッッ〜〜!?!?」
私は取り敢えず。ゆっくりと片手で持ったティーポットを置き《ドリル・メイドール》の小さな背中を擦る。
「どっ、どどどーしちゃったのょおぉ!?」オロオロとオドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃんに訊ねてみてみれば「すっ、しゅみましぇん…なっ、ナロージュ様に…褒められたの…はっ、初めて、でしたので、嬉しくって!」
「なっ、何だかごめんなさいね!此れからはバンバン褒めてくからね!」ちょっと転生した時の影響なのか、自分で書いた世界にも関わらず。記憶が曖昧としているけども。此れは、アレね。ちょっと悪役令嬢だからと言って、キツく書き過ぎた感じがするわ。オドオドメイド《ドリル・メイドール》ちゃんの様子に俄に胸が痛んだ。
「涙を拭いて!ティーストレーナーをお持ちになって!」
私が言うと彼女は、大粒の涙を繊細な指で拭い。
私が差し出したティーストレーナーを今一度持った。
「さあ♡しっかりとお持ちになるのよ♪ そしてメイドールの方のティーカップと私の方のティーカップに交互に紅茶を注いでゆきましょう♡」
「……交互に、ですか?」泣き止んだオドオドメイドちゃんが不思議そうに訊き返す。
「ええ♡交互に少しずつ紅茶を注いでゆく事で、紅茶の濃さが均等になるのよ♪」
私が解説すると「なっ、なるほドリルですっ!」と。
《ドリル・メイドール》ちゃんが可愛く言った。
そして私は、改めてティーポットを片手に持ち。
ーーーートポポポポッッッ!
ーーーートポポポポッッッ!
ーーーートポポポポッッッ!
ーーーートポポポポッッッ!
ーーと。交互に少しずつ其々のティーカップに《ドリル・メイドール》ちゃんが構えたティーストレーナー越しにティーポットから紅茶を注いでゆくーーーー。
「なっ、ナロージュ様!とても美味しそうですっ!」
琥珀色に輝く宝石の様にキラキラと煌めく紅茶を見て。
《ドリル・メイドール》の深い灰色の瞳が爛々と輝く。
「ふふふ♡おまちどう様♪さあ♡召し上がれ♪」
そう《ドリル・メイドール》へと私は、ティーカップを差し出した♡
ーーそれから。私の紅茶を飲んだ《ドリル・メイドール》は、うっとりとした表情をして、すっかり紅茶に魅了され。この日を境に紅茶の虜となったのであった。




