〜■D23□D俺はっ!!俺は紅茶と婚約するっ!!〜
「ー…デージョ王子様…私が、婚約破棄を受け入れたのには、理由が御座いますー」灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)が俺の煽りに動じず冷静に答える。
「理由!?何だょ!?上等だぁ!!言ってみろやぁ!!」
最早、喧嘩腰に俺が聞き返せば、灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)は、無駄に豪奢なテーブルに司令塔の様に両手を組み鋭い目付きで俺を見てくる。謎に貫禄と言う名の圧を感じる……。
そして灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)は、俺に言う。
「デージョ王子様は他に想い人がいらっしゃるのでは?」
ーーーーと。
「ーーーーはぃ!?」
思いがけなさ過ぎる問いに声が裏返った…………。
…他に想い人?…俺に?…他に?…えっ!?誰だ!?
困惑する俺に無駄に豪奢なテーブルに司令塔の様に両手を組み鋭い目付きで俺を見てくる。謎に貫禄と言う名の圧を感じさせる灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)は、鋭い目付きを更に鋭くさせ俺に訊いてくる。
「…私の目は誤魔化せません…私には見えます。デージョ王子様…貴方の心の優雅なガゼボにいらっしゃる紅茶の貴婦人の御姿が、見えるのです…」
「…心のガゼボ…紅茶の貴婦人( ゜д゜)ハッ!?」
灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)に訊かれて、俺は思い当たった。
俺の心の優雅なガゼボにいらっしゃる紅茶の貴婦人と言うのは、まさか、昔、夢に見たー紅茶の神様ーの事かっ!?
紅茶の貴婦人と言う言い回しから察するに。恐らく灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)は、俺の心の優雅なガゼボにいらっしゃるのは、昔、夢に見たー紅茶の神様ーとは思ってない様だな。
確かにー紅茶の神様ーに心奪われたのは確かだが、だがな。俺は、神に求愛をする様な図太い神経は、残念ながら持ち合わせてねぇ。そんなン畏れ多すぎるだろがぃ。
「…やはり…いらっしゃるのですね……」
灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)の勘違いは加速してゆく。
「想い人がいらっしゃるのならば、その御方と共になるべきです」灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)が凄く真面目な表情をして言う。
「…ぃやぁ。あの御方は、想い人っつーか、なんつーか、最早、神っつーか、女神っつーか…」なんて言えば良いのか?しどろもどろになる俺にとんだ勘違い灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)は稲妻の如く剣幕で( ゜д゜ )クワッ!!と言う。
「何をモジモジしているのです!想い人がいらっしゃるのならば!早く告白してきなさいな( ゜д゜ )クワッ!!」
「テメェもな!俺が想い人ってんならよォ!俺に想い人がいようがいまいが!もっと紅茶のジャンピングぐらいの激しく熱い想いをブツケてこんかぃ(# ゜Д゜)プンスコ!!」
ムカつくので怒濤に(# ゜Д゜)プンスコ!!言い返す。
因みに紅茶のジャンピングと言うのは、ティーポットの中で茶葉が上下に活発に動く現象の事だ。これは、汲み立ての新鮮な水を沸騰直後のお湯で注ぐ事で、お湯に溶け込んでる空気が茶葉の表面にくっつき、茶葉が浮かび上がっては、空気が弾けて沈む、と言う動きが繰り返される事で起こる。この運動により、茶葉の成分が均一にお湯へと溶け出し、香り高く、味の良い紅茶になるって寸法よ。って、大好きな紅茶の解説をしてもどうにも怒りが収まらなくなった俺は、自分で言うのもなんだが、謎な事を口走ってしまったんだわさ。
「ーーもぅ良い!!」
……今、思えば、灰汁抜き蓮根(悪役令嬢)とのロマンスが、あらぬ方向へと狂い始めたのは、全ては、俺のこの一言からだったのではないかと……切実に、そう思う。
「ーー俺はっ!!俺は紅茶と婚約するっ!!」
何故、そんな事を言ったのかは、自分でも解らない……。
唯、気付いたら……俺は、そう、口走っていたんだ。




