〜■D2□D自作小説の世界に転生した〜
ーー……私が書いた小説の世界だッッッ!!
そう気づいた私は、取り敢えず。豪奢な部屋の床に見事に回転ドリルの如くめり込んだ己のオリキャラ。
オドオドメイドメイドール。こと《ドリル・メイドール》を床から救出して情報収集を。と思い床にめり込むオドオドメイドちゃんの細い腕を掴んだ。ーーその瞬間に《ドリル•メイドール》が、尋常で無いくらいに怯え泣き叫び始めた。
「ヒィっっ!!おっ、お許しくださいッッ!!どうか!!ドリルクラッシャーパンチだけはッッ!!御慈悲を!!」
灰色の瞳に涙をウルウルと溜めて、床にめり込む哀れなオドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》最早これは、悲痛な命乞いであった。
「〜〜ナロージュ・ピクセル様ッッ!!」
「んん!?今ナロージュ・ピクセル様って言った!?」
「はっ、はひぃ〜〜!!畏れ多くも御名前をよっ、お呼びしてしまいました!!すっ、すみましぇん〜〜!!」
私は、ある違和感を持って豪奢な部屋の中央に置かれた何だか色々と話し出しそうなオトギ話の魔法の鏡の様な大きく豪奢な姿見に己の姿を映して確認するーーやっぱりか!!
ーー其処に映るのは、豪奢なクルクル金髪縦ロール。
ーー氷の様に凍てついた冷たい湖の様な青い瞳。
ーー人を見下す高飛車な美しい美貌。
ーーその姿は、まさに絵に描いたような。
「ー悪役令嬢ーナロージュ・ピクセル……だわ」
オドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》が、怯えるのも無理はない。彼女は、悪役令嬢ナロージュ・ピクセルのお付きのメイドちゃんで、常日頃いびられているのだから。
そう言う風に私が設定し書いたのだから……。
そして私は自身で書いて設定した悪役令嬢に転生したってわけね……名前。思いつかなくて、自分のペンネームを付けたのよね。……ああ。痛いわ。色々と痛い。自作の小説の世界の自身で書いた悪役令嬢(自身のペンネーム)に転生とかキモヲタ此処に極まれりね。ああ……頭痛がしてきたわ。
兎にも角にも取り敢えず。灰色の瞳に涙をウルウルと溜めて、床にめり込む哀れなオドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》を優しく救出して、紅茶を淹れて貰おう……。
そう思った私は、オドオドメイドちゃんをこれ以上怯えさせないように「怖くないわよ♡」と手取り足取り一挙手一投足に女神の加護を受けた様な慈愛を込めて、小動物の様に怯えるオドオドメイドちゃんに手を差し出す。
此処で肝心なのは迎えに行かないことよ!!
ただひたすらに待つの!!優しい微笑みを絶やさずに!!
差し伸べた手を相手が取ってくれるその日まで待つの!!
此方からは決して行かずあちらから来るのを待つ!!
私は、何時でもアナタの存在を受け止めますよ♡
と女神の様な慈愛を放って、ーーさぁ♡来なさい♡
そうして手を差し伸べていると。軈てーーーー、
オドオドとオドオドメイドちゃんが、怖ず怖ずと恐る恐る。私の差し伸べた手に触れる。
……フルフルと酷く震えている。
可哀想にこんなに怯えて、自分でそう言う設定にしたとは言え流石に気の毒になってくる。
……申し訳無い気持ちが胸に広がる。
そして、私は決心した。此れからはこのオドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》に優しくしようと!!
心に決めたー不虐の誓いーである!!
《ドリル・メイドール》をめり込んだ床から優しく救出し私は女神の微笑みで「今まで辛く当たってごめんなさい」と今まで酷かったであろう非礼を詫びた。
「これからは仲良くやりましょう♡」
《ドリル・メイドール》の手を優しく撫でて微笑み囁やけば、「…ナロージュ・ピクセル様…」困惑するオドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》……うん。そうよね。
いきなりそんな事を言われても困惑するわよね。
これからゆっくりと心を解していかないといけないわね。
まあ。取り敢えず。麗しの乙女同士心を通わせるのなら。
此処は、やっぱりーーお茶会ね♡女子会って奴よ♡
美味しい紅茶と朝だから朝食だわね♡
《ドリル・メイドール》の床にめり込んだ際に汚れた黒いメイド服の長いスカートの裾をーーパッパと払う。
「なっ、ナロージュ様がっ、わっ、私のメイド服の裾の汚れを払うだ何てっ、いっ、一体全体どうされたのですっ!?あっ、頭のネジがドリルで弾け飛んだのですかっ!?」
……うん。酷い言われようだわ。これは打ち解けるまで時間を有するわね。……がんばろ!!
「私は文字通り生まれ変わったの♡さぁ取り敢えず紅茶とサンドウィッチでお洒落に朝食へ洒落込みましょう♡」
そう言った私にオドオドメイドちゃん《ドリル・メイドール》は、頭に疑問符を浮かべて不思議そうに問うた。
「あっ、…あのぅ…ナロージュ様…こうちゃ?とは、一体全体…何でございますでしょうか?」
「ーーへぁ!?」私の口からは、思わず散光星雲を故郷に持つ宇宙人ヒーローの様なプルス・ウルトラ(もっと向こうへ)な声が衝いて出た!!
……そして、またしても思い出した……。
そうか…そうだった…。そう言えばこの世界……。
ーー紅茶と言う概念の無いーー世界だった!!




