〜■D10□D捕まる王子様〜
「ーとても良い香りだー…頂こう…」
静かに囁き一口その至高の《紅茶》を含めばーーーー。
俺の口は、もはや紅茶の踊り子達の独壇場となったーー。
華麗で優美な彼女達を飲み込めば喉を幸福の調べが伝う。
この瞬間俺は、アフタヌーンティー王子様って奴だった。
「ーうむ。誠に美味であるー」俺は心からの賛辞を述べた。そしてその至高なる《紅茶》を優雅に最後の一滴まで余すことなく一杯飲み俺はは、静かにティーカップをソーサーに置き。
「ー美味であった。礼を言うー」と。囁き音も立てずにガーデンチェアーから立ち上がり。辺りを伺う。名残惜しいがそろそろ行かないとモンテビアンコ(←※モンストロ・ブランの事だよ)に見つかってしまう。「ー世話になったー」そう最後に丁寧に一礼して俺は颯爽と中庭から急ぎ立ち去ったのだった。
ーーアフタヌーンティー王子様から。
ーー紅茶逃亡王子様へと戻るのだ。
……夢の様な一時から覚めて現実へ戻らねばならない。
ーー何故なら俺は、紅茶追放王子様だからだ。
……と藪の中へ急ぎ身を隠そうと思ったその瞬間だった。
「ーー王子確保!!」首根っこを掴まれて俺は、呆気なくも捕まってしまったーー!!捕まる王子様である!!
「…モンモンブランコ…」
「ーデージョ王子ー私の名前は《モンストロ・ブラン》でございます。ーモンモンブランコーではありません」
「…そうだったか…モンスターバースト」
「ー《モンストロ・ブラン》でございますー」
「…まぁ良い…それよりも毎回そうやって、王子確保!!と。首根っこ掴むの辞めてくれないか?…捕獲の仕方が猫のソレだ…俺は猫じゃない…そして、首が詰まって苦しい…」
俺が訴えればモンスターブランデー(←※《モンストロ・ブラン》の事を言ってるよ)は、悪びれも無く言いやがる。
「ーー其れは、其れは、大変失礼致しました。藪を漕いで逃げる姿が余りにも猫のソレにそっくりで、ついーー」
「…お前…俺が、寛大な王子様で良かったな。侮辱罪で死刑になってもいいところなんだぞ…本当は…」俺の渾身の脅しも虚しく。しれっと。ストローブーメラン(←※《モンストロ・ブラン》の事を言ってるよ)は、何故か楽しそうに笑って言う。
「ふふふっー私のお仕えする。デージョ王子は、そんなに裁量の小さな御方では御座いますまいー」
「まぁなぁ〜」俺は自分で言うのもなんだが、煌めく漆黒のグラボブレイヤーの髪を掻き上げて格好つけて応えた。
そして、もう《紅茶逃亡王子様》から《捕まる王子様》へと相成ったワケなので此処は観念して潔く馬車へと戻ろう。
「ハァ〜…もう良い…早く馬車に戻るぞ」
溜め息混じりに俺が言えばモンスターブーメラン(←※《モンストロ・ブラン》の事だよ)がすかさず言う。
「その必要は御座いませんよ。王子ーもう既に我々は目的地の領域内で御座いますー」ーーと。
「あ?何を言っている?」
俺が訊けばモモンガブースト(←※《モンストロ・ブラン》の事を言ってるよ)は、にこやかに言うのだった。
「ーデージョ王子は誠に方向音痴であらせられるー私達が今いる場所は、王子が《アフタヌーンティー王子様》をしてらした中庭も含め全てピクセル家の領域内でございます」
スロットブランジェリー(←※《モンストロ・ブラン》の事を言ってるよ)に向かい俺は腹の底から叫んだ!!
「はぁーーーー!?」




