29.パーティーへ sideフォーリア
あの悲しい知らせから暫く経ち…
お義母様は少しずつ事実を受け入れ、持ち直してこられました。
まだ以前の明るさはありませんが、時折笑顔を見せてくださるようになりました。
そして婚約発表パーティーを目前に控えたある日。
私の元へセイン様からドレスが届きました。
私はわくわくとサロンへドレスを見に行きます。
そこには、メイドたちによって綺麗にトルソーに掛けられた素敵なドレスがありました。
ワインレッドのデコルテドレス、ラインはアズライト国風のスレンダーライン。
二の腕まである、繊細な黒のレースのロンググローブ。
ドレスの裾には、グローブと同じ黒レースがあしらわれています。
イヤリングとネックレスは、セイン様の瞳の色のルビー。
「まぁ、殿下の黒髪紅瞳のドレスね!」
「いや、ちと、独占欲が強すぎんか…?」
ドレスを見に来た義両親です。
「それだけ想われてるってことなのよ。ね、フォーリアちゃん」
「しかし…これ程に殿下の色で揃えられては、我々の色が入れられんではないか」
「…貴方、そこは婚約者にお譲りくださいな。二人の婚約発表ですもの。私たちの色は、次の機会に取っておきましょう?」
「…むぅ、そうだな…。フォーリア、次の夜会のドレスは銀と緑で作るぞ!」
「ふふっ。はい、お義父様」
お義父様、お義母様、フォーリアはお二人の義娘になれて幸せです。
***
パーティー当日。
王宮の広間にはたくさんの貴族たちが揃い踏みです。
その華やかな賑わいの中、公爵家であるお義父様とお義母様、お義兄様が入場されました。
今日は、お義父様がサファイアブルーの生地に銀糸の刺繍をあしらったジュストコールに共布のクラバット。
お義母様がお義父様と同じサファイアブルーのドレスに銀細工のアクセサリー。
お義父様の髪色とお義母様の瞳色で仕立てたお揃いの装いです。
お義兄様は白地に銀糸の刺繍のジュストコールとスカイブルーのクラバット。
こちらはお義兄様の髪と瞳の色です。
一際華やかなオーラを纏うロゼライト家の登場に、会場にほぅ…と感嘆のため息が零れました。
次に王族の方々。
両陛下は黒に染め上げたシルクのジュストコールとワンショルダードレス。同じ黒の絹糸で全体に施された細やかな刺繍が、シンプルさの中に華やかさを演出しています。
国王陛下のクラバットは王后陛下の髪色瞳色の紅。
王后陛下のアクセサリーは国王陛下の瞳色の金細工。
王太子夫妻は橙色のジュストコールとホルターネックドレス。こちらは妃殿下の橙髪橙瞳。
クラバットとアクセサリーは、王太子殿下の瞳色の金。
王族の皆様の威厳が、会場の空気をキリッと引き締めます。
最後はいよいよ私たち。
セイン様の色を纏った私と、黒地に金糸の刺繍をあしらったジュストコールに緑色のクラバット姿のセイン様が、広間の入り口で待機しています。
「………」
緊張で身を固くする私に
「…緊張しているのか?」
セイン様が優しく声を掛けてくださいます。
「大丈夫、私が傍に付いているから。さぁ、笑って」
そう私を励まし、手を差し伸べられました。
私はセイン様の手に自分の手を重ねます。
…ガチャリ
そして広間の扉が開き、私たちは会場へ足を踏み入れました。




