27.悲しい知らせ sideフォーリア
お義父様方が調査をされている間、ジュリア様が仰った通り私とお義母様は王宮に滞在することになりました。
ジュリア様とセレス様にはとても良くしていただいています。
座学と魔術の授業まで受けさせていただいて、感謝に堪えません。
そして今は皆でお茶をしています。
「フォーリアさん、そのバレッタ、素敵ね」
「このバレッタはお義兄様と領都へお出かけした時に、お義兄様が買ってくださったものなのです。…兄妹になった記念に…と」
「まぁ!シオンが!?」
「うふふ、セインがヤキモチを妬きそうなエピソードね」
「でも、セイン様もパーティーの衣装をご用意なさっているのでしょう?」
「はい。お義兄様もそう仰っていました」
「セインが女性にドレスを贈るなんて、きっと貴女が初めてよ。楽しみね、フォーリア」
「…はい」
“セイン様がドレスを贈る女性は私が初めて”
ジュリア様のその言葉が嬉しくて、私はこっそりと笑みを浮かべました。
***
それから暫く後、王宮の一室にて。
部屋には両陛下、王太子夫妻、セイン様、義両親、お義兄様、そして父上、と皆揃っています。
ローアン国へ潜入したクリスさん、シルさんから連絡が来たとのことで、今日はその報告会です。
…あら?お義父様のお顔色があまり良くないような…?
「では、報告を聞こうか」
陛下のお言葉に
「先ずは私から」
セイン様です。
「先日崖の上を再調査したところ、新たな轍と靴の跡を発見しました。靴跡はどちらも男性用、うち一方は前回とほぼ同じ靴跡です」
「ほぼ同じ靴跡ということは…フォーリア嬢を崖から落とした犯人が再びあの崖に来た、と?」
「はい。轍の跡は真っ直ぐ崖に向かっていました。あの場所を知っているのは、我々以外では犯人しかいません」
「なるほど。…で、もう一人は?男だと言っていたな。だとすると、可能性があるのは…」
「スヴェン王子かバドム侯爵ではないかと。フォリ…エミリア嬢が愛し子だったと知って、連れ戻しに来たのかもしれません」
「…何を、今更…」
「…そして森の中の現場付近に野営跡も見つけました。跡を辿ったところ、辺境都市へと向かっていました。…既に我が国に入り込んでいると考えて間違いないでしょう。第四部隊に通達して、辺境都市を調べております」
「陛下、その事について発言よろしいでしょうか?」
お義父様です。
「言ってみよ」
「エミリア嬢が魔の森に居たのは、エミリア嬢の妹のドロシア嬢が手を回したものと思われます。そして、ローアン国王がエミリア嬢が愛し子だと認め、スヴェン王子が愛し子に婚約破棄と国外追放を言い渡した罰として、王太子位を剥奪しエミリア嬢を連れ戻す様命じた、と」
「…エミリア嬢を探しに来たのは、スヴェン王子のようだな。どうやったかわからぬが、エミリア嬢を崖から落とした犯人と接触し、迷わず此方に向かって来たか」
「ドロシア嬢とバドム侯爵は愛し子を騙ったとして連行されましたが…ドロシア嬢は投獄、バドム侯爵は間もなく釈放された、と」
「釈放?バドム侯爵は娘の騙りに関わりが無かったということか?」
「残念ながら、そこまでは定かではありません。ただ、バドム侯爵は今は自由の身。ユーフェリアを拐ったのがバドム侯爵ならば、今度はフォーリアを狙ってくるやも…」
「そうだな。スヴェン王子とバドム侯爵の動向を探り、警戒を強めねば。…精霊王殿、バドム領はどうでしたか?」
「ああ、バドム領で魔力を探ってみた。愛し子の魔力の残滓は感じるのだが、フェリィの魔力は感じられなかった。…フェリィは本当にバドム領に居るのだろうか…?」
「そ、そのことなのですが…精霊王殿」
お義父様…?お顔色が益々悪く…?
「どうした?」
聞き返す父上に、お義父様は力無い声で答えました。
「…ユーフェリアは、フォーリア…エミリア嬢を産んで直ぐ…亡くなったそうです…」
『!?』
「…嘘っ!?」
皆が驚き言葉を無くす中…お義母様は一言零し、ふらり、と体を傾げました。
「母上っ!?」
慌ててお義兄様が気を失ったお義母様を抱き止めます。
ユーフェリア様がもういない…私を産んで直ぐ…
余りの衝撃に…私もその場にへたり、と力無く座り込みました。




