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12.母の来訪 sideシオン

きっかけは殿下との会話でした。


「シオン、先日魔の森で助けた少女だが…お前はどう思う?」


「…と言いますと?」


「彼女の身元だ。彼女は記憶が無い。故に彼女が身に付けていた物などから探るしかない。そしてボロボロではあったが、彼女が着ていたドレスは夜会用のもの。…ということは彼女は何処かの貴族令嬢だと思われる。しかし私はこれだけで見ず知らずの令嬢の身元が判るほど社交界には出ていない」


「そうですね。私も社交界にはあまり出ませんので…」


「次に手掛りになりそうなのは、彼女の髪と瞳の色だが…金髪青瞳の女性はたくさんいる」


「そちら方面で探すのも、難しそうですね」


「…となると残るは彼女の首元のチョーカー。彼女があれをずっと身に付けていたのだとしたら、身元特定の鍵になると思うのだが…私はあれがどうも気に掛かる」


「どういうことでしょうか?」


「あのチョーカーには、継ぎ目も結び目も無い。…何かの魔術がかかっていると思わないか?」


「!女性の首元に勝手に触るのは失礼だと思い、無理に外そうとはしなかったので気付きませんでした。…ですが、そうですね。継ぎ目も結び目も無く繋がっているなど普通ではあり得ません」


「彼女に危険が及ぶものでなければ良いのだが…調べる術はないものか…」


「でしたら、私の母に頼むのはどうでしょう?母の出身は回復と浄化を得意とするエバーグリーン家です。それに母は社交界にも出ていますので、彼女のことも何か分かるかもしれません」


「そうだな。では彼女がもう少し回復したら、公爵夫人に会ってくれないか聞いてみよう」



***



それから暫く…

彼女…フォーリア嬢が中庭で過ごせる程まで回復した頃、殿下と共に私の母に会ってほしいと伝えました。


その時にフォーリア嬢が殿下と私の身分を知り、気を失うというハプニングがありましたが…


その後の彼女は私たちに対して態度を変えることはありませんでした。


それが生来のものなのか、記憶を失っている故かは分かりませんが、私はそんなフォーリア嬢の様子を好ましく思ったのです。



***



そして母の来訪の日。

事態は予想外の方向へ向かいました。


なんとフォーリア嬢が−母が見間違える程に−叔母に似ていると言うのです。


叔母は私が幼い頃に突然行方知れずになりました。ロゼライト公爵家も捜索に協力したのですが、叔母は見つからず…母はそれからもずっと叔母を探し続けています。


そんな母の力になりたくて私は騎士を志し、国の騎士になりました。

騎士の情報網を駆使し、叔母の行方を探していますが何一つ手掛りがありません。


もう見つけることは出来ないのか…と諦めそうになっていた時に飛び込んできた叔母の手掛り。


フォーリア嬢は叔母とどういう関係があるのでしょうか?

彼女が記憶を失っているのが残念です。




この日はフォーリア嬢の事態も動きました。


フォーリア嬢には魔術が効きません。

故に彼女は長い療養期間を過ごしていたのですが…なんと魔術が効かない原因は、殿下が気にしていたあのチョーカーでした。


チョーカーに吸魔の(まじな)いがかけられており、魔術の魔力を吸い取っていたというのです。


殿下の魔力に母の考察と魔術で無事に(まじな)いは解かれました。

すると、(まじな)いに隠されていたフォーリア嬢の本当の瞳の色が露わになったのです。


フォーリア嬢は叔母と同じ緑の瞳を持っていました。


叔母との関わりを増々深く感じますね。


そう私が考えていた時、フォーリア嬢に治癒魔術を施していた母が私に問いました。


「フォーリアちゃんを公爵家(うち)で引き取ってもいいかしら?」と。


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