乙女ゲームから飛び出してきた男
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昔々…と言っても3年ほど前。
一人の女の子(独身26歳)がいました。
彼女は彼氏と別れたばかりで、とても寂しい思いをしていました。
その寂しさを紛らわせるため、彼女はあるゲームを買いました。
そのゲームは当時とても流行っていました。
内容はいわゆる恋愛シュミレーション。
眉目秀麗な男性と恋愛を楽しむものです。
はじめは軽い気持ちで始めた彼女ですが、
思いの他のめり込んでしまいました。
彼女は五十嵐師走というキャラクターが一番のお気に入りでした。
いつしか彼女は
「彼が画面の中から飛び出し、現実での恋人になってくれたら
どんなに良いだろう」
そう思うようになりました。
そんな中、彼女はネットである情報を目にするのです。
☆二次元の彼氏を三次元に呼ぶ方法☆
彼女は「バカバカしい…」と思う反面
この方法を試さずにはいられませんでした。
結果は……
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「そっか、あの子がキヨが探してた姫の生まれ変わり…」
キヨ?清彦の、キヨ?
「だから俺が見えるのかー」
「そうそう!昨日やっっっと見つけてさぁー。」
「え!?何、昨日!?すごいじゃん、良かったじゃん!」
「サンキュー師走。これも、君と出会えたおかげだよ。」
不審者の二人は空中であぐらをかき、
男友達のような雰囲気で話している。
知り合いだったのか。
「きぬちゃん…?」
ひかりの声が聞こえたが、
上空から目が離せない。
「良かったー、さっき俺あの子にチューしなくて」
「は!?」
キヨが空中で立ち上がり、不審者その二に詰め寄った。
「貴様!!姫にまで手を出したのか!?」
「いや、だからキスしてないってー」
「黙れ!!斬り殺してやる!!」
そう叫ぶと、腰の刀を抜いた。
「お、落ち着けって。ギャアアアアアア」
空中で刀を振り回す不審者と
それを必死で避けて逃げて行く不審者。
「ごめん…ひかり」
「きぬちゃん!顔色、悪いけど…」
「お腹がー悲鳴をあげてる」
震えを抑えるため、お腹を両手で覆う。
「つまりウ〇コがもれそうなの。ごめんね、ちょっとトイレ行ってくる!!」
私は一目散に走り出した。
背後からひかりが私の名前を呼ぶ声と、
警察官の人が何か言っている声が聞こえたが
かまわず走った。