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姫探し  作者: 温泉ことね


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19/72

回想 師走、召喚



私、粟島美保は26歳にして5年付き合った彼氏と正式に別れました。

ぽっかり、胸に穴が空いて…



どころじゃねえよ!!!

胸を機関銃で弾き飛ばされて、血がほとばしり、心臓がグチャグチャに飛び散ったみたいだよ…。


タカシ君といつか結婚する。

そう思って、仕事も家事も頑張って来た…

めんどくさがりの私が、誕生日には手作りケーキを作って、バレンタインだって頑張って…


仕事先でも、子供が居る先輩の仕事を引き受けて、何時間も残業した事が何度もあった。

次は私の番なんだって、信じて…快く引き受けてた。


友達は結婚ラッシュで、周りはどんどん幸せを掴んでいった。

「次は、美保の番だね」なんて言われながら。



何で?タカシ君に問い詰めても「ごめん」としか言わなくて、本当に私の言葉が通じてるんだろうか?って思った。



本当に、かわいそうな女。

惨めな女。




それからは、タカシ君と暮らしていたアパートの部屋を引き払って、実家に帰った。

久しぶりに自分の部屋のクローゼットを開けると、そこには昔ハマっていたゲームがあった。


そのゲームのリメイク版が出ていると知っていたから、私はすぐにmamazonでポチる事にした。




『季節なカレシ~春夏秋冬、あなたは誰と恋をする?~』




それは、恋愛シュミレーションゲーム。

1月~12月の季節を擬人化し、それぞれ好きなキャラクターと恋愛するというゲームだった。


昔から、12月の擬人化キャラ、五十嵐師走が一番好きだった。

いつも仕事で忙しそうにしていて、輝いている彼…

忙しいのに、どんなに疲れていても週に1回は必ず会ってくれる(という設定)。

仕事で睡眠時間が少なくても、ストレスで彼女にあたる事がなく、おっとり甘えん坊な所も…

私は大好きだった。




何で、師走は…ゲームの中でしか会えないんだろう?

一緒に、町に出て、デートシタイナァ…








『☆二次元の彼氏を三次元に呼ぶ方法☆』



ある日、私はネットサーフィンをしていたらこんな見出しを見つけてしまった。


そんな事、できるわけないじゃない…

そこには、二次元彼氏を現実の三次元に呼ぶ事に成功した人たちの声が複数投稿されていた。


「ふんっ、ここまで来たら末期ね。馬鹿馬鹿しいわ…」


嘘つき。こんな記事に騙される人なんて、相当病んでるわね。










「え、と…割り箸を半分に折って、と…」



ふぅん、鼻に刺して、顎をしゃくらせるのね。

それから、ふんどしで(服は着る)四股を踏む。

ゲーム画面に向かって、「愛する〇〇よ、三次元の世界へいでよ!!」と叫ぶと…

その際に右腕を上げて人差し指を天に向かって指し、左手は右手と逆で、下に向かって人差し指を地面に向かって指すと…



「愛する五十嵐師走よ、三次元の世界へいでくぁwせdrftgyふじこlp」


しまった、気持ちが入り過ぎて思いっきり噛んだ。

しかも右手と左手、ピースしてた。



しばらく、そのままのポーズで佇んでいた。

諦めて、右腕を下ろしたその時。


ゲーム画面から光が飛び出し、部屋の中をぱぁーっと照らした。

びっくりして「ひぃっ!!」って声がでた。

しばらくして、ゲーム画面からの光がおさまった。


でも、部屋の中に師走の姿はない。

噛んだし、ポーズもミスったし、やっぱり失敗かな…


そう思った時だった。



「お前…今日から俺の女な」



は!!!!!!!!




「お前に拒否権は、ないから…」



目の前に、中国の豚の貯金箱顔をした男がキス顔で寄って来た。



「キャアアアアアアアアアーーー!!!!!!」



全力で叫んだ。

私の中の危険察知警報装置が全開で作動した。



「!!」



びっくりしたその男は、哀しそうな顔をしてどこかに消えていった。




しばらく、心臓がドキドキして動けないでいた。

鼻に刺した割り箸が床に落ちる音で、倒れるように膝をついた。



「い、今の…師走…?私は…師走を現代に呼ぶ事に成功したの?」




噛んでしまったのと、ポーズを間違えたので、ビジュアルがだいぶ改変されていたけど…







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