久遠の僕と永遠なる君 1話
「わぁ!綺麗な魔法!!」
僕は今日も湖を通して遠くの場所にいる魔法使いを覗き見ている。この魔法使いの名前はアルベリアというらしい。アルベリアは僕が知らない綺麗な魔法を輝かせて僕を魅了する。「僕もこんなふうに魔法を扱ってみたいな…」僕はポツリと呟く。でも、僕はアルベリアのような長い白髪も紫の瞳も持っていない。「僕にもできるのかな」僕は少しだけ不安になった。金色の髪、緑の瞳、おまけに耳も長い僕にでもできたらいいな…。でも一つだけ同じところがある。僕の名前はレーテリア。あの魔法使いの名前はアルベリア。リア。ここだけ一緒。そんなことを考えながら今日の僕は眠りについた。
今日は雲一つない晴天である。そんな日に「あー!もう我慢できない!」と、この広い森に僕の声が響き渡る。仕方のないことだった。僕はとっくの昔にアルベリアの魔法に魅了されているのに、それを目の前で毎日毎日お預けだなんて耐えられるはずもなかった。「…教えて貰えばいいんだ」僕は気づいてしまった。思い立って、居ても立っても居られなくなってしまった僕はアルベリアに会いに行くためのゲートを開いた。「ここを潜ればアルベリアに会いに行ける!僕も魔法を扱えるようになれるんだ!!」僕はかなりの勢いをつけてゲートに飛び込んだ。
ゆっくりと目を開けた先には、一面知らない風景が広がっていた。前を見れば知らない植物たちがわさわさと賑わっていて、横を見れば集落の様なものまで見えた。そして、僕の下を見るとそこにはアルベリアが横たわっていた。正確には、僕がアルベリアの上に乗っかってしまっていたのだった。僕はすかさず「わあーー!!!!ごめんなさい!!」と謝った。アルベリアは「…」と一言も言葉を発さなかった。怒らせてしまったのかもしれない。色んなことが一気に起こって僕はかなり混乱してしまっていた。そんな中ゲートを潜る前の目的を思い出した。そして、それを口にした。「ぼ、僕に魔法を教えてください!」へ、変なやつだ。こんなのどう考えても断られる…と思っていた。「構いませんよ」今一番聞きたかった言葉が聞こえてきた。僕は思わず口元が緩んでしまった。アルベリア、僕の憧れの人。今までは湖越しでしか知らなかった人。そんな僕の目の前の人はたった今、アルベリア先生になった。