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CHAIN GAME  作者: 錦木
3/12

第二話 電光石火-2

 ビルから離れて少し歩いて気づいた。


「あっやべ。充電切れてる」

「どうせ使わないだろ。家に帰ってから充電しろよ」


 そう冷たく言う夕映ゆえに反論する。


「それもそうだけどこれじゃ時計も見れないじゃん」

「どれ。貸してみろ」


 先輩がそう言うので携帯を手渡した。

 パシッと電気が走る。


「これでよし。どうだ?」

「うわっ、すごい電源ついた」


 俺は感激する。


「こんなこともできるんですね」

「まあ訓練の賜物たまものだな」


 先輩は鷹揚おうようにうなずく。

 こんなにすごい力を持っているのに偉ぶらないのはすごいと思う。

 やっぱりさっきの不良とは大違いだ。

 俺たちは角を曲がった。


「じゃ、俺たちこっちなんで」


 夕映がひらりと手を振る。俺と夕映は同じアパートに住んでいるご近所さんだ。


「俺は君たちとは反対側だからここでお別れだな。また学校で会おう」


 そう言うと先輩は軽やかに去っていった。俺はその後ろ姿をしばらく見送る。


「あんなすごい先輩が同じ高校に通っているなんて。世間は広いようで狭いというかなんか。夕映もそう思うだろ?」


 俺がそう言って振り返ると夕映はなんだか難しい顔をしていた。


「できすぎている」

「は?」


 俺は首を傾げる。


安斎あんざいだ。あそこで俺たちを逃がそうとした素振り変だと思わなかったか?」

「いや別に」

「それにあの炎をまとったやつ、すごい力だった。あいつも強い異能力者……。おそらく頂点クラスだ。一度にマスターファイブ二人が同じ場所に出現するなんてことがありえるか?」

「偶然なんじゃないか?」

「世の中に偶然なんてないんだよ。起こるべくして起こる必然しかない」


 夕映は嫌なものを食べたような複雑な顔をした。


「なんだな周りがきな臭いな。お前も用心しろよ」

「なんで俺が」


 おどけた調子で言うが夕映はまったく笑ってなかった。


「知ってしまったからには部外者じゃいられないからだ。お前も無関係じゃないんだよ、何事もな」


 夕映はエントランスのロックを解除すると先に入っていった。


「戸締りはきちんとしておけ。お前も気をつけろよ」


 家の前に着いてから俺は言った。


「なんなんだあいつ」


 俺は携帯電話のロックを解除しようとして指を操作した。

 ブツ。


「あれ」


 急に画面が暗くなってうんともすんとも言わなくなった。


「なんだこれ?武宮たけみや先輩に充電してもらったはず……」


 お前も気を付けろよ。

 部外者じゃいられない。

 夕映の声がやけに胸に残った。


「なんなんだよ……」


 真っ暗な画面にはなにも映らなかった。とにかく今日はいろいろあって疲れたから休もう。

 俺は玄関の戸を開ける。



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