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・第一話 ーバットラックー

ダンジョンものとざまぁものを見た結果出来たものです。続くかは不明。

第一話

「バットラック」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


学校は嫌いだ。いや、今の学生生活が嫌いだ。冤罪で貶められ、誰からも信用されない学校生活なんて、最悪の一言だ。



ーーー・・達よ。妾は知っている。

ーーー汝らの世界の行方を。



友人も親友も幼馴染も家族ですらも、俺の味方は1人としていない。俺は1人だ。独りなんだ。



ーーー只人ならば生き残れまい。

ーーー力無き者が得られるのは死のみ。

ーーー汝らの世界は死で満ちるのだ。



ああ、こんなことなら、もういっそのこと…すべて壊れて、滅亡すればいい。人は全員死ねばいい。俺1人でいい。そう、俺独りで。



ーーー故に与えよう。

ーーー我が世界を救った恩をもって。

ーーー我が世界の人々の希望の対価として。

ーーーこの世界での汝らの力を。

ーーーこの世界で汝らが手に入れた物を。



…そう、思ってはいたが。



ーーー戻るがいい。

ーーーさあ、元の世界へ。

ーーーさあ、汝らの本来の人生に。

ーーーそして刻むがいい。

ーーー新たなる英雄譚を。



*********

*********

●【真田学園】●

●屋上●



学園の屋上。貯水槽の上が俺の避難先である。購買で買える最も安いパン。それが最近の俺の食事だ。



「…クソが。マズイにも程があるだろうが」



愚痴を吐き捨てながらパンを齧る。アホみたいにマズイパンだ。吐き気がするレベルだが、腹だけは膨れるし、余計な食欲が湧かない。



「クソクソクソクソクソクソ」



むしゃむしゃと無理矢理咀嚼する。パンを無理矢理水で流し込む。



「はぁ…」



食事を終えた俺は、そのまま横になる。



「一雨きそうだな」



俺は雨が降りそうなほどの曇り空を見ながら、ゆっくりと目を閉じる。最近眠れてないため、睡眠に身を任せる。



「(どうせ、授業に出なくても…)」



いっそ、学校を中退して、田舎の港町でも行って、一人暮らしでも始めるか?



「(悪くねぇ…な)」



俺は夢の世界へと…。



「ーーー‼︎」

「ーーー⁉︎」

「ーーー‼︎」

「ちっ、うるせぇな」



起き上がった俺は、身体の重さに気がつく。そして、自分の服装を確認した時。俺は驚きの声をあげた。



「な、なんじゃごりゃあああ⁉︎」



今現在の服装は、ファンタジーに居そうな漆黒の軽装鎧。しかも腰には片手剣。



「お、俺学生服だったよな?こんなコスプレ」



しかし、コスプレにしてはしっかりした作りのようだし、剣もかなり重い。



「どうなってんだこれ?」



その時、地上から悲鳴が響く。しかも1人ではなく、何人もの声だ。



「次は何事だ?」



地上を見た俺は、思わず息をするのすら忘れた。そこで行われていたのは、"モンスターによる襲撃"であった。モンスターも10や20ではなく、100以上の数が校門に詰めかけていた。



「な、え?」



既に数匹侵入した後のようで、血の池で横たわる人間が何人か視認できる。しかも、その人間達も俺と同じく、ファンタジーな武装をしていた。



「いったい何がどうなって…ッ⁉︎」



その音に気がついた俺は、流れるように剣を抜き、音の方向に振るう。



ーーー⁉︎



音の主は一撃の斬撃で、屋上へと墜落する。



「…バッタ?」



それは大型犬サイズのバッタであった。



「下のとは違うが、これもモンスターだな」



そういえば、田舎の親戚にバッタは共食いするし、なんなら他の虫の死体を食べることもある…と聞いたことがある。大きければ人も襲うか。



「それにしても、何故だかこの剣が使いやすい。手に馴染むようだ。真剣すら握った事ないのに」



その瞬間、また音がする。それも2つ。



「クソ…こんなことなら、屋上で飯とかやめておけばよかったぜ」



俺は剣を構える。現れたのは先程と同じ巨大バッタ2匹…感覚でわかる。



「俺なら、殺れる」



俺は剣を構える。迷う必要はない。俺ならコイツらを殺し尽くせる。



「シッ‼︎」



俺は剣を振るう。1匹のバッタを斬り殺し、返した刃で、襲いかかりそうだったバッタを両断する。



「ふぅ…3匹、か」



剣を振るって血を払い、剣を鞘に戻す。



「ちっ、それどころじゃねぇ‼︎」



俺は屋上の入り口を開け、階段を駆け下り、3階2階1階へと降りていく。



「退け‼︎」

「うぁ⁉︎」

「おい‼︎」



生徒達を押し除けて、校門へと向かう。視認できるモンスターは、ファンタジーの常連モンスターのゴブリン一種類のみ。



「(俺でやれるか?)」



校庭に出ると、そこには驚きの光景が広がっていた。襲われる生徒達。そんな中で武器を振るい、モンスターを撃退する生徒達がいた。



「校舎の中に避難しろ‼︎戦える奴はモンスターと戦え‼︎」

「「「「「応‼︎」」」」」」



モンスター達と戦う生徒の誰かが叫ぶ。それに呼応して、武装した生徒達がモンスターに武器を振るう。



「クソが‼︎死に晒せ‼︎」

「ぎゃああああ⁉︎」



剣を抜いてモンスターを斬り殺す。さらに返す剣で女子生徒を襲おうとしたモンスターの頭を飛ばす。



「校舎まで走れ‼︎」

「は、はい‼︎」



女子生徒が校舎へと走り出す。



「さて、とッ‼︎」

「グゲッ⁉︎」



手近のモンスターを切り殺した後、俺は周囲の確認を行う。戦況の確認である。



「(校門の周りは封鎖できてるが、問題は中に入ったモンスター…でもなかったな)」



戦闘に参加している生徒達が、何故か手際よくモンスターを始末していた。この調子ならもう少しで、校内に侵入したモンスター達を掃討できそうだ。



「フン‼︎」

「ぐぺ⁉︎」



近付いてきたモンスターの脳天をかち割る。



「たく、こういう時だけは剣術習ってて良かったと思うよ」



こう見えて、俺はとある剣術を習得している。気難しいが、親戚にはとても甘い遠縁の親戚に教えてもらった。


【鬼人流剣術】という、祖を示現流に持つ攻撃的な剣術だ。それ故に、親戚である師匠からは剣道部どころか、スポーツ系の部活や試合に出るなと言われている。



「っと、侵入した奴らは片付いたか」



剣を振るって刃についた血液を振り飛ばす。血液が地面に飛び散る。どうやらモンスターの血液も赤いようだ。



「あとは校門だが…」



校門を見ると死体の山ができていた。モンスター達の死体の山だ。生き残りは逃走したようだ。



「一息つけそうだな」



俺は剣を鞘に戻す。周囲を見渡すと負傷者がいるようで、無傷の生徒達が手を貸していた。



「ちっ、クソが」



しかし、生徒の中には犠牲者も少なくなかったようだ。血の中に沈む生徒達もいる。教師も何人か犠牲になったようだ。



「ん?教師は武装してないのか?」



教師の死体を見ると普通の服装である。どうやらこの武装は生徒のみのようだ。



「クソ。いったい何がどうなってやがるんだ」

「ーーーおい‼︎手を貸してくれ‼︎」



声のした方を見ると、負傷した生徒に肩を貸す教師がいた。生徒の右足はあり得ない方向に曲がっていた。



「…ちっ、クソが」



俺はため息を吐いた後、教師の元へ向かう。



「肩を貸します」

「悪いな」

「あ、ありが…うっ」



肩を貸した俺は、そのまま校舎へと向かう。



「出入り口を塞げ‼︎モンスターを通すな‼︎正面の校門以外は完全に封鎖しろ‼︎」



生徒達が慌てて出入り口を塞いでいる。



「アイツら何なんだ⁉︎痛い…何でこんなことに」

「少し黙って歩け。痛いのは分かるが、今は我慢しろ」



しばらく歩くと校舎に入る。するとすぐに他の生徒が駆け寄る。



「酷い。すぐに保健室へ」



数名の生徒が負傷した生徒を連れていく。



「おい‼︎動かすの手伝ってくれ‼︎」

「あ、ああ…」



俺は他の生徒と共に下駄箱を運び出す。



「裏門から塞ぐぞ‼︎」



手際よく…それこそまるで知っていたかのように、出入り口が封鎖されてゆく。



「よし、これで侵入できないだろ。遠距離攻撃できる奴は、ここで見張りを頼む‼︎」

「「「応‼︎」」」



数人の弓矢などを持つ生徒達が、校門の内側から外を見張る。



『全生徒及び教員はすぐに体育館に集まってください‼︎一部生徒は引き続き見張り等をお願いします‼︎またモンスターの襲撃が予想されます‼︎一部生徒は見張り等をお願いします‼︎』

「ちっ、マジかよ」



俺は思わず舌打ちする。



「(さて、俺がやるべきことは…)」



少し考え込む。



ーーー力ある者には、時に義務が発生する。

「ちっ、クソが」



俺は師匠の言葉に従い、校門の守りに向かう。守りの薄い正面の校門に向かう。校門には既に10名近くの生徒達が見張りをしていた。



「ちっ」



舌打ちした後、俺は近くの壁に背を預け、その場に座り込む。



「ふぅ…」



俺はようやく一息つく。今更ながらに手が震える。そういえば、命の取り合いをきちんとしたのは、今回が初めてだ。



「おい、大丈夫か?」

「ん?ああ」



見覚えはあるが、名前の知らない男子生徒が俺に声をかけてくる。学校での俺の評価を知らないのだろうか?



「これでも食え。少しは落ち着くだろ」

「遠慮させてもらおう。昼飯終わったばかりなんだ」



俺は差し出されたチョコレート菓子を断る。



「そうか?まあ、流石にすぐの襲撃はないだろうから、一息つけるだろ」

「いや、ゴブリンみたいなのだけじゃなくて、巨大なバッタに襲われた。たぶん、ジャンプか滑空か分からんが、飛んでくる奴もいるぞ」

「マジかよ⁉︎ドラゴンとかじゃないだけマシと思うべきか?」

「さあな」



俺は肩をすくめる。



「…さっきのは何だと思う?」

「ん?ゴブリンじゃねぇか?」

「何でゴブリンがこんなところにいるかって話だよ」

「さあ?出たってことは出るもんってことだろ?事実は消せないしな」



男子学生はそう俺の質問に答えると、校門の見張りに戻る。



「クソが」



俺はそっと目を閉じた。体力を温存するために。



「ーーーおい、あれ」

「マジかよ…」

「ん?」



ざわつき始めたため、その方向に視線を向ける。そこには、黒煙があちらこちらから上がる街が見えていた。



「おい…おいおい‼︎嘘だろ⁉︎」



街が焼けていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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