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ガウェイン

ガウェインは女好きだ。

オークニー兄弟の長男で、赤みがかった髪で、緑のマントを羽織っている。魔法は使えない。が、太陽が出ていると強くなる。半面、太陽が沈むと力が出ない。ランスロットは黒髪に紫色のマント、パーシヴァルは黒髪に赤いマントだ。

エレインは、最近はパーシヴァルの妻や子供逹と一緒にいるのが多かった。

ガウェインは寝所で愛人と戯れながら(あー、ラグネル連れ戻しに行かないとな)と溜め息を吐いていた。ガウェインには他にも仲のいい女の子や妻や愛人が何人かいた。

アーサーが狩りで猪を捕ってきた帰りだった。カールレオン城で、ガウェインがラグネルとあれこれ話をしているのが、アーサーの目に入った。

「あれ? ラグネル、実家からまた戻って来たんだ」

「そうみたいですね」

妻のラグネル(実はヒベルニア……アイルランドの王女)とは、ガウェインの女関係で色々あったみたいだが、結局、元サヤに戻ったようだった。

実家に帰ってしまったラグネルを迎えに行き、二人は、フロレンス、ロヴェル、ガングラン、三人の子を作った。ラグネルは金髪ポニーテールの、明るく勝ち気な美人だ。ソバカスがあり、良く暖色系の服を着ている。あと、弓矢が上手い。声が少しガラガラしてる。下に妹のイゾルデがいる。イゾルデは大人しく黒髪を三つ編みにしていて、大体、アッシュブロンドのトリスタンと一緒にいる。ガウェインとラグネルの元々のなれそめは、ラグネルが呪いで醜い…老婆の姿に変えられてしまったことだった。

醜い姿から元に戻るには……呪いを解くには、男に愛して貰う必要があった。

ラグネルは、呪いを解いて欲しくてアーサー王の宮廷にやって来たが、独身の男誰もが皆、ラグネルを嫌がって首を振った。そんな中で、名乗りを挙げたのが……あらゆる女に愛を捧げるがモットーの…すなわち女好きのガウェインであった。

「夜か昼、どちらかだけ美人でいられる」とラグネルは言った。

ガウェインは夜の方が良かったが、ラグネルの気持ちを立てて「昼の方」を選んだ。

すると、ラグネルは呪いが解けて、金髪にソバカスの、明るい美人になった。そして、昼も夜も美人でいられるようになった。ガウェインはラグネルを妻に迎えた。

ガウェインは、結局ラグネルと元サヤに戻ったが、やっぱり女の子が好きだ。

なので、最近はカーライル城の城代カールの娘を妻にして仲良くしていて、ラグネルに怒られたのだった。あと、最近はモルドレッドとも以前より話すようになった。

だが、ガウェインもやたらと女に手を出すわけではないというエピソードがある。

それが「ガウェインと緑の騎士」の話だ。


ある日、カールレオン城の広間に緑の騎士が入って来て「互いに首を斬り合おう」と言った。

これにガウェインが名乗りを挙げた。

「まず、お主が私の首を斬るがよい」

ガウェインは緑の騎士の言う通りに、彼の首を斬り落としたが、彼は平然として首を拾い上げ、自分の胴体にくっつけた。 緑の騎士は「今度は自分が斬る番だ。元旦の朝、緑の礼拝堂に会いに来い」と残して去って行った。ガウェインは愕然としたが、約束通り、緑の騎士に会うために旅に出た。そして緑の礼拝堂が近くにあるという……ハットン城という、土地の領主が住む城に宿をとらせて貰った。

領主はガウェインに「宿をとらせるかわり、昼間に得たものを夜にそれぞれ交換しよう」と言った。

一日目。領主が狩りに出ている間、ガウェインは領主の妻に言い寄られ、頬に口付けされていた。 女好きなガウェインだが、ここは手を出さない方がいいと考えた。

領主が帰ってきたら、領主の頬に口付けした。

二日目。再び、ガウェインは領主の妻に言い寄られ、また口付けをされてしまった。

ガウェインはまた、帰ってきた主人の頬に口付けした。

三日目には、領主の妻から三度の口付けを受けた。そして、身に纏っていれば傷付かないという緑色の魔法のレースを貰い受けた。ガウェインは口付けのみ、領主に返した。

ガウェインは緑色の魔法のレースを身に付け、領主の城を去り、約束の「緑の礼拝堂」に着いた。緑の礼拝堂は荒れた土地の森の中にあった。

緑の騎士は言った。

「さあ、首の斬り合いだ。まずは私からだ」

緑の騎士はガウェインを膝まずかせた。

緑の騎士は三度剣を振り下ろすが、最初の二度は首に触れるところまで下ろさなかった。

三度目、ガウェインの首にうっすら傷を付けるだけで、緑の騎士はそれで終わりにした。

緑の騎士は、兜を首から下ろして言った。

「お主の勇気に免じて、これで終わりにしてやろう。私の名はベルディラック。お前を泊めさせてやった城の領主だ」

緊張に苛まれていたガウェインは、ホッと安堵の息を吐いた。

「その緑の魔法のレースのことをちゃんと話していれば、その傷を付けることもなかったのだがな。妻にお前に言い寄るようにさせたのも私だ。だが、お前は手を出さなかった。

その魔法の緑のレースはお前にやろう」

ガウェインは緊張の糸が切れてその場にへたり込んだ。

そうして、緑の騎士から正式に魔法の緑のレースを貰って、身に付けた。

「緑のレースはありがたいけど。ああ、首を落とさなきゃ良かったな」

ガウェインは、最近口説いた女の子イサベレのところにでも寄ろうかなあと思ったがやめとくことにした。

(ラグネル怒らせたくないからなあ)

カールレオン城に帰ったガウェインは、一番下の弟のモルドレッドに出会した。

「あ、兄上……」

モルドレッドは、何を言っていいのかわからなかったが、ライオンみたいな姿になったチューバに前に押された。

「……あの、大変でしたね」

「まあな。本当にな!」

モルドレッドはマントに着いている羽根飾りを弄った。モルドレッドは何か言おうとしたが、言葉に詰まって何と言っていいかわからなかった。モルドレッドはそういうことが多い。

「……お前はラグネルになついてたな」

ガウェインは腕を組んで、モルドレッドを見下ろした。

ガウェインはチューバとモルドレッドを見比べて、モルドレッドに言った。

「お前、最近は、そのチューバって奴や、トリスタンや、グウェンフィヴァフ姫といるのが多いな」

「……兄上」

「お前も、少し変わったな」

ガウェインはモルドレッドの頭に手をぽんと置くと、ブラブラ後ろ手に手を振って、カールレオン城の中に入っていった。 そして、待っていたラグネルに「あんまりフラフラしてんなよ」と小突かれていた。


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