カメリアードの姫君
ある日の晩、アーサーは幼い頃の夢を見た。湖水地方のカーライル城。
母イグレインと、血の繋がらない妹モルガンと共に暮らした場所だった。
湖は広く、対岸はずっと遥か向こうに見える。葦が生い茂り、渡り鳥がたくさん、水辺で羽ばたく湖のほとり。幼いアーサーが、泥団子を作ることに夢中で、幼いモルガンは城に奴隷として仕える炬人から薬草を習っていた。
黒ずんだ肌の炬人が、湖岸に生えるフキタンポポを根っこごと抜いて、モルガンに見せた。
「これはタンポポの根。洗って乾かして干したものを、煎じてお茶にすると冷え性や腹痛にいいんですよ」
しゃがみ込んだモルガンが、フキタンポポの根や花、葉を見つめながら炬人に聞く。
「葉っぱは使えないの?」
「葉っぱよりは根の方が使いますね」
そんな風に、炬人に薬草を教えて貰うモルガンを、離れたところから見ていた兵士が笑った。
「見ろよ、炬人と喋ってるぜ」
「へっ。死んだ逆臣の養女だろ? 炬人と同じ、妖精の黒い血を引いているんだよ。奴隷の焼き印があるんだぜ」
モルガンが兵士や使用人達に『炬人』だの『黒い血を引いている』だのと言われているのは良く見る光景だった。モルガンは何も言えず涙目で俯き、恥かしそうに焼き印の場所を抑えた。アーサーはピカピカに磨いた泥団子を兵士逹に投げた。
顔に泥を浴びせられて、兵士達は悲鳴を上げた。
「ぎゃー」
「口に泥が!」
アーサーはモルガンの方を向かずに、兵士達を見やりながら言った。
「……モルガン、僕のお嫁さんになってよ」
モルガンは驚いた表情で、アーサーを見つめた。
アーサーは何となく、そちらを見ずに呟いた。
「……そしたら、僕が君をずっと守れるから」
幼いモルガンは、顔を赤らめて「……うん」と小さく頷いた。
場面は変わり、いつかロンディニウム付近の月の輝く湖の中だった。
アーサーの目の前に成長した裸のモルガンがいた。
湖の中、モルガンは顔を赤らめている。
「……アーサー、私アーサーのことが……」
モルガンはそう言うと、アーサーに抱きついて、口付けした。
「ぎゃあー!」
アーサーは叫びながら、カールレオン城の自室に置かれたベッドの上で目を覚まし、上半身を起こした。汗が顔を伝った。 そして、誰も見てないというのに、恥かし気に顔を手で覆った。
「……え? 何だ。今の。有り得ない」
ベッドの上で起きたアーサーは、使用人が持って来たヒソップの花弁を浮かべた水タライで、顔を洗うと、青いマントと白いサテンの服に着替えて、カールレオン城の広間へと足を向けた。
広間には真ん中に四角いテーブルが置かれていて、白い麻布を掛けられ、朝食が炬人や使用人により運ばれてくる。
マーリンや、モルガン、ケイ、ベイリンとベイラン、エクトールなどその他の騎士達もそれぞれ席について、食事を取っていた。
兵舎には別に食事場所があるが、アーサーに近い数名の騎士らは、アーサーと共に食事を取ることが多かった。
アーサーは、テーブル席に着くと、朝食に蜂蜜とバターをたっぶり塗ったパンにかぶりついた。モルガンも席に着いているが、何となくそちらを向きづらくて、アーサーはモルガンを見ないようにパンを食べ、それをマーリンが不思議そうな顔で見つめていた。
「あれ? アーサー、何でモルガンから目を反らそうとするんですか?」
「え? いや、そんなことはないよ……」
名前を呼ばれたモルガンはアーサーの方を見つめるが、モルガン自身もふいに視線をアーサーから反らした。
「……あの、その、どうするの? 円卓……」
「え?」
「グィネヴィア姫って婚約者のところだって……」
アーサーは「……ああ」と、自分の婚約話について思い出した。
「婚約って、いつ決まったんだ? 娘を、僕の王妃にしたがる王や貴族は沢山いるのに」
アーサーは、何となくモルガンの視線が冷たい気がした。
マーリンも、パンに蜂蜜を掛けながら事も無げに話した。
「ウルフィウス卿が決めたそうです。それで、約束の証に円卓をカメリアード王国に預けたとか」
今は、フクロウのピュタゴラスは朝食に、外に狩りに出ていて、マーリンの肩の上にはいなかった。マーリンは、パンをかじりながらアーサーに聞いた。
「アーサー、以前、貴方に『どういう人を妻にしたいですか?』と聞いたとき、『余り興味ない。持参金が一番高いのがいい』って、言ってましたね」
「……あー。言ったような」
「あと、『女って皆同じに見える』」
「あー、言ってた。言ってた」
ケイが、パンを食べながら相槌を打った。
モルガンがパンを千切りながら、ジト目でアーサーを見つめてくる。
「ウルフィウス卿も同じ意見です。カメリアード王国のレオデグランス王は以前から一番高い持参金を申し出ていたので、ウルフィウス卿が話を進めていたわけです」
モルガンが、暗い表情で俯いていた。
何故だか、ケイが気を利かせて、苺ジャムの入った陶器の小皿をモルガンの前に差し出した。
「えっと。モルガン、苺ジャムでもどうだ」
ベイリンも、馬鹿にしたように笑いながら、ビスケットの入った皿をモルガンに差し出した。
「王様馬鹿だなー。ほらモルガン、オート麦のビスケットどうだ」
ベイリンの隣でベイランが「王様ばっかり食ってんな」とアホらしそうな顔で言う。
「アーサーは、どんな時でも食欲だけはあるんだよ」
そう言うケイに、マーリンもアーサーを見つめて羨ましそうな顔をした。
「幾ら食べても太らないなんて、羨ましいですね。全く」
アーサーは、モルガンの態度が気になっていた。
「……僕は、何もやましいことは言ってないと思うけど。モルガンは、何でそんなジト目で見るわけ?」
モルガンは「……ごめんなさい。何でもないわ」と呟き、俯いたままだった。
アーサーもふいに昨日の夢を思い出し、視線をそらしてビスケットをつかみ、むしゃむしゃ食べた。
モルガンの顔は、少し暗かった。
(結婚か……。そのエクスカリバーの鞘、私が自分の髪の毛を縫い付けて作ったのに……。いいけど。言わない決まりだし)
二人の微妙な様子を見て、ベイリンがマーリンに聞いた。
「こいつら何なの?」
「アーサーが言うには兄と妹で、モルガンが言うには姉と弟です」
ブラスティアスは「お若いですな」と口を挟み、ぺディヴィエールは、マーリンに着けて貰った銀の腕で、何も言わずに黙々と食べる。
ボードウィンは何となく(キリスト教ではあるまじきことを話されている気がするが、存在感が薄い私が言ってもしょうがないな)などと思い、ウルフィウスは「ふん」とつまらなそうに、だが鋭く政治的思考を働かせていた。
(……アルトリウス様の婚儀の話、早く進めなければいかんな)
いつの間にか、ピュタゴラスが朝食から、マーリンの肩に戻って来ていて「人間というのは面倒じゃの」と呟いた。
それは、ふいに過ったイメージだった。
今よりもずっと成長したグウェンフィヴァフは、白金色の長い髪を振り乱し、霧の森の中、ボロを纏い傷まみれで、何かを抱き締め、息を切らせながら走っていた。
目は涙で濡れ、髪はボサボサで、腹や唇から血が出ている。
(私は罪深い。でも、誰にも懺悔出来ない。誰も……。キリストの神はきっと私を許さない。もう、誰も私を守ってくれないし、救いなどしない)
グウェンフィヴァフは(でも)と滲む涙を拭った。
『生きろ』という男の言葉が心に響いた。
それは、自分が、自分なりに愛した男だった。彼は黒い服を纏っていた。
(生きなきゃ……)
グウェンフィヴァフは歯を食いしばり歩き続け、 辺りは深い霧が立ち込めていた。
(はあ……はあっ……。もう、ここしか……)
グウェンフィヴァフは暖かい体温を伝えて来る、赤ん坊のお包みを抱き締めて、沼地の岸辺に立ち尽くしていた。そして、対岸にあるイニス・ウィトリン教会へ導く渡し舟を探した。
その沼地は、アヴァロンへ導く渡し舟もやって来るという。
だが、グウェンフィヴァフには、イニス・ウィトリンも……アヴァロンも、見えはしなかった。霧に包まれて対岸は少しも見えない。
だが、暫く立っていると、やがて、霧が晴れ始め、グウェンフィヴァフの前に、舳先にランプを提げた渡し舟が来た。グウェンフィヴァフは赤子を大事そうに抱えて、渡し舟に乗り込んだ。
船頭が、櫂で渡し舟を漕いで行く。
(……どこへ。どこへ通じているというの?)
グウェンフィヴァフは、傷だらけで、白い亜麻布に包まれた赤ん坊を抱き締める手に力を込めた。
(私はイニス・ウィトリンにも、アヴァロンにも行く資格はない……。この船は一体どこへ……)
だが、余りに疲れていて、グウェンフィヴァフは意識が遠のいて行くのを感じた。
(……駄目……もう、疲れて痛くて……)
腹や腕からどくどく血が流れている。
(神様なんていない……何度も思ってきた筈なのに……)
血と泥で汚れた顔に涙を零しながら、グウェンフィヴァフは懇願した。
(神様……お許しください。お願いします。私はいいから……だから……)
涙は次から次へと溢れた。
それは、いつも通り、グウェンフィヴァフがカメリアード城の近くの花畑で、花飾りを編みながら、突然に頭に過ったイメージだった。
傍で、乳母のアグネスが心配そうにグウェンフィヴァフを見つめた。
「グウェンフィヴァフ様?」
今、グウェンフィヴァフはイメージに出て来た、自分そっくりの白金色の髪の女よりも、ずっと幼く、背も小さく小柄だった。
グウェンフィヴァフは白昼夢を見ていたのだ。それでも、どこか白昼夢から抜け切れずに、グウェンフィヴァフはぼうっと、花畑に立った。白い亜麻布のドレスを、熱気が籠った夏風が揺らした。
黒髪に、黒髭を顎に生やした父、レオデグランス王が花畑の傍に立ち「グィネヴィア」と名を呼んだ。
グウェンフィヴァフは、父に名を呼ばれて振り返った。
「お父様……」
乳母のアグネスや侍女達が、かしこまって頭を垂れる。
レオデグランス王は顎鬚を摩りながら笑った。
「もうすぐお前の婚儀だ。相手はブリタニア王国のアーサー王だ。これ以上の相手はなかろう」
グウェンフィヴァフは驚いて、瞬きをした。
「結婚……? そんな……初耳です」
だが、父、レオデグランス王は娘の様子など気にもせずに淡々と、勝手に進めた決定事項を述べた。
「お前の意思など聞く必要はない。これは、お前が生まれる以前から決められたことで、お前はただ、言う通りに従えばいいだけだ」
「お父様……」
「慎ましく、しとやかに。偉そうな物言いはせず、下手な知恵をつけず、無駄口を叩かず貞淑であればいい。夫に愛されるためにな。お前の母親は最悪な女だった。生意気な目付きと物言いで……その点、お前は母親に似ず、素直に育って良かった」
グウェンフィヴァフは口を開きかけたが、閉じた。
(……私にとっては、良い母だったわ)
グウェンフィヴァフの横で、蝶が花に留まって蜜を食べている。
侍女のアグネスが辛そうに俯いた。
「グィネヴィア様はまだ十歳だというのに、婚儀だなんて…酷すぎますわ」
だが、グウェンフィヴァフにとって、兄の暴力は慣れたもので、先程見た白昼夢の方が気になった。先程だけでなく、最近は夜にも見る夢だったからだ。
「アグネス」
「はい、グィネヴィア様」
「最近、変な夢を見るの」
「……夢ですか」
「私はもっと大人で、何かを抱き締めて血塗れで必死に走るの。お母様になったのかしらと思ったけれど違うの……違うのよ。それに、黒い服を着た男の人が出て来るの。……私は、その人のことを……」
だが、アグネスは、自分が仕えている主人の夢の内容よりは、彼女の右足についた痣の方が気になった。
「グィネヴィア様、右足に痣が……。まさかまた、ゴートグリム様が……」
ゴートグリムは、レオデグランス王と前妻との間に出来た兄で、鳥みたいな顔をしていてうっすらソバカスがある。
上の兄が死んでから、跡継ぎの重圧が掛かったからその捌け口なのか、グウェンフィヴァフに暴力を振るうようになった。
彼にはガソザインという親友がいて、ガソザインはグウェンフィヴァフに懸想していた。眉毛が太くて大人しく、内気で素朴な男だ。
だが、グウェンフィヴァフがガソザインに対して冷たいと、ゴートグリムは難癖つけるのだ。恐らく、異性の女より、同性の親友の方が大事なのだ。衆道の気もあるのかも知れない。とにかく、ゴートグリムはグウェンフィヴァフを私物のように考えていて、ガソザインの妻になるべきだと勝手に思っていた。グウェンフィヴァフが、ガソザイン以外の男と仲良くすることを許さなかった。
グウェンフィヴァフにとっては、ガソザインはそれ程、仲が良い男ではないが、ゴートグリムは、グウェンフィヴァフがそんな風に考えることが許せないのだ。
グウェンフィヴァフは首を振った。
「兄の暴力は今に始まったことじゃないわ……。長子である兄が死んでから。大丈夫よ。父に告げ口したら、貴方達は兄にもっと酷い目に遭わされてしまうわ」
グウェンフィヴァフは子犬のように頭を垂れ、アグネスは「グィネヴィア様……」と力無く呟いた。
シロツメクサの花飾りを作ってヒースの草を踏みしめ、花畑から城に戻る渡り廊下。グウェンフィヴァフは、兄ゴートグリムに突き飛ばされ、蹴られた。
「どういうことだよ。俺の親友のガソザインの妻になれって言ったよな。でないと『お前で遊べない』もんな」
グウェンフィヴァフは、暗い表情で俯いた。
(……神様なんていない……。お母様がいないのと同じように)
その頃、カメリアードには隣国、ノルスガリスの軍隊が押し寄せてきていて、遠くの田畑からそれを見た門番が、息を切らせて玉座の間に報せに入った。
「王様! 大変です! ノルスガリスの王、リエンス王が攻めてきました!」
「至急、アーサー王に救援を要請せよ!」
一方、カールレオン城。赤いドラゴンのタペストリーが掛けられた玉座の間では、暗い曠野が広がるゴールに面したノルガリス王国のリエンス王からの使者がやって来ていて、サテンの白い服に、テンの毛皮に縁どられた青いガウンを羽織ったアーサーが、不機嫌に聞き返していた。
「……は?」
「ごめん、もう一回言って」
使者は「……はっ」と咳払いすると、広げた手紙をもう一度読み返した。
「我がノルスガリス国王リエンスより、ブリタニア国アーサー王に申し上げる。私は既に十一人の王を打ち負かし、彼らの髭を編んでマントのへり飾りにしている。だが一ヶ所欠けているので、アーサー王の髭を献上するように。出来ないのならば貴殿の領地に侵入し、民を殺し、土地を焼き、貴殿の首と髭を手に入れる所存である……。ノルスガリスの国王リエンス』とのことです」
アーサーは「ふむ」と呟き、アーサーの傍で、灰緑色のくたびれたローブを着て樫の杖を突いたマーリンが「嘗めてますね」と溜息を吐いた。
アーサーは少し考えると、顎を撫で、使者を通してその向う側にいるだろうリエンス王を睨むように返事を返した。
「わかった。じゃあ、ノルスガリスに帰ってお前の主君にこう返してくれるかな」
「お前に臣下の礼を尽くす義理はない。それに私の髭は短いというか、まだまともに生えてもいないのでマントのふち飾りに向いてない。ノルスガリスの王リエンスよ。近い内にこちらに出向いて私に両膝をついて謝るが良い。さもなくば、こちらから出向いてお前の首をはねてやる。こんな破廉恥な伝言を私に寄越したことを悔いるが良い」
脇に控えていた書官が、鷲ペンに角壺からインクを着けて、羊皮紙にアーサー王の言うことを几帳面に書き連ねていく。
やがて、使者がアーサーの返事を書いた手紙を持って帰って行くと、マーリンがそっと何か仄めかすように呟いた。
「アーサー……」
「何だ」
「ゲールでは、倒した相手のものを自分の物にする慣習があります。……例えば、ウーゼルがゴーロイスを倒し、その妻イグレインを自分の妻にするのもそういうことなのです。余り良いとはいえない古い慣習ですが」
その習慣はアーサーも知っている。実の父、ウーゼル王が、逆手に取って、母イグレインを手籠めにした方法だ。アーサーの悩みを生み出した、ゲールの古い習慣だ。
「貴方はゲール同盟に勝った。ゲール同盟の盟主ロットの妻、モルゴースも自分のものに出来る。それだけじゃない。もっと若い乙女……モルゴースの妹、モルガンも」
アーサーは、驚いたようにマーリンを見つめた。
「……あのな。モルゴースは血の繋がった実の姉だぞ。倍以上歳上で四人の息子がいるっていうし」
「…では、モルガンは?」
「……っ!」
マーリンに、アーサーは戸惑った顔をした。
「……なっ、何言ってるんだよ……あ、あいつは……」
「血が繋がらない、若い乙女です。それでも貴方の姉妹という立場ですけどね……」
マーリンは、アーサーの腰にぶら下がった、聖剣を……いや、その聖剣を包む鞘を見つめて諭した。
「アーサー、そのエクスカリバーの鞘は、モルガンが貴方のことを想って、自分の髪の毛で、守りの祈りを込めて作ったものなんですよ」
「……モルガンが、これを?」
アーサーは、腰に差した聖剣の鞘を見つめた。
青い布地に、あかがね色の糸で細かい刺繍が施されている。そこには竜も描かれている。
アーサーはそっと、鞘を撫でた。そして、思い返していた。
小さい頃、モルガンと一緒に遊んだこと……。自分の妻になれと言ったこと、湖で口付けをしてしまったこと、昨晩の夢、朝の沈んだモルガンの顔が、不意に頭に浮かんだ。
そして、つい最近のことも。
アーサーは、城の林檎の樹の枝に腰掛け、ボンヤリ本を読んでいた。足下には白いチビ狼カヴァルがいた。本に集中しようとするが、モルガンのことが頭に浮かんで苛々していた。
「ああ、もう。あいつは血が繋がらなくても姉妹だぞ。キリスト教じゃ……罪だ。……僕は、キリスト教徒として育ったんだ」
「まあ、血は繋がってませんからキリスト教でもセーフでしょうけどね」
いつの間にか口に出していたアーサーに、マーリンの呟きは聞こえなかった。
ノルスガリスからの使者と入れ替わるように、ブラスティアスが新たな使者を連れて、玉座の間に入って来た。
「アーサー王様、カメリアード王国のレオデグランス王から使者が参りました。ノルスガリスのリエンス王が領地に侵入しているので、至急援軍をお願いしたいとのことです」




