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エピローグ 物語の結末×2(1)

 あれから一年と少しが過ぎ、今日私とレンさんは皇太后様が開いた『花の会』に参加していた。

 皇太后様といえば、卒業パーティーの前日にいただいた「私、あなたが宮に来てくれるのをとても楽しみにしているのよ」というあのお言葉。すべてわかった上で仰っていたのだと思うと、何とも言えない気持ちになる。


「今日は母がシアの装い一式を用意したんだってね」

「はい。とてもありがたいことに」


 私はレンさんに、春らしい若葉色のドレスの裾をつまんで広げて見せた。

 ドレス全体を通して薄い布を重ねたデザインで、広がった袖口もスカートの裾も風が吹くとふわふわと揺れて可愛い。

 私にこれを贈って下さったときの皇太后様の、「レンブラントに任せると、季節感も何もないあの子の色一色になりかねない」という一言は、私の胸にしまっておこう。

 レンさんにエスコートされ、会場である王宮の庭を歩いて行く。『花の会』だけあって色とりどりの花が目を楽しませるし、香りも調和するよう植えられているのか、先程からずっと良い匂いがしている。

 演奏会が始まったのか、やや遠くから美しい旋律が聞こえてきた。

 ちなみに去年の例の演奏会勝負は、セレナの不戦勝となった。コール子爵令嬢は紹介状がもらえない以前に、他国に行ってしまったわけだから必然的にそうなる。

 そしてそのコール子爵令嬢、何とその他国の修道院でもやらかしたらしい。

 オーグラン地方にゾアラ国の王子が視察に来た際、修道院を勝手に抜け出した彼女は、あろうことか「ここから連れ出して下さい」と王子に抱き付いたという。

 コール子爵令嬢は、不敬罪の現行犯で牢に入れられたそうだ。これはもう出てこられないだろう。奇しくもシグラン公爵令息が言った「二度とセレナには近付くな」が叶ったわけだが、まさかそこまで計算して……いや考えるのはよそう。怖い。

 一方、スレインの方は意外にも異国が水に合ったようだ。

 レンさんから聞いた話では、スレインはソニア妃に常々「次の王にはサミュエルがなるから、あなたは彼の補佐をするように」と言い聞かされていたらしい。

 事情を知るソニア妃からすれば、それが正しいと思っていたのだろう。でもスレインはそれを「自分は期待されていない」と受け取ったのではないだろうか。

 そんな折りに、いつでも人手が足りないような土地で暮らすことになった。彼は自分が役立てることを見つけて、張り切ったのかもしれない。現に最近ロッガ伯爵から届いた彼の近況には、彼の毎日が充実している様子が伝わってくる内容だった。


「叔父上、アデリシア妃」


 演奏会の舞台近くまで来たところで、やや遠くから私たちを呼ぶ声が聞こえた。

 そちらを見れば、片手を挙げたシグラン公爵令息――今はサミュエルさんと呼んでいる――と彼にエスコートされるセレナの姿が目に入る。

 彼らの装いは相談して決めたことが(うかが)える、一対のデザインだった。二人は並んで私たちの方へと歩いてきた。


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