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こっちもやっぱり男主人公でした(3)

「サミュエルと同類のセイにわかるわけない。サミュエルと一緒にいると、全員……男も含めて全員だ、僕ではなくて彼を見ているんだよ。それに加え、シアはサミュエルと年回りまで合ってしまってるんだ。シアを取られるかと気が気じゃなくても仕方ないだろう?」

「でもそんなことはなかったんでしょう? 良かったですね」


 拗ねた子供のように愚痴ったレンさんに、半ば呆れた口調で返してきたのはシグラン公爵令息だった。

 加えて彼は、「もうあなたの盛大な独占欲に、周りを振り回さないで下さいね」とレンさんに釘を刺した。


「私からすれば、叔父上がノイン侯爵令嬢を貰い受けると言い出すのは、充分想定しうる未来でしたよ。最初から叔父上はスレインの婚約者を彼女に決めた理由について、『僕がスレインの立場なら、その子を妻に欲しいと思った』と言っていたわけですから。十数年も経てば彼女を見る目が変わるのは明白でした」

「ぐっ……」

「シアをそう言う相手として認識したのが今頃で、寧ろホッとしているくらいだ。レンは建築ギルドの前科があったしな」


 (うめ)くレンさんに、父が畳み掛けるようにして話に参戦する。

 唐突に出てきた耳慣れた単語に、私までつい「建築ギルド?」と話に入ってしまった。

 父が私を振り返る。その複雑な表情、やはり『前科』という単語に関係――ありますよね、そうですよね。


「シアはレンのことをギルドマスターだと思っていたようだが、そっちは別にいる。ギルドのあの部屋はレンが王族権限で間借りしている、()()()()の都市開発窓口だ」

「…………えっと?」


 国王陛下なのだから、建築ギルドのギルドマスターではなかったのはわかる。

 今思えばレンさんがカフェに持参していたのは、銀食器だった。あれはエコも兼ねた毒殺対策のシステムだったのだ。

 ――と、それは置いておいて。一番ツッコミたいのは勿論そこじゃない。


「私専用の都市開発窓口……?」


 これ。何よりもこれが意味不明。

 そんな心持ちで私はレンさんを見た。

 私と目が合うと、レンさんは決まりが悪そうな顔をした。


「いや……その、スレインとの婚約が決まったときに、僕がシアに尋ねたじゃないか。今、欲しいもの、それかあったら良いなと思うものは何かないのかって。そこで君はテーマパークかリゾートプールがあったらいいと答えたんだよ」

「そういえば……そんなこともあったような……」


 私が小さい頃は、遊びに出掛けるといえば『美術館』や『オペラ』などしかなかった。折角また子供時代を過ごせるのなら、どうせなら子供らしい遊びがしたいと思ったのだ。

 そんな想いから導き出されたのが、『テーマパークとリゾートプール』だった。


「僕がそれを君に尋ねた意図は、婚約祝いに贈る参考にするためだったんだ」

「……まさか」


 それで私のために造った? いやいやそんな、冗談のような婚約祝いがあるわけ……あるのかなぁ、王都にテーマパークもリゾートプールも実在するなあ……。


「……レンさん?」

「ああ、うん……」


 私の呼びかけに、レンさんの目がついと泳いだ。


「まあそんなわけで、総合的に考えて――()()()()ことに……したんだよ」

「…………」


 あの、本日の衝撃の事実はもうお腹一杯ですので……。


「ちなみにレンとお前の婚約祝いには、スタンプラリーのある巨大迷路を造る予定だそうだ」


 テイクアウトも結構です! でも完成はとても楽しみです!

 巨大迷路に母と行くという父と、セレナを誘うというシグラン公爵令息に、レンさんが「勿論、僕はシアと行く」と張り合ってくる。

 無事にざまぁも終わって、わいわいがやがや明るい大団円。これにて私の『悪役令嬢』はハッピーエンド!

 ……で、いいよね?


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