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やっぱり悪役令嬢でした(6)

 立ったままわなわなと身体を震わせるスレイン王子――スレインを見上げながら、レンさんが余裕の表情で足を組む。そうしてさらに、聞き分けのない子供の我が侭でも聞いたかのように彼は肩を竦めて見せた。


「僕はちゃんと君に尋ねたと思うけれど? どうしてもコール子爵令嬢を選ぶのかと。それに君は頷いたし、その後で僕が『二人が釣り合う身分にしよう』と言ったときも喜んでいたように見えたよ?」

「そうです! 身分については、ジェニーを高位の貴族の養女か何かにするでもして――」

「そんな話をした覚えはないな。僕が提案したのはあくまで、二人の身分が釣り合うようにというものだ。丁度良い具合に、君の実の父親はロッガ伯爵だったからね」

「は? それはどういう……」


 (わめ)いていたスレインが、さすがに困惑した表情で言葉を零す。

 彼の視線だけがロッガ伯爵に向けられる。伯爵は……青白い顔をして、項垂れていた。


「どうも何も、そのままの意味だ。ソニアに直接聞いたのだから、間違いない。嫁ぐ直前にそういう行為に及んだと話していた。僕と予定通り初夜を迎えていれば、僕は彼女のお腹の中にいる子が自分の子ではないことに気付かなかっただろう。ロッガ伯爵は見ての通りソニアと髪も瞳の色も同じで、その上ソニアの侍女に破瓜を工作するための血液が入った小瓶まで渡していたからね」


 レンさんが足を組み替えながら、スレインに(とう)(とう)と語る。


 『実は……息子を本当の父親の元へ返すことが決まってね』


 そうだ。よく考えれば、私は今レンさんが話している内容を既に知っている。あの日――建築ギルドまで告白しにいった日、レンさんが話していた。家のごたごたの関係で前日完徹したのだと、疲れた顔をしながら。


(それじゃあ亡くなった奥さんの連れ子って、そういうこと!?)


 連れ子……いやまあ連れ子には違いないかもしれないけれど、ソニア妃! ちょっ、ソニア妃ー!


「王族同士の政略結婚で、まさか半年以上も初夜をすっぽかされるとは思ってもみなかったんだろう。実際、僕もあの日に橋が落ちるほどの酷い水害が起きていなければ人に任せていた。でも僕は被害現場を見に行ったきり長期間帰らず、その間にソニアの妊娠が発覚してしまった。僕が城に帰って以降、僕と会う度に彼女は酷く怯えていたよ」


 この話も商店街デートをした際に聞いている。

 あのときはただ、レンさんの社畜ぶりがぶっ飛んでいると思っただけだった。だけだったのに、まさかの国家を揺るがす運命の分かれ道……!


「国家間の問題になる危険をわかっていて、それでもソニアは好いた男と添い遂げたい想いを止められなかったと言っていた。それが可哀想で、結局僕は一度も彼女と夜を過ごしていない。最後に彼女に触れたのが、その男のままでいさせてあげたかった。ソニアの曾祖母はローク王家から嫁いでいたから、生まれた子にまったくロークの血が入っていないわけでもなかったしね。生まれたのが男児だったこともあって、このままこの子が王位に即いてもいいかと思って」

「そんな……馬鹿な……」


 スレインが(がく)(ぜん)とした顔で、その場に崩れ落ちる。

 正直私も、平然を装うには話が重くて辛い……!

 しかし、レンさんの(もう)(げき)はまだ止まなかった。


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