表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/44

やっぱり悪役令嬢でした(5)

 あれから卒業パーティーは(つつが)なく終了して。私はレンさんに連れられて、学園の応接室へと来ていた。

 そこで確信した。パーティーの終わりは何かの始まりだった……と。


(この人選は一体……)


 先の会場でレンさんは、スレイン王子に改めて謝罪させると言っていた。だからこの部屋にいるのは、てっきり王子だけ――いてももう一人の当事者であるコール子爵令嬢のみと思っていた。

 それなのにこの状況は何だろう。

 部屋を取り囲むように配置されたたくさんの兵士。その輪の中心に位置するテーブルを囲む二人掛けソファは、四箇所ともみっちり埋まっていた。

 私とレンさんが座る正面に、スレイン王子とコール子爵令嬢。私が座る側の斜め向かいは父とシグラン公爵令息。レンさん側の斜め向かいは、こうなる直前に紹介された隣国ゾアラの伯爵と同じくゾアラの神官が座っていた。

 そしてこの場の誰もが――いや、レンさんを除いた誰もが複雑な表情をしていた。


「――よって、俺はノイン侯爵令嬢に大変……失礼なことをいたしました。心からお詫び……致します」

「…………はい、確かに謝っていただきました」


 スレイン王子ほどではないが、私もやや(しよう)(すい)した声でそう返した。

 というのも、レンさんが言う通り王子は私に謝罪してきたわけなのだが……それは長い長い(ざん)()の後でだった。


(まさか婚約破棄から今に至るまでの嫌がらせを、全部聞かされようとは……)


 スレイン王子は、私がシグラン公爵家の馬車を故障させたという噂以外にも、それはもう色々とやっていたらしい。特にコール子爵令嬢が泣きついてきてからは、張り切ってやっていたらしい。が、それのどれもが私は初耳だった。

 つまり、両手で足りないくらいにあったその大量の嫌がらせが、すべて私の耳に入る前に握り潰されていたということだ。


(まあそれは、レンさんの正体がわかった今だと驚くことでもないか)


 それにしても、これは俗にいう公開処刑という奴では。こんな大勢の前で洗いざらい吐かせるなんて。

 レンさんのちょっと怖い一面を見てしまった。国王陛下なのだから、元々あったそれを私がたまたま今知っただけとは思うが。


「――とまあ、こんな感じに育ててしまって大変申し訳ないが、約束通り引き取ってもらえるかな? ロッガ伯爵」

「契約を違えるつもりはございません。ローク国王陛下の温情には、感謝しております」

「どういう……?」


 レンさんとゾアラの伯爵――ロッガ伯爵が言葉を交わして。「育ててしまって」という会話の内容に反応したスレイン王子が、思わずといった感じでレンさんに尋ねる。


「ああ。廃嫡した君の今後についてだよ」


 訳がわからないという顔をした王子とは逆に、レンさんはさも当然といった顔でそう返した。


「……は? えっ!?」

「卒業パーティーはめでたい席だったから、このことには触れなかっただけだ。これは決定事項であり、近日中に改めて公表する。君は今を以て僕とは縁が切れ、ゾアラ国のロッガ伯爵の息子となる」

「なっ」


 ガタッ

 スレイン王子が勢いよく立った拍子に、テーブルが揺れる音がした。


「いきなりそんなこと納得できません!」


 怒りと恐怖からくるものだろうか、王子が震える声で訴える。


「それはまた、おかしなことを言い出したね」


 そんな鬼気迫る形相の王子にもレンさんは動じず、本当に「おかしなことを言い出した」というように一笑した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ