表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/44

やっぱり悪役令嬢でした(2)

「ああ、サミュエルを取り込んだのはノイン侯爵の画策だったか? 俺が駄目ならすぐさまあいつに乗り換えるとは、随分と野心家なようだ」


 スレイン王子が父を指差して、鼻で笑う。

 王子とコール子爵令嬢以外は私と同じ悪寒の嵐なのか、明らかにこの場から人が()けていっていた。

 現在評判が下がりまくりの王子の言うことなんて誰も信じないはず。父もすぐに反論していないのは、言わせるだけ言わせてから「言いたいことはそれだけか」的な展開に突入する前振りだろう。

 ――と、高を括っていたのがまずかった。


「はっ。残念だったな、ノイン侯爵。アデリシアは先日、どこの誰ともわからない男と逢い引きしていたぞ」

「!?」


 ざわりと、全身が(あわ)()った。

 今、この男が何と言っただろうか。


「あの仲睦まじい様子、俺と婚約していたときから関係があったに違いない。サミュエルを射止めたとして、それは果たして王家の血筋の子供かどうか」

「……っ」


 続けられたスレイン王子の言葉に、私は思わず息を呑んだ。

 先程の私がシグラン公爵令息に懸想しているというのは、言い掛かりだとわかる。でもその言い掛かりの根拠は、私が彼をノイン家の馬車に同乗させたという事実に(もと)づいている。


(レンさんといるところを見られてた……?)


 ざわざわと、心が騒ぐ。

 王子は「あの仲睦まじい様子」と言った。言い方からして、きっと直接その目で見たのだ。

 王子に護衛が一人も付いていないということはない。そして王族の従者ならば、それなりに高位の貴族の子息が供だと考えていい。


(どうしよう。レンさんに迷惑がかかる)


 私は無意識に、添えていただけだった父の腕をきゅっと掴んだ。そうしてから、あっと思って手を離す。

 レンさんと私は秘密の恋人だった。父はそのことを知らない。

 スレイン王子が()()したような不純な関係では決して無いが、そうでなくとも父から見て友人が未婚の娘と恋仲というのはどう思うだろう。私が望んだのだと言っても、責められるのはレンさんなのではないだろうか。

 どうしたらこの話題を(かわ)せる? どうしたらレンさんを隠せる?

 どうしたら――


「そのどこぞの男が、スレインと婚約中に既にシアと親しかったというのは、まあ間違いではないね」

「え……?」


 大好きな声が聞こえたと思った。思ったときには、振り返っていた。


「レンさん……?」


 やっぱりそれは聞き間違いじゃなくて。けれど、貴族のような装いをした彼が見慣れなくてまじまじと見つめてしまう。

 そんな私の隣で父が「やっと来たか」と呟いたのが聞こえた。レンさんも父を頼って、国王陛下へのお目通りを目的として来たのだろうか。


(って、そんな場合じゃない!)


 レンさんに、よくない状況にあることを伝えなくては。


「レンさ――ひゃっ」


 伝えなくてはいけないのに、その私の言葉は他でもない彼によって妨害された。私の腰を抱き寄せるという、衝撃的な行動を以て。


「スレイン、安心するといい。その男と子供ができたなら、間違いなく王家の直系だ。サミュエルにあげるわけないよ、アデリシアは僕の妃になる人だから」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ