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やっぱり悪役令嬢でした(1)

 いよいよ卒業パーティー当日を迎えた。

 貴族の子息子女が通う学園ということで、ホールは舞踏会でも開かれそうな感じの(ごう)()(けん)(らん)さだ。私は父のエスコートで会場入りした。

 私に向けられる視線は……うん、悪くない。セイラム・ノイン侯爵の顔面偏差値による破壊力のお陰もあるだろうが、悪意のある視線は今のところ感じられない。


(スレイン王子が皇太后様に『花の会』の招待状を頼んだのに、それを断られたのも大きかったんだろうなあ)


 例のセレナとの勝負の件でコール子爵令嬢は、案の定あの後スレイン王子に泣きついたらしい。それで王子は良いところを見せようとしたのか、皇太后様のところへは使いの者でなく本人が直接出向いたそうだ。で、見事玉砕したと。

 そんなこともあり、シグラン公爵令息という予備がいる王子よりも、皇太后様の覚えがめでたい私の方についた方が得だと考えた貴族も多かったのかもしれない。その証拠に、明日から本格的に政務が始まるという割りには、王子に擦り寄る者が少ないように思える。

 よって、取り巻きのいない彼の動きはよく見えた。コール子爵令嬢をエスコートした彼が私のいる方向に歩いてくるのが――よく見えた。


「うん?」


 どうやら本当に私が目的だったらしく、王子が私の目の前で立ち止まる。


「聞いたぞ、アデリシア! サミュエル・シグランに色目を使ったそうだな」


 そして開口一番、彼は訳のわからないことを言った。

 しかし、訳はわからないが――理解はできる。「あっ、察し」という意味で。

 ついでに、べったりと王子に寄り添うコール子爵令嬢の絵面もまた「あっ、察し」である。


(結局、『悪役令嬢』の遣り取りをここでもするのね……)


 てっきり、「コール子爵令嬢を苛めた」の線で攻めてくるかと思っていた。一番事実と近いものであったし。

 ああ。でもそれをすると、王子が皇太后様にすげなくされた件にも繋がるから止めたのか。

 だからといって、シグラン公爵令息を絡めてくるとは。あの人、偶然会ったとき以外、まったく関わっていませんけど。

 まさか先日の馬車の故障が、私が仕組んだこととか言い出さないでしょうね?


「馬車を意図的に故障させておきながら、サミュエルに頼んで否定させただろう!?」


 そのまさかで、しかもシグラン公爵令息によって既に事態は収拾されていた……。


「やはりそのような嘘の噂を流そうとしていたのは、王子殿下でしたか」


 ここに来て、父が参戦。

 今、周囲の温度が下がった。口調は穏やかでもこれはかなり怒っていると思われる。今は絶対に父の顔を見てはいけない。見たら凍ること請け合い。


「嘘だと? どうしてそう言い切れる」

「それは言い切れますよ。シグラン公爵令息はただ、『恋の話に花が咲く令嬢お二人の様子に、私も素敵な恋がしてみたくなりました』と話していただけです。その話で持ちきりの王都で馬車の故障云々について言及してくるのは、噂を流した張本人しかいないかと」


 その話は聞いた。けれど、まさかそんな意図があったとは。

 上手い。上手いわシグラン公爵令息……。まず私と二人きりではなかったという状況説明を入れ、そこへ「自分も恋がしたくなった」という爆弾発言を投下する。すると、どうなるか。

 光の速さで「シグラン公爵令息が恋の相手を探している」という噂が広まり、それに乗っかって私の無実も伝達される。そして、王子が流したデマが一瞬にして消される……!

 ありがとう、シグラン公爵令息。絶対に真ヒロインと幸せになってね!


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