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『悪役令嬢』は始めません!(6)

(あっ、そうだ。図書室の本も見られなくなるんだ……)


 王妃教育に必要だからと本の閲覧権限について、これまで私には『準王族』が与えられていた。

 準王族以上しか入室できない部屋には、主に現代では再現不可能な遺物についての文献が収められている。

 実は日本の知識をこちらで再現するにあたって、大いに参考にさせてもらっていた。それが見られなくなるというのは痛手であるし、また私なら再現できそうなものがまだ幾つかあった。その点についても残念である。

 まあ、正史では消された記述や(ねつ)(ぞう)された事件の真相など、やばい内容の閲覧権限までは与えられていなかったのは、不幸中の幸いか。この辺りを知っていようものなら、国外追放からの国を出た瞬間に暗殺というデッドエンドルートに乗りかねない。

 男主人公がいたなら危機一髪で助けが来るシチュエーションであるが、自らその存在を拒否してしまった私は確実に死ぬ。本当にそんな状況でなくて良かった。


(すぐに取り掛かれそうなものについては、今のうちに再現してしまおう)


 名付けて、『再現してしまえば、閲覧制限がなくなる』作戦だ。

 今までも家電など再現してきたものは、王侯貴族が独占するなんてことはなく広く公開されてきた。おかげで最初に私が設計したものより改良された型が次々と出て、どんどん生活が便利になってきている。職人さんたちのその向上心、尊敬します。


(念のため遺物とは別に、何か用意しておいた方がいいかも)


 遺物に関しては、現代で再現できないだけで元々この国にあったもの。私でなくとも、時代が進めば再現できる者は増えて行くはず。

 物でないならシステムだろうか。機能的な施設や流通、農業から工業までの改善提案を思い付く限り書き出しておこう。

 あとはそれらをスムーズに稼動させるため、魔石を安定して供給する方法が必要だ。今でも年々、魔石の需要は増えているわけだし。

 現状、魔石は鉱石の一種として採掘しているらしい。採れたての魔石は魔力を含んでいて、その魔力を取り出すとただの石ころに変わると言われる。

 イメージ的には電池……ならば、充電式の魔石は作れないか。また、人工的に生成できないだろうか。

 実際の研究については専門家に任せるが、取っ掛かりだけでも書いておこう。仮説の仮説程度であっても、あるのとないのとでは大違いだと思うから。


(そうだ。暗殺なしの国外追放になったら、企画を売り物にしてみよう)


 これから対策は取るつもりだが、それでも悪役令嬢らしく国外追放になってしまう可能性もある。遺物に関してのものでなければ、国外で活用しても知識の持ち出しとは見なされないはず。

 書き出しているのはローク王国の社会に沿ったシステムではあるが、きっと幾つかの問題は他の国にも当て嵌まる。数打ちゃ当たる。

 他国で名声を得て、それが母国に伝わるタイプのざまぁもよくあるパターン。そういった意味でも、この方向の準備をするのは正解に思える。


「よし、もうひと頑張り」


 私は再度机に齧り付いた。

 そして翌朝机を枕に眠っている姿をメイドに見つけられ、机で泣き疲れて眠ってしまったという誤解を受けたあげく、家中から同情の目を向けられたのだった……。


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