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002 おはよう
__朝。朝だ。
空は空々しく輝いている。隣には顔のいい女の子が…
え、顔のいい女の子…?
__そうだ。
昨日、血を被ったような格好で、目の前で、他ならぬ推しが倒れたんだ。
そのショックで、あろうことか僕も気絶したんだった。
「サイコさん!ちょ、サイコさん、生きてますか」
「嗚呼、生きているよ。本当にどうしたものか、一般人に本業がばれてしまうなんて…」
__生で会話してるー。幸せすぎるー。
__本業?
「すみません、本業って…」
「…もうなんとなく分かっているだろうに。人間の頭部を抱えて走ってくる職業なんてそうそうないだろう?」
「あ」
__ふふん、と余裕そうな笑みを浮かべて。
「輸送ですか!」
__サイコさんがため息をついたので違うらしい。
「うん、うん。素晴らしい観察眼だね。そうだなぁ…不本意ではあるのだけれど…君、家族は?」
「…居ませんよ。勿論、生まれたときから」
「…保護者は?友人は?…居なそうだね。それなら…」
__私についておいで。
配信の時とは違う、妖しい笑みを浮かべたサイコさんは、くらくらするほどに綺麗だった。