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メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第二章 学園格闘者発掘編
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第五十九話 迷宮化(その四)

 雷に撃たれ魔物は絶え、その辺にチョロチョロと生えていた雑草は既に炭と化している。


「ブランク!」

「ブラっち!」

「ウォ……ミサ、キャミィ?」


 何なの? その“正気に戻りました”的な反応は。


 そんなブランクは私たちの後ろにさっと回って身を屈めた。

 まるで何かから隠れるかのように。


「もしかしてブラっち、人が多すぎてパニクっちゃったんすか」


 え、それってさっきの落雷……?


「面目ない……魔物と戦っていても人の目が気になって、頭が真っ白になってた」


 そうだったの!?

 買い出しで町に行くのは普通だから、まさか多衆が苦手なんて思わなかったよ。

 これも昔受けた虐待の影響……トラウマなのかな?


「それにしても派手な雷魔法ぶちかましたっすね」

「修行したからな。ミサ、どうだった? 満足いく雷撃になっていたか?」


 やり過ぎだよ……

 と言いたいところだが


「凄かったよ。驚いた」


 ブランクのキラキラした目を見てはそう言うしかないよ。


「うん、良かった。ところで和尚には会ったか? 和尚は更に腕を上げられたぞ」


 う、トンダとブランクを見た後だから、和尚がどんな技を使うようになってるのか恐ろしい……


「まだなんだな。よし、一緒に行くか」

「ブラっち、ここに置いてかれるのが嫌なんすね」


 ニヒヒ、と後輩が嫌らしい笑い方をした。


「……」


 ブランクはツーンと前を向いて歩いて行く。


 ティティ先生や学生たちは慌てて後をついて来た。




 向かうのは最も人が多く集まっているグラウンドだ。

 トンダやリーレイ率いる、取り残されていた人たちとも合流した。








「うおお! 火風術、火炎屏風!」


 おっ、ヒュウガ先生も派手な魔法を使ってるな。


 鮮やかな屏風が一つずつ立てられるように、炎のカーテンが魔物たちを囲んでいく。

 屏風が隙間無く立って輪を描くと、それは激しく回転して輪を縮め、やがて一本の柱になり消失した。

 跡には大ダメージを負った魔物が残っている。



「マムマム!」

「ウルウル!」


 魔物にとどめを刺すのはヒュウガ先生の教え子たちか。

 特にマムマムとウルウルが駆け回って活躍している。


 さて、我がクラスはどうかな?



「そ〜、れっ!!」

「凍え砕けなさい!」

「オラオラオラー!!」


 アラシュが竜巻で魔物たちを巻き上げ、そこにミコルルが氷雪を加え魔物を凍らせる。

 砕けた魔物が煌めく欠片となって降り注ぐ中を、ジャンネが剣を振って残った魔物を斬り伏せていく。


 ヒュ〜。

 やるじゃないの。

 ひ弱ひ弱と思ってたけど、修行の成果は出てるもんだね。



 他のクラスメイトもモルガノ先生の指揮下で懸命に戦っている。


「ガッ*#¥チョ♪€%$!」


 ジャガノス君もかなり抑えたヘッドクラッシュで魔物に突進だ。


 だが


 ドカッ


「痛いでゴワス!」


 多数の魔物の攻撃が彼のスーパーアーマーを突き破った。

 ジャガノス君は転げてゾンビッシュ君に受け止められた。


 いや、ゾンビッシュ君は受け止められずに一緒に転げて、組んず解れつ的な〜。


「ハァハァ! 何をしているんですか! 戦闘中にふざけ合わないでください!」

「いや、別にふざけてるわけじゃ……」

「まったくけしからんわね! ハァハァ」


 バラプドールさんが支援しながらハァハァしている。


 そんなハードな状況には見えないのに。

 わけ分からん……



 ユリキャットちゃんは真ん中の方で女の子の輪の中にいる。

 余程魔物が怖いのか、女の子たちに擦り付けるように体を寄せている。

 もちろん、と言うかやはりと言うか、いつものようにハァハァしている。


 こちらには気づいてなさそうなので、視界に入らないようにしとこう。




 先生方も学生たちも頑張っている。

 でもやはり魔物の発生に押されている感はあるな。


 プリン先生も回復の手が休まらず忙しそうだ。


 よし、みんな、心強い助っ人を連れて来たからね。

 あとは和尚を……


「ああっ! モルガノ先生! そいつは闇属性を吸収するタイプの奴です!!」

「や、やっちゃった……」


 お得意の闇魔法フルスロットルで、魔物を弱体化させていたモルガノ先生がここに来て大ポカ。


「ギーーニャァアアァア!!!」


 闇属性をたっぷり吸収した魔物は、耳の割れそうな叫び声を上げその身を大きな黒い渦に変えた。


「生贄召喚です! 大物が来ますよ!!」


 誰かが叫んだ。


 果たしてその言葉どおり、渦からヌッと巨大な足が出てきて


「離れろ!!」



 ズン



 地面を揺るがせて現れたのは、遠足の迷宮で遭遇したベヒモスだった。


「手の空いている先生方! まだ魔物の体勢が整っていない内に行きますよ! 一斉攻撃です!」


 その号令を合図に、数え切れないぐらいの魔法弾がベヒモスに降り注いだ。



「やったか!?」


 はい出たよ、やったかフラグ。

 後輩のあの哀れを見るような目。



 煙が晴れる。


「そ、そんな」

「ほぼ無傷だと……?」


 ほら迂闊なこと言うから。

 まあフラグは置いといて、ベヒモスは魔法耐性持ちかな。

 少しぐらい損傷があるから、弱点属性があるのか、一定威力以上はダメージを与えられるのかは分からない。


「物理特化の先生と学生を集めるんだ!」


 先生の一人もそこに着目したようだ。



「グオオオン!!!」


 と、その前に魔物が襲って来そうだ。

 先程魔法を撃った人たちは腰が引けている。


 よし、ここは私たちの出番かな。

 トンダたちにいいトコ見せてやる。



 ボゴオッ



 !?


 気合い入れて飛び出そうと思ったら、突然ベヒモスの体が傾いた。

 慌てて重心を浮いた側に寄せて倒れまいとするベヒモス。



 ドン


 ドン



そこに二つの衝突音。



 ズズン



 ベヒモスは為す術なくひっくり返った。


「ふう、現れたと思ったら突然いなくなりおって。どこへ行ったかと思ったぞ」


 片手拝みをした和尚が……和尚が。


「和尚ー!!」

「おぉ、ミサ、キャミィ。息災か? このような状況では勉学もままならんだろう。早めに片付けるからな」


 気軽な感じで和尚は手を挙げた。


 どこへ行ったか、とか言ってたけど、和尚こそどこから現れたんだろうか。

 そして今の魔物への攻撃は?

 魔法使った感じではなかったけど。

 殴るには離れてるし。


 まあいいや、和尚と共闘だ。


「手伝いますよ」

「この魔物相手にそれには及ばぬ。それよりも見ておれ。ようやく伸びる手足を体得したのだぞ」


 ほ、本当ですか!?

 前みたいな強引な関節外しではなく?


「さっきもこの辺りから三発ほど此奴を殴ったぞ」


 え?

 十メートルは離れてますよ?

 いくら伸びるからって、それは無理があるのでは……


「グオオオン!!」


 私が疑問を呈する間も無く、魔物が起きてしまった。

 今度は突進ではなく魔法を使うのか、魔力の高まりを感じる。


「行くぞ」


 和尚が腰を入れた正拳突きを放つ。

 魔物との距離は変わらず、かなり離れている。


 !?


 和尚の肘から先が消えた!



 ズン



 魔物が仰け反る。


 え?

 もう一回お願いします!


 次は前蹴り、膝先が消えた。

 と、同時に魔物の土手っ腹直近に消えた脚先が現れた。



 ボゴオッ



 和尚は、どうだと言わんばかりにこちらを見ている。



 ……伸びる手足って言うか、これ、射程距離が伸びてるって言うと思うんですけど……



「く、空間魔法!」

「それもなんと自在に操るものよ!」


 先生方は驚いている。


 いや、私も驚いてるよ。

 発想の転換だよ。

 物理的に手足が伸びないから、空間を捻じ曲げて遠くに手足を届かせるって。

 結果的に手足が伸びたのと同じ効果を得たのだけれども。

 だけれども……



 ヨガの要素無くね?



 私が複雑な思いを抱いている間にも和尚の攻撃は続く。

 打撃のみだが一方的な攻撃だ。


 もうベヒモスはピヨっている。


 フワリ


 和尚は絹が舞うように柔らかく跳躍した。


「昔言っていたな」


 そして体を一本の棒のようにピンと伸ばして。


「回転しながら飛び蹴りが、とか何とか。こう言うことだったのだろう?」


 錐揉み回転をしながらベヒモスに向けて落下を始めた。



 ギュルルルル



 ド、ドリルキックや!

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