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メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第二章 学園格闘者発掘編
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第五十七話 迷宮化(その二)

 人里が迷宮に飲み込まれたと言う特殊事例は授業で習った。

 先人の経験則となってしまうが、迷宮の発生は元々瘴気の濃い場所が主である。

 人里は大体魔物が弱い、つまり瘴気の薄い場所にあるので人里に迷宮ができることは滅多にない。

 それに加えて迷宮は成長するもので、発生直後は狭い空間でしかない。

 私たちがこの前吸い込まれた迷宮よりももっと狭い程度の。


 過去に飲み込まれた人里は、瘴気の薄い場所に出来たという特殊事例ではあった。

 しかし辺境の極小さな集落であり、迷宮の拡大を止められずに集落が飲み込まれた、ということだ。



 何が言いたいかというと、誰にも気づかれずに学院を覆う程の巨大迷宮が出来ているなど、前例が無くて何が何やらさっぱり分からんというわけだ。


 瘴気が濃くなり魔物が出ているが、ぱっと見学院に変わった所は無い。

 それも不可解だ。

 迷宮化しているなら迷宮外からは普通の学院に見えるだろうが、この場所――迷宮内部はガラリと変わっていると思うのだが……



「また魔物が!」



 ……っ!

 答えの出ないことを考えてる場合じゃなかった。

 魔物はどんどん生み出されるんだ。


「早くゲートクリスタルを見つけるか、ダンジョンコアを見つけて破壊しないと」


 先生の誰かが言った。

 多くの学生はパニックになっている。

 先生も混乱はしているが、プロとしての危機管理意識なるものがあるのだろう。

 学生を集めようと動き始めた。



 私と後輩も手分けして学生の無事を確認することにした。


 あっ、でもどうしようかな。

 クラス単位で教場に集まった方がいいのか、それとも一斉にグラウンドや体育館に集まった方がいいのか。

 教場に集まるとすると……一クラス三十〜四十人いれば、大体どこから魔物が現れようと余裕を持って対処できるだろう。

 グラウンドなどへの集合は、多人数なりの安心感がありそうだ。

 でも広い空間であちこちから襲われたら対処が面倒かな。

 多すぎても全員が一斉に戦えるわけじゃなかろうし。

 ただ、先生同士は連携を取り易いだろうし……

 う〜む、この後ゲートクリスタルやダンジョンコアを探しに行くことも考えたら、一箇所に集まった方が先生も動き易いかな?


 とりあえず教場棟に残ってる学生が居ないか見に行こう。

 居るとしたら少数で危険だろうから。








 教場棟に着いた。

 何人かは残っているような気配を感じる。

 幸いにも魔物の気配はほとんど感じられない。


 よし、行こう。



「大丈夫っすか!?」

「え? 何かあった?」



「みんな集まろうとしてるわ。早く行きましょう」

「な、何が起きてるんだい?」



 教場棟に残っているのは十人にも満たなかった。

 それぞれの研究をしたり、寮では落ち着いて勉強できない人たちが、個別に残っていたのだ。


 彼らの反応はまちまちだ。

 外の慌ただしい雰囲気を察して狼狽えている人や、研究や勉強に集中して外の様子に気づいてない人。


 それもそのはず、教場棟で遭遇した魔物は一体。

 通路に現れただけだったのだから。


 とにかくこれは運が良かったのだろう。

 今のうちにここの人たちを連れて先生たちのいる場所へ向かおう。

 しかし……


「姉様、魔物の気配が……」

「困ったわね。どうしたものかしら」


 後輩が指摘したのは、外の方、とりわけ人が集まっている場所に、魔物の気配もまた多くなっていることである。


「これじゃあまるで、人が魔物を呼び寄せているみたいっす」


 なるほど、後輩の考えは否定できない。

 現に人の少ない教場棟では魔物が一体しかおらず、人が多数の場所には魔物も多くいるのだから。


 さてしかしダンジョンコアなどの探索班を組まねばならないし、ある程度学生を集めることは必要だ。

 その集まり毎には指揮する先生が最低一人は必要だろうし。

 ……魔物は多いが、やはり一旦は一箇所に集まらねばなるまい。


 てことで私たちは体育館へと移動した。








「わーっ!!」

「キャー!!」

「グラウンドだ、グラウンドへ避難するぞ!!」


 向かう先の体育館から多くの学生たちが流れ出て来る。

 なるほど、明かり取りの窓を破って魔物があちこちから入っているのが見える。

 あれでは戦いにくかろう。

 体育館は避難先としては相応しくなかったようだ。




 そして向かったグラウンド。

 人も多いが魔物も多い。

 やはり人の何かが、魔物の発生要因の一つになっているのかもしれない。


 学生と先生たちは、既にある程度規則だって固まっているみたいだ。

 戦闘力の高い先生たちが外周りに位置し、中心部は女子や弱そうな子たちが多い。


 ところで外周部にいる中で際立つのはやはり学年主任の先生たちだ。

 デスシックル先生なんて歩きながら魔物の首を刎ね飛ばしている。

 動きは決して速くないから余計に、触れると即死する敵シンボルみたいだ。

 肌をヒリつかせるこの危機感、やはりおっかない先生だ。


「マムっち! ウルっち!」


 後輩は知己を見つけて安全を確認しに行った。


 私もミコルルたちを発見。


「ミサ! もう勝手に何処かへ飛び出したらダメですよ」

「ごめんごめん」


 怒られちゃったよ。

 飛び出したつもりは無かったけど。


 ところで何故君たちはこんな内側にいるのかね?



「女子だからって追いやられちまった」


 ジャンネはつまらなそうだ。



「ま、いいんじゃな〜い? 魔物が多いようだったら手伝いに行けばさあ」


 アラシュはいつものマイペース。



「いえ、私たちも魔物を倒す手伝いをしましょう」


 ミコルルは私の目を見て言った。


「訓練の成果を試す良い機会です。いつもの魔物よりは強そうですからね」

「しゃあっ! そうこねえとな!」

「も〜、しょうがないなぁ。無理はしないどこうね」


 大丈夫。

 この魔物に遅れを取る彼女たちではない。


 ところで気になることが。


「タクララちゃんや、ミノンさんたちは? ここに来てる?」


 人が多すぎてまだ見つけられていないが、無事なのだろうか。


「すいません、見かけてないんです」

「そういやそうだな。寮にはいなかったはずだけど」

「もしかして、まだ食堂にいるんじゃ……」


 まずいな、急いで探しに行かなきゃ。


「ごめん、私行かなきゃ」

「分かってます。ここは任せてください」

「気をつけろよ!」

「ミサなら平気だよ〜」


 食堂に戦闘能力の高い人が残ってればいいけど。

 私は不安を抑えて食堂に向かった。


「姉様、食堂っすね!」


 後輩も同じことに気づいたらしい。合流して急行だ。








 食堂が目に入った。

 同時に入口に打ち捨てられた瓦礫やテーブルなども……


 まさか散々に破壊されてしまったのでは。

 嫌な考えが頭を過ぎる。

 魔物がそれを破壊し吹き飛ばしたとか。


「バリケードだったみたいっすね」


 焦った。

 手遅れではないことが分かりほっとしたが、急がねば。


 と、その時横の腰高窓から抜け出そうとするお姉様方の姿が。

 魔物はちょうど入口のバリケードを破壊することに夢中で、食堂の人々はその隙を突いて脱出を試みているようだ。


 お、タクララちゃんとミノンさんが出て来るぞ。

 こうなると入口の魔物を倒してから窓の方へ行った方がいいかな。


 ダン、と魔物の方へ踏み込んだ瞬間……



 突然魔物の気配が現れた。



 しまった!

 まさかこのタイミングで発生したのか!?


 位置的には食堂の人たちが脱出していた窓の近く。

 私たちと魔物の間には脱出したお姉様方がいる。

 ここから急転してお姉様方を飛び越えて魔物を倒せるか?

 しかしこの魔物も倒さねばならないし。

 後輩も同様で、対処に迷った苦虫を噛み潰したような顔をしている。



「きゃあああぁぁ!」

「タクララちゃん!」


 タクララちゃんの悲鳴とミノンさんの必死そうな声が聞こえた。


 入口の魔物は後輩が魔法で切り刻んだ。


 間に合え!

 地面を抉って切り返し、悲鳴の元へと向かう。




 タクララちゃんを庇うように覆い被さったミノンさん。

 その前には人型の魔物が。


 魔物はこちらを見て少し動いた。

 それにより私と魔物との間に人が位置する形になった。


 まさか射線を塞いだ!?

 そんな知能があるのか!


 やばい!

 魔物の腕がミノンさんに振られて……




 ズン!!!




 え?


 突然巨体が空から降って来て魔物を潰してしまった。


「あ、あなたは……!」

「間に合って良かった。ケガはありませぬか」


 ミノンさんは口に両手を当て目を見開いている。


 私も驚いている。

 よく知ったその姿は……


「ト……」

「ん? おお、ミサ、キャミィ。久しいな」


 トンダー!!??

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