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メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第二章 学園格闘者発掘編
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第四十二話 長期休暇(その五)

 突然魔物が強くなった原因は何なのか。

 闘神像の性格なのか、はたまた寺院に何かが起こり祈りが途絶えてしまったのか。

 いやでも突然の強化と言うことだと、祈りが途絶えたとは考えにくいかな。


 そうだ、大地闘神の御威光による魔物弱体化は電波的な性質があったはずだ。

 もしかしたら盆地と言うこの立地が電波……じゃなくて御威光を届き難くしているのかも。

 何かしらの遮蔽物ができてしまったとか。



 とにかくこうして考えを巡らせていても私では分からないことばかりだ。

 ここは村の人から話を聞かねばなるまい。


 そう思って話を聞いた結果――


 闘神像は歩いて三、四日程の場所にある寺院に安置されていて、以前はこの村も高台の上の方も、魔物の強さに違いは無かったらしい。

 寺院にある闘神像ならそんな奔放な性格はしていないと思うが、村人たちではそんなことなどもちろん知る由もない。

 歩いて三日なら走って一日で行ける範囲だと思うが、目立つランドマークでも無ければやはり案内無くしては行けない。

 他に兆候や以前と変わったところは無かったのか。


「変わったところって言ってもなぁ。何かあったか?」

「さてなぁ。ブリゴンナ婆様がポックリ逝っちまったことぐらいでねえか?」

「バカぁ、関係あるかそんなこと」


 ――結局心当たりがある人はいなかった。




 私と後輩はお客さんだから先に帰っといてくれ、と言われ、まだ話し合いをするクラパパさんを残してその場を後にした。








「あれ? タクララちゃん家って、どこだっけ?」

「う〜ん、似たような家ばかりっすから……中央辺りの大きめの家だと思うんすけど」


 先に帰っといてくれって言われて寄り合いから外れてきたけど、後輩とふたりして迷ってしまった。

 広くない村なんだけど、建物がみんな同じような外見なんだもの。


「お〜い、あの、すいませ〜ん」


 辺りをキョロキョロ見回していると、遠くから呼びかける声が聞こえた。

 ソニオ君が私たちを呼んでいるみたいだ。


 ちょうどいいや。


「タクララちゃん家ってどこだっけ?」

「え? ああ、こっちです」


 いやあ、助かったよ。

 ところでなにかね?


「あの、ちょっと気になったことがあって」


 さっき集まってる時に言えば良かったのに。


「いや、大人たちは関係無いって言ってたんで……」


「あ、ミサお姉様、キャミィさん、お帰りなさい」


 私たちの話し声が聞こえたのか、タクララちゃんが家から出てきた。


 ただいま。

 魔物は倒したよ。


「やっぱりお二人は凄いんですね」

「すごーい、お姉さんたち!」

「ごいすー」


 キラミラも続いて出てきた。


「ワハハ、もっと褒めるといいっす」


 そんな褒めなくていいよ。

 調子に乗りやすいんだから。


「あ、そうだ。お前らブリゴンナ婆様のことどう思う?」


 ソニオ君が言うのはポックリ逝ったと言うお婆さんのことか。


 ――キラミラちゃんが人を殺せそうな目でソニオ君を見ていた。

 ちょっとちょっと、会話に割り込まれたからってそんな目を人に向けたらダメでしょ。

 ソニオ君がたじろいでいるじゃないの。


「どう思うって、優しいお婆ちゃんだなってことぐらいだけど?」


 そこを取り成すタクララちゃん。

 優しいね。


「まだ元気そうだったのに急に亡くなっちゃったよね」

「え、ブリゴンナお婆ちゃん亡くなったんだ」


 タクララちゃんが驚いている。


「あ〜、うん。ゴタゴタして言ってなかったね」

「ごめんなさい姉ちゃん」

「そっか。仕方ないよ。でも残念だな。優しいお婆ちゃんだったけど」

「それで、何でそのお婆さんの話を?」


 ソニオ君は首を傾げる。


「いや、どうしてって言われると。どうしてだろ?」

「…………」



「お墓参り、しようかな」


 またもソニオ君に冷たい視線が突き刺さるところだったが、タクララちゃんの一言でそのブリゴンナお婆ちゃんのお墓参りをすることになった。



「どんな人だったんすか?」


 優しくて信心深いゴブリンのお婆さん。

 それが生前のブリゴンナお婆ちゃんだったらしい。


 ゴブリンは結構信心深い人が多い……

 って和尚が言ってたっけな。


 ところで信心深いって、何を信仰してたんだろう。

 大地闘神以外への信仰なんて考えたことも無かったけど。


「何だろうね? いつも外のちっぽけな穴蔵に、手を合わせて拝んでたけど」


 ブリゴンナお婆ちゃんは結構な高齢だったけど、まだあと何十年も生きそうなぐらい元気な人だったと。

 でも、明日も当然畑仕事をして何かに拝む一日を送るのだろうと誰もが思ってたら、ある日眠ったまま起きなくて。

 ああこれは見事な大往生だって村のみんなに口を揃えて言われるぐらいの、いい亡くなり方をしたんだって。



「で、何でブリゴンナお婆ちゃんのことを急に言いたくなったのか、思い出した?」


 墓前に手を合わせたタクララちゃんは、ソニオ君に再び尋ねた。


「ええと、さ。婆様が亡くなって、いつも見てたあの、のんびり歩く姿が見られなくなったなって、今ふと思ってさ。そしたら、もしかして婆様が拝んでくれてたから平和だったのかなって思ってさ……」


 あまり言いたいことが整理できてないソニオ君。


「でもさぁ、お婆ちゃんが亡くなってもうふた月だよ」

「ちょっと離れ過ぎだよね? ソニオ兄ちゃん」


 言い方が鋭いぞキラミラちゃん!


「姉様は気になるんすね?」


 そうだ。

 何が気になるかって言うと、ブリゴンナお婆ちゃんが拝んでたから平和だったのかも、ってソニオ君の考えがね。


「ソニオ兄ちゃんの勘なのに?」

「テキトーなのに?」


 キラミラちゃんの中でソニオ君の位置付けが低い件。

 ソニオ君の遠くを見る目が哀愁を感じさせる。


 それはさておき、祈りが平和に通じる大地闘神の加護を身近に感じて育った私としては、ブリゴンナお婆ちゃんの行為がこの村の平和に関係していてもおかしくないと思えた。


 とりあえずその穴蔵とやらのある場所を聞かせてもらおうか。


「私も行きたいな〜」

「私も〜」

「キラ、ミラ。ミサお姉様たちの邪魔になるからダメだよ」


 そうだね。

 ちょっと危ないと思うから遠慮してほしい。


「あの、俺は……」


 やめといた方がいいかな〜。

 ちょっとジャンルが違うから。


「でも、案内は必要ですよね?」


 う〜ん、一撃で倒せる魔物ならいいんだけど、そこまで弱いレベルじゃないんだよね。

 逃げ足も大事だけど、それだけでは不安なんだな。



 コンコン


 どうしたものかと考えていると、玄関の戸がノックされた。


「は〜い」


 タクララちゃんがヒョヒョイと身軽に出て行く。


「あ、シェルリ。もう大丈夫なの?」

「こんにちは。クラお姉ちゃん」


「シェルリ!」

「お熱はいいの!?」

「キラ、ミラ。私は大丈夫だよ」


 ルマさんの娘のシェルリちゃんだ。

 元気そうで何より。


 私が手を振ると彼女は花が咲いたような笑顔になった。


「お姉様!」

「え!?」


 え、と私とタクララちゃんの声が重なった。


 シェルリちゃんはすすす、と寄って来て私の手を取る。


「その節はありがとうございました。お陰様で父も私もすっかり元気です!」



「お姉ちゃん落ち着いて!」


 タクララちゃんが眉根を寄せて手をパタパタさせている。



「何か用か? シェルリ」

「ソニオ兄ちゃんには用は無いです」


 またそんな扱いを……



「私を治療してくれたお姉様が村長の所にいると聞いて。また会えて嬉しいです」


 ドロップのポーションあげただけなんだから、そんな感謝されることでもないんだけどなぁ。

 顔赤くして。


「うん、じゃあまたお熱出ない内に早く帰ろ」

「大丈夫です。とてもいいお薬だったみたいで。体が軽いんですから」


 シェルリちゃんは伸びてきたタクララちゃんの手を躱した。

 バチッと二人の間で火花が散った。




「俺もお前みたいな防御があったらな〜」

「ん? 何が?」




 首を傾げるシェルリちゃんに経緯を説明。




「そう言うことなら私たちが案内しますよ!」


 彼女は胸をドンと叩いて任せろと言って、クルリと丸くなった。


 はて?


「こうなったシェルリには、攻撃が通じないんですよ」


 そう言ってソニオ君は丸まり状態のシェルリちゃんを転がし外に出して、突然ダッシュして体を丸めて彼女にぶつかった。

 痛そうなトゲトゲアタックだ!


 と思ったら、ぶつかったソニオ君の方がボイーンと跳ね飛ばされた。



「テキサスのアルマジロっすか」



 また違うアクションの世界に迷い込んでしまったようだ。

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