表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第二章 学園格闘者発掘編
35/138

第四話 敵か味方か

 担任が決まった私と後輩は、そもそも今日学院に来た目的を改めて説明した。

 そしてなんと私たちは、そのまま正規の学生証を発行され、学生寮に住むことを許可されてしまった。




「これで堂々とこの国を歩けるっす!」


 別にそんな目的は無かったけどね。


「とりあえず折を見て冒険者ギルドに行きましょう。時間があったら闘神像の場所も調べられるといいわね」


 ここに来るまで手に入れた、魔石とかドロップ品が溜まってるから売りたいんだよね。


「こんなに闘神像ボコスカしない日々も無かったっすから、なんか手足が寂しい気もするっす」


 その気持ちは分かる。

 シャドーばかりじゃ物足りないのだ。


 一応後輩とお互いに気属性でガードして殴り合っているけど、本気のコンボ研究とかできないし。

 チェインコンボですら危険を伴う。



「姉様はもう同級生がいるんすよね? 挨拶は済ませたっすか?」


 学生寮は男女別、学年別で分けられていた。

 で、二年の女子寮、私の所属する五組の女子は十六名。


「誰もいなかった」


 全員里帰り中だそうだ。

 新学年度開始前の長期休暇中なのだと。


「残念だったすね。ボクの方も、まだあと三日ぐらいしないと新入学生の入寮が許可されてないんで、独占状態っすよ」


 暇だから校内の設備を確認したら、しばらくは町に出ることにするか。

 ちょっと足を伸ばして魔物でも狩りに行ってもいいし。








 てことで翌日、後輩のショッピングに少し付き合った後、二人して森に入った。


「この魔物の弱さはどうすかね〜。闘神像は日帰りで行けるとこには無い気がするっす」


 確かに。

 カプルコン寺院から町までよりももう少し遠い所ぐらいの魔物レベルだから、急いでも日帰りで学院には帰れなさそうだ。



 ピシピシバシバシ


 魔物を倒す。




 キョエーッ!!


 お、この声は?


 魔物狩りの最中、乗り物としてよく使われるダチョウっぽい鳥の絶叫が聞こえた。


「事件発生っす! 行くっすよ姉様!」


 も〜、はぐれの悲鳴かもしれないじゃん。

 どうせ後輩の脳内ではお姫様とかが襲われてるんでしょうけど。








「そっち! 行ったよマムマム!」

「了解、ミコルル。行くよ、ウルウル!」

「了解」


 襲われてた……

 って言うのかな?


 背格好の似た三人の少女が魔物と戦っている。

 白地に赤色の縁取りのある服は巫女っぽくもある。

 くるぶしまでのズボンに腰丈のノースリーブを帯で止めている。


 同じ服装だから三姉妹かと思ったが、種族も戦い方もそれぞれ違う。


 短刀を持っているのがミコルルと呼ばれていた色白な子。

 長い白色の髪には赤いリボンが結われている。


 マムマムと呼ばれた鷹人種と、ウルウルと呼ばれた狼人種はミコルルの指示を受けながら連携しているのかな。


 二体の巨大ムササビを三人で囲み、樹上に逃げたら鷹人のマムマムが下へ追いやり、地上で狼人のウルウルが迎え撃ち、ミコルルが逃げ道を塞ぎつつ二人のサポートをする。

 連携はまあまあ良いかもしれない。


 ……が、時間をかけ過ぎている。




「ギギーッ!!」


 ほら増援が来た。


 まだ気づいてないみたいだけど、私たちがやっつけてもいいのかな?

 獲物横取りとか思われると困るなぁ。

 増援分だけ魔法の的にしよ。


 後輩がブランク直伝雷の魔法、私は和尚が練習中の空間属性を使うことにした。


「ゴブリン拳!」


 ゴブパンだ!

 見えないパンチだが、イメージは空気砲より弱い。

 開拓編初期位置のマンホール内で手に入る銃ぐらいの威力ではなかろうか。


 案の定魔物は体勢を崩しただけで、大したダメージを負った様子もない。


 ガサガサッ


「なに!?」

「新手よ!」


 バランスを魔物が枝葉に触れたことで御三方も気づいたようだ。


 とりあえず様子見のゴブパンおかわりだ。


「そんな魔法しか使えないなら下がってなさい! 危険です!」


 怒られた。

 そんな言い方しなくてもいいじゃないか。


 私はやりきれない気持ちを持て余し、足元に落ちていた石を拾い、魔物へと思い切り投げつけた。


 ボゴォ


 魔物の翼に穴が空いた。


「うわ! なに!?」


 三人が驚いている間に後輩を連れ退散だ。


 ゴブリン拳より投石の方が強い悲しき事実が、私の胸を締め付ける。

 どうせ魔法は得意じゃないもん。学院で学べばいいんだ。




「あ〜あ、挨拶ぐらいしても良かったじゃないすか」

「いいじゃない。もう魔物の気配は無かったし、あの程度で手出ししなくても良かったのよ」


 魔法の弱さを指摘され居づらくなったなんて言えません。

 はっ! これってもしかして


 ――妹は魔法お得意だけどぉ、姉の方はてんでダメですわね――


 優秀な妹、落ちこぼれの姉、と言う許されざる評価が付いてしまうのでは……!



 姉より優れた妹なんざいねえ!



 ……といいな。


 くっ、ストレス解消も兼ねて魔物倒しに行ったのに、変なストレスが降りかかってきた。

 あ〜、あ〜、忘れよ。

 冒険者ギルドで換金だ。








 昼食を屋台で済まし冒険者ギルドに向かった。


「あ」

「あ。あなたたちは!」


 入口前でばったり鉢合わせたのは、先程の三人組。

 白、鷹、狼娘たちだ。


 くるり。

 私は立ち去ろうと思って振り返った。


「お待ちなさい! なぜ逃げるのですか!?」



 出会い頭に人の魔法を弱いとかディスって来る人とは、話したくないのでござる。


 気になる三人衆ではあるんだよな。

 こう言う時は大抵格ゲー絡みなのだが。


「いいじゃないっすか姉様、換金だけなんだし」


 ふん、魔法優等生の立場からすれば、見下された私の心の傷は分からないんだ。



「先程は失礼しました」


 およ? 白い子が頭を下げている。

 両脇の二人も遅れてペコリってしてるぞ。


「助太刀していただいたのですよね? どうもありがとうございました」


 おお?


「戦闘で気が立っていて、つい失礼な言葉を遣ってしまいました」


 なんだ、いい子たちではないか。

 よし、許そう。


「いえ、私たちも中途半端に介入してしまい、かえってご迷惑をお掛けしたのでは、と心配してたの。そう言ってもらえて安心したわ」

「外行きの姉様っす……」


 何を言ってるやら。

 外行きも家用もないのだ。


「あなた方もギルドに御用が?」

「はいっす! 魔物ドロップの換金に来たっすよ」


 白い子が小首を傾げる。


 何か変かね?


「そうなんですか。では私たちと一緒ですね。要領はご存知ですか?」


 数か月に一度だったけど、何年も前からやってますから。

 年数だけで言えば中堅冒険者じゃないですかね。


「私たちは慣れていますから、ついて来てくださっても結構ですよ」


 親切、なのかな?

 少し引っかかる言い方だけど、悪気は無さそうなのでついていくことにした。


「私たち、趣味と実益を兼ねて魔物狩りをしているんです。エディケイン学院の学生なんですよ。私が二年で、この子たちが新入学生」


 ミコルルさんは同級生だった。

 マムマムさんとウルウルさんは後輩。


「マジっすか! ボクも新入学生なんすよ。やったー! 友達ゲットすー!」


「私はミサ。二年生から入学するの。ミコルルさん、よろしく」


 ミコルルさんたちは三人揃って目を丸くしている。


「途中から入学ですか。そんなことあるんですね。……失礼しました。こちらこそよろしくお願いします」


 やっぱり礼儀正しい子みたいだ。




 まあ、換金といこうじゃありませんか。


 ミコルルさんたちは五個の魔石を出した。

 さっきの分とは別に一体を倒したのか。

 始めたばかりで引き上げて来たのかもしれない。


 私たちはジャラジャラとリュックから魔石とドロップ品を出した。


「えっ? こんなにたくさんのドロップ品が、なぜ?」


 なぜもなにも、倒したからに決まってるじゃないですか。


「一体何か月狩りを……」


 そこまでじゃない。

 十日ちょっとだろう。


「おかしい……あんな弱い魔法でこの数……」


 おい、聞こえてるぞ。


「学生の悪事ならば私が裁かねばなりません。外に出ていただきましょうか」



 ――ちょっと、殴っていいですか、この人。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ