表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第二章 学園格闘者発掘編
33/138

第二話 訪問は玄関から

 エディケイン学院はもう分かりやすいぐらいに目立つ場所にあった。


 学院都市に隣接する小山に建っているのだ。

 勉強もスポーツも苦手な、未来のロボットに助けてもらってばかりのいじめられっ子が裏山と呼ぶ、あんな感じの小山。


 その山の中腹の、平らになった所に校舎を建てたような外観である。



「大きいっすね〜。あそこで魔法少女アイドルとして勝ち抜かなきゃいけないんすね。夢と希望、策謀と裏切り、そして恋愛」


 オーディション番組の舞台なの?

 それは違うと思うな。


「バカね、やっぱあれでしょ。学院名物の殺し合いがあったり、下着がフンドシ指定だったり、学年の身分格差が凄いのが常識でしょう」


 閻魔の三号生、鬼の二号生、そして奴隷の一号生。

 奴隷ね……くくく。


「そんなトンデモ塾いやっす! 大体この学院は優秀な、基本いいトコの子が来られるんすから、そんなヘンテコな場所なわけないっすよ!」


 くくく、楽しみだなぁ後輩よ。


「ちょっと……マジやめてくださいっすよ?」

「冗談よ。浮ついてないで気を引き締めなさいってことよ。私たちが寺院のレベルだと思われるんだからね」

「任せてほしいっす! 私も伊達に町のファッションチェックしてたわけじゃないすから! ちょっとぐらい都会でもすぐ適応してみせるっす!」


 ……変な単語が聞こえた気がする。


 私は後輩との何処か噛み合わない会話に首を傾げながら、後輩の言うまま学院都市にショッピングに出かけた。


 あれ? そんな予定だったっけ?








「う〜ん、これがこの辺りのファッションっすか……」


 後輩が唸っている。

 そんな拘らなくても、僧衣じゃなきゃいいじゃん。


 大体凡人種以外から見れば、余程のツウじゃないと私たち凡人種の外見なんて、美しくも醜くも見えないらしいじゃん。

 種族補正が入って、自分の種族が一番良く見えるんだよ。

 言い方悪いけど、他種族の美醜に口出すなんて、私たち素人が金魚の品評会をするようなもんだよ。




 悩んだ結果、後輩がここで買った服はいっぱい。

 赤を基調としたチャイナドレス風の武道着、白いハーフコート、白のブラウスにベージュと白のチェックのスカート、黒い革のジャケットetc.


 私は三着だけ。

 青の武道着と、藍と白のジャージっぽいやつ、それとゴシックなエプロンドレスである。


「メイド服……! その手があったっすか!」


 何悔しそうに言ってんの。

 着慣れてるやつを選んだだけでしょうが。

 大体羨ましいなら同じやつ買えばいいじゃない。


 え? 誰かのコピーは嫌だ?


 そうですか。



 まだ何か買い漁ろうとする後輩に、無駄遣いするなと注意して、私たちはその足で学院に向かうことにした。



 ちなみに後輩は白のブラウスにチェックのスカートという、どこぞの女子高校生のような服装だ。

 私は最後に試着したエプロンスカートそのままで。


 まだ入学日には早いけど、頼めば校内見学ぐらいはさせてくれるんじゃないだろうか。

 入学予定者なんだし。








「いやぁ、懐かしいっすねえ。ボクの通ってた中学校もこんな感じの山の上にあったんすよ」

「へ〜。まあ、学校って避難場所に指定されてたりもするしね。水害とかには強そうな立地よね」



 踏み均された曲がり道を行き、石段を上がるとやはり広大な敷地がそこには広がっていた。


 野球部とサッカー部で取り合うこともないであろう十分な広さのグラウンド。

 宿舎なのか校舎なのかよく分からない三階建ての建物が六棟、五階建てのものが二棟。

 それとは別に、体育館っぽい大きな建物が一棟、奥の方にも何かありそうだ。

 下り坂の下にあるみたいでここからでは見えないけど。

 あ、角の方のフェンス外にもう二棟建物が。

 あれは教職員宿舎かな?



「ほえ〜、やっぱ国外からも生徒を受け入れてるだけあって、大きくて手入れもされてるっすねえ」

「掃除の時間とかあるのかしら?」

「いやいや、こういうお貴族様も入る所はハウスキーパーがいるんすよ。そのための高い学費じゃないっすか?」

「そうかもね。でもそれはもったいないわ」

「ボクたちは本職っすからね。でもこっちのハウスキーパーのことは知らないっすから。凄い手練れがいるかもしれないっすよ」


 むむむ、美濃先輩や田蔵先輩レベルがいるならば……

 強敵と言わざるを得ないな。


「姉様〜、ボクたちは勉強しに来たんすからね。変な対抗心出さないでくださいよ〜」


 後輩め。

 ボクっ子をやたらと使って来おる。

 己に定着させようという魂胆か。


 それに自分こそアイドル活動うんぬん言ってないで、勉学に励みなさいよ。


「さ、行くわよ」


 続きは許可をもらって見学と行こうじゃないの。




 バチッ


「痛っ!」


 思わず仰け反る程の痛みが足先に走った。


 後輩も五メートルぐらい飛び退いている。


「な、なんなんすかもう! びっくりしたじゃないすか!」


 本当だよ。

 ちょっとムッときてしまった。


「何かしらねコレ?」

「う〜ん、魔法で結界を張ってるんじゃないすか? ここを突破できなければ入学の資格無しとかで」


 なるほど、あり得る。

 だが何の注意書きも無くこの仕打ちは無いんじゃないかね?


「通るか」

「そっすね」


 ちょっと驚いたが、ダメージ床みたいなものだろう。

 無効化魔法が無くとも豊富なHPさえあれば押し通れるアレだ。


 それに……


 フン!


 気を纏った腕で薙ぎ払うと、その部分の結界が消え去った。


 こちらの気も消え失せ、少しピリッとした痛みを腕に感じてしまったが。

 必殺技並か。

 削りが発生するとは。


 それに消え去った結界の端から徐々にまた結界が広がって来ている。


 ふむ。

 とりあえず足元から結界を消して押し通るとするか。

 消せなかった部分や修復してきた分は我慢しよう。




「ふむむ、結構分厚い結界っすね」


 二メートルぐらい進んだがまだダメージを受ける。

 もし五メートルぐらい進んでも続くようなら、一旦引き返そう。


「あ、無くなったっす」


 と思ったらダメージも抵抗も無くなった。

 無事結界をくぐり抜けたようだ。



 ビーッ! ビーッ!



 ホッと一息ついたら突然けたたましい音が鳴り響いた。


「け、警報!?」


 慌て出す後輩。


 私も心中穏やかではない。

 警報が鳴ると途端に、悪いことをしたのではないかという思いに襲われる。


 そう言えば和尚やトンダから聞いたことがある。

 お金持ちのお家や大商店の倉庫は、防犯用の魔道具で侵入者対策をしてるって。

 もしかしてこっちの世界の防犯は、まずダメージ結界があってプラス、警備員が飛んで来ると言ったものであったとか……


 冷や汗が出ている。

 誰だ、結界を突破することが試練みたいに言ったのは。


 それにしてもダメージ結界と警報の二段構えとは、全く良く出来た警備システムではないか。


 いやそんなことより、今は冷静に考えよう。

 私たちはここに正式に入学する予定の生徒だ。

 そして今日は見学の許可をもらいに来ただけだ。

 よし、危うく逃走を開始するところだったが、この上はしっかり説明して誤解を解くとしよう。


「は、早く逃げないと!」


 待て。

 まだ慌てている後輩の襟首をがっしり掴んで、駆けて来る警備員だか教職員だかを待つ。




「何をしてるんですか、あなたたち!! ……え? メイドと、少女?」


 駆けつけた種族不明の若い女性は一喝を私たちに浴びせ、そして目を丸くした。


「あれ? もしかして学生? え、と、でもそしたら結界に引っかかるわけが……」


 私たちを見て校舎を見て、キョロキョロと女性は視線を彷徨わせている。


「姉様、今がチャンスじゃないっすか?」


 ふむ。

 私は一歩前に出て挨拶した。


「はじめまして。来月から貴校に在学を許された、カプルコン寺院の者です」

「こちらは姉のミサ、ボクは妹のキャミィっす! よろしくお願いします!」


「え、あなたたちがあの、寺院の推薦を受けた二人? って、じゃあまだ在校許可を得ていない……?」


 女性はまじまじとこちらを見つめる。


「わーっ!」


 わっ、びっくりした。

 いきなり大声出さないでください。


「や、やっぱり結界を突破して来たの!? か、体から煙が……」


 あ、ホントだ。

 変な演出。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ