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メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第一章 路上格闘者編
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第二十三話 仕置きタイム(後編)

 さあ和尚、容赦無しでお願いします!








 て、期待したのに敵が弱過ぎなんですけど〜。

 対戦格ゲーモードに移行する前に片付いてしまう……


 何なの? 背負い投げに巻き込まれてK.Oされてしまうって。

 マッチョなヒゲダンディが市長を務める、マッドなシティのザコなの?

 体力バーが爪の幅ぐらいしかないの?


 ああ、和尚の必殺技も拝めないまま面クリするのか。

 不甲斐ないぞ貴様ら!




「いつまでよそ見してやがんだ! 舐めてんじゃねえクソガキ!」


 うるさいなぁ。


 クールぶってたこのチンピラリーダーも、ザコの域を超えなかった。

 多少動きはいいけど、ナイフ持った長身のザコって感じだわ。

 張り切って飛び出したけど、こいつ程度じゃコンボ完成する前にK.Oできてしまうんじゃないか。




 スライメン先輩は……何だありゃ?

 とろけ気味で人の形が半分くらい崩れてしまっている。


 いやまあ、スライメン先輩からすれば警戒態勢かなんかなんだろうけど。

 何もしてない風に見えるし、あれじゃあダラけきって溶けちゃってる夏のニートだよ。




 後輩は……もう完全に遊んでるよ。


「ヒャッハー、踊れ踊れーっす!」


 門番を火で囲んで、奴の靴に火を付けてた。


「あちっ、あちちっ!」


 門番は無様にステップを踏んでいる。

 早く靴脱げばいいのに。


「踊れ踊れーっす」


 ちょ、そろそろやめときなよ。

 子どもたちが怖がる……

 あ、縄が解かれてる。


 スライメン先輩が溶かしてたのか。ごめんなさい、ダラけてるみたいなんて思って。


 それと良かった。

 あの子たちに後輩の処刑劇を見られなくて。


 そろそろヒャッハーやめなよ? 本当に。

 それじゃあ熱した鉄板に裸足の人を乗せていじめてる、世紀末のザコみたいじゃん。

 秘孔突かれるぞ。


 ピブー。

 シュリィィン。








 和尚がザコ多数を悶絶させ終えた。

 見どころなんて無かったよ!


 目の前のチンピラリーダーはもう周りが見えなくなって、興奮して私を追い回すだけの闘牛みたいになってるし。




 ちらり。

 ハーピーさんはどうしているのだろう。

 私は気になって彼女の方を見た。



 目をキラキラさせている。

 まるで恋する乙女みたいに。




 はあ!? 違うでしょ!


 そりゃ、危ないところを助けられたから感激するだろうけど、違う!

 あなたはそこで正義感に燃えてなくちゃいけないはずだよ!!



 私はカッときた。

 頭に血が上っている自覚がある。

 が、止められない。



「あ、姉様が!」

「む、いかん!」

「病気が出てるぞ!」

「ミサ!」


「え? みんなどうかしたのかね? ゴブシム?」

「先輩、説明は後で! ……ああ、遅かった」



 私は目を輝かせるハーピーさんの腕を掴んで立ち上がらせた。

 まだ彼女は浮かされているようだ。


 そしてその頬を平手で一発。


「とどめ、刺してよ」


 キョトンとする彼女にそれだけ言って、私はチンピラリーダーに向かい合う。


 間髪入れず姿勢を低くして隙だらけの懐に潜った。

 続けて片手を床に突いて、チンピラリーダーを蹴り上げた。



 さあ来い!

 ここからのとどめと言えばアレしかない。

 空中に連続で蹴り上げるスーパーコンボだ!


 必殺技飛び越して、窮地から秘められた能力を開花させるんだハーピーさん!



 果たしてハーピーさんは……

 おっ、顔がキリッとしてるぞ。

 覚悟が決まったか。

 これは期待できる。


 そして彼女は一歩踏み込み




「ホー、ワチャチャッ」


 蹴り三連、そして片脚を軸に上体を大きく後ろに傾け


「え? あれ?」


「チャッ!」


 強烈な足刀でチンピラリーダーを派手に蹴り飛ばした。




 ち、違うよ。

 それは違う。

 いや、いいんだよ? しっかりとどめを刺したし、いい技だったよ。



 でもそれ、ドラゴンさんじゃん!

 映画俳優になりたいカンフー使いだよ!



 ゲームが、キャラが違うんだよぉ……








 妹と弟たちに囲まれ、泣きながら抱き合うハーピーさんを見て、私はトンダに担がれ真っ白になっていた。


「良かったっすね……」


 うるさい!








 その後、スライメンさんと一緒に来ていた(今知ったわ)寺院の調査チームの活躍で、悪奉行一味の不正が明るみになり、粛正と更迭の嵐が吹き荒れた。


 代官は評判を落としたが、辛うじて役職は維持できたそうだ。

 ただし、監察機能を強化しその経過を一定期間報告せねばならない。

 また、寺院から睨まれたくない身内からの締め付けも強くなるので、針のむしろ状態は確定らしいが。


 当然チンピラリーダーとその手下への仕置きも、倉庫の一幕だけでは収まらない。

 まさか悪徳裁判官から警官まで捕まると考えてもいなかった彼らは、盗みや詐欺の証拠品を捨てもせず放置していたらしい。

 それにより言い逃れもできず、チンピラ一同は仲良く鉄球鉄鎖で繋がれ、強制労働へと連れて行かれたのだった。








「お姉ちゃん」


 今日はラーミアちゃんたち四人を連れ、囚人服を着たハーピーさんと面会だ。


 ハーピーさんはやはり無罪放免とはいかず、勾留され取り調べを受けたのだ。

 この世界の裁判の手続きが早いのか、それとも捜査がスムーズに進んだのか。

 ハーピーさんの判決も確定したところである。


「ごめんね。みんなを残して行くことになっちゃって。ごめんね」

「ううん、私たちこそごめんなさい。お姉ちゃんが一人で苦しんでることに気づかなくて」


 厚い壁に遮られた、小さな窓越しでの面会はお互い辛いだろう。

 刑罰を話すハーピーさんも、聞かされるラーミアちゃんたちも泣きそうだ。



 ハーピーさんと四人の妹たちは離ればなれになる。

 騙されて行った犯罪とは言え、被害の弁済もできないし、被害者側からすれば許せるものでもないだろうから仕方ない。



 残される四人はこの町に残ることを選んだ。

 孤児を世話する施設も無いこの町では、想像もつかないぐらいの苦労が彼女たちを待ち受けているだろう。

 それでも姉が刑期を終えた時に、同じ場所で待っていてあげたいと言うのだ。




「えっ? うちに来ればいいじゃないすか。家事全般仕込んであげるっすよ?」


 あ、こら! ええカッコしいで軽々しく言っちゃダメでしょ!

 うちは職業訓練所じゃないんだから!


「ねえ和尚、いいっすよね?」

「ううむ」


 ほら、和尚も困ってる。


「ねえねえ和尚〜お願いっす〜」


 そんな犬猫飼うんじゃないんだから、変なおねだりやめなさい。


「いいじゃないかゴブシム。この子たちなんて三つ四つの頃からいるのだろう? 君の修行とも思って引き受けてみては」


 え! そんなんでいいんですか!?


 スライメン先輩からの驚きの援護射撃が放たれた。


 威力は抜群だ。


「なるほど。まあ、それ以外にも意味はありますからな」

「そうでしょう」


 和尚とスライメン先輩が頷き合っている。


 修行以外の意味って、お祈り要因の確保ですか?

 半年じゃあちょっと厳しいと思いますよ。




 ともかく、ラーミアちゃんたちを半年程預かることになった。


「ありがとうございます。あの、一つ聞いてもいいですか?」


 ハーピーさんがこちらに深々と礼をして、尋ねる。


「何かな?」

「どうして、アタシたちに良くしてくれるんですか?」


「親切にしてもらったら、お返ししたいものではないかな」


 ハーピーさんはその答えに唇を噛んだ。


「あの、アタシあの時……」

「良いのだ。それは心に留め、その分期間中の反省に活かしてくれれば」



 ハーピーさんは目元をグシグシ擦って再び頭を下げた。


「妹たちを、よろしくお願いします」


 あ〜あ、ハーピーさんを寺メンバーに加えたかったんだけどなぁ。

 刑期っていつまでだろ?


「お主が気にする必要は無い」


 あるんですよ。








 四人の義兄弟、ラーミアちゃん改めラーニャ、猫人ミーニャ、犬人ワフリヌ、兎人ヒョイルの出発準備が終わった。


 この子たち登山できるのかな?

 まあいっか。

 無理そうなら荷物は私たちが持って、この子たちはトンダたちが背負ってけばいいもんね。


 スライメン先輩ともここでお別れだ。

 さらば名もなき町よ。




 門の前に立つスライメン先輩の隣には……

 あれ? ハーピーさんだ。

 護送ですか?


「やあ、今日でお別れだね」

「先輩、色々ありがとうございました。リーレイ殿、子どもたちのことは任されたぞ」


 ハーピーさんは何だか変な顔でモジモジしてる。

 ほらほら、お別れぐらい笑顔でね。


「じゃあ、またいずれ」



「せ、先輩、リーレイ殿を置いて行ってどうするのですか」

「ん? ああ、彼女は寺院で五年間の修行をする。それが彼女に下された刑罰だ。君に任せたから」


「え? は?」


「あは、あはは……えと、あの。よろしくお願いしますっ!!」








 えーーーーーっ!!!???

他の方の作品でよく “祝 PV◯◯達成!” という前書き後書きを拝見していたのですが、どうやって調べてるんだろうかと思ってました。

が、その方法をようやく知りました!

少しずつアクセスが増えている気がしますが!?

これは嬉しいです!

拙作ですが、一人でも多くの方の目に留まるといいな……

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