表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第一章 路上格闘者編
22/138

第二十二話 仕置きタイム(前編)

 屋根を一部ひっぺ返して屋根裏へと潜入だ。

 トンダとブランクは重過ぎるから外で見張り役。




 柱の陰に隠れるように梁を伝って、人の集まっている所の真上付近まで来た。


 チンピラリーダーっぽい奴発見。

 ホントに玉座みたいに積んだ箱に座ってるよ。

 あ、そんで後ろ手に縛られているのはハーピーさんの妹分たち四人ではないか。




「じょ、冗談だよね? この子らを売り払うって……ねえ、そんな冗談面白くないなー、あはは……なんて」


「冗談じゃねえ。笑えねえ。前から思ってたけど、お前の作り笑いムカつくわ。腰振って媚びるだけでいいってことに、いいかげん気づけよ」

「それな!」

「ギャハハハ!」


「……!」



 嘲笑と併せて舐めるような目で見られ、ハーピーさんは硬直する。

 お、あそこで笑ってる奴門番じゃん。

 やっぱクズだったか。



「なんで!? 今まで渡すもの渡して来たじゃん! これ以上余分なお金なんて無いって言ってんじゃん!」

「だからだろ?」

「え?」



 ハーピーさんが泣きそうにキレても眉一つ動かさないチンピラリーダー。



「金()えなら、お前ら売るしかなくね?」

「て言うかコイツまだ俺らに守ってもらってたって思ってんじゃね!?」

「マジか! 体だけって思ってたけどマジバカなのな!」


「ど、どういうこと……?」



 聞くに堪えない。

 でもスライメン先輩の液状手は私をぐっと押し留める。

 まだ我慢しろと言うのか。



「実はぁ」

「おい、余計な……」



 チンピラリーダーが手下の語りを止めようとするが、気持ち良さそうな手下の口は止まらない。


 私でも分かる。

 このゲスはハーピーさんが傷つくのが快感なのだ。



「お前らの家を〜、地上げ屋から守ってやるってのぉ、あれ、俺らの自作自演でしたぁ!」


「え? 嘘、あの時追い払ってくれたやつって」


「み〜んな、俺らの仲間でえーっす!」


「そ、そんな」


「あぁあ、超気持ちイ!」

「てか俺らってイイことしたよなぁ」

「そうそう、どうせ払うショバ代なんだからよぉ、気持ち良く払えただろ?」

「それな!」

「ギャハハハ!」



 ああ、用心棒だと思ってた奴が、家を取り上げようとしてた奴とグルだったってことね。

 そんな自分を騙してた奴に、盗みをしてまで用心棒代を渡してたんだね。


 ……バカだな、ハーピーさん……

 がっくりと地面に膝を突く姿、見てられないよ。



「ひっ……お姉ちゃん、ごめんなさい。ひっ……私たちがお金稼げないから、お姉ちゃんばっかり苦労して。ひっ……私を売ってもいいですから、お姉ちゃんは離してあげてください……お願いします。お願いします」



 ラーミアちゃんが涙と鼻水にまみれ、しゃくり上げながらチンピラに懇願する。



「オーケー」


「え、ホントに?」

「なら私も!」

「僕も!」


 チンピラリーダーが鷹揚に答えると、他の妹、弟たちも自分を売ってくれと名乗りを上げた。


「やめて……ごめ……こんなお姉……」



 ハーピーさんは顔を覆って泣いている。


 ニヤニヤするチンピラの顔からは嫌な予感しか抱けない。



「オーケー。お前らは売る。このバカ女も手放す。いや、手を離す、だな」

「?」


「この女()売るからな」


「な、なんで!? 話が違う!」

「いいや、違わねえ。俺たちは手を離す。他の誰かが飼い主になるんだ」



 ラーミアちゃんが吠え睨むのさえチンピラたちの娯楽になるのか、ますます笑いを深めている。



「この嬢ちゃんの方が賢そうじゃね?」

「それな!」

「教えてやろうぜ」


「おい」


「俺らぁよ、この町からトンズラこかなきゃなんねえんだわ。寺院の手入れだか仕置きだかが始まりそうだからよ」

「ひえ〜、おっかねえ」

「その前に金に変えられるやつはきっちり金にしとかねえと」


「話し過ぎだお前ら」

「わ、わりい。面白くてよ。けどもう終わりだろ? 許してくれよ」



「クズ……!」

「アタシだけで、やめて……この子たちは、助けて」


「ダメだね」




「助けて……誰か、助けてよぉ」

「ざんね――」




「ほぉぅっ!」


「ぐほぁっ!?」




 想像以上に高い声出ちゃった。

 ちょっと恥ずかしい。


 それにしてもチンピラ弱っ!

 ただの飛び蹴りが改造人間の必殺キックみたいになってしまった。


「な、なんだテメェ!?」

「おい! こっちにもガキが!? どっから湧いて来やがった!」


 不意打ち&高さ補正ありとは言え、飛び蹴り一発で撃沈。

 戦闘力五のゴミか。




「君たちは……」

「お礼に来たよ、リーレイさん」



「お前は潰すっす」

「んだこのガキゃぁ」


 後輩め、初めから門番に狙い定めてたのか。


「もう十分聞かせてもらったよ。仕置きに入らせてもらおうか」

「こ奴らは一掃せねばなりませんな」


「まさか……寺院関係者か! まずい! 散れ!」


 扉に向かってチンピラどもが走り始める。




 ドゴアアアッ グシャッ


「ぶげっ!?」


 自動車が突っ込んだような物凄い衝突音が響き、扉に一番乗りしたチンピラが吹っ飛んで戻って来た。


「貴様ら、逃げられると思うなよ」

「ミサ、キャミィ。俺もこんな悲しい気持ちはもう我慢できない」


 トンダとブランクが扉を守護する金剛力士像のようだ。

 ただし扉から外に出さない役割です。


「で、でけぇ」

「びびるな! 人数はデカブツ入れてもガキ二人にチビガリのオヤジ、フニャフニャ野郎の六人だけだ! ここでやっちまうぞ!!」


 チンピラどもが覚悟を決めた。


 私はチンピラリーダーの前に進み出た。


「ミサはそいつか。分かった、キャミィも決めたな。では残りは拙僧たちに任せよ。邪魔は入らせん」


 飛び掛かるチンピラを裏拳一発でノックアウト。

 和尚が露払いを買って出てくれた。


「そんなチビガリに何やられてんだ! 囲んでボコれ!」

「オークにはオークを、オーガにはオーガをぶつけろ!」



 分かってないなあ。

 和尚のことをチビガリなんて。


 ま、せっかくの機会だからザコリーダーの相手をしながら、みんなの本気バトルを見学させてもらおかな。








 オークがトンダに突進する。

 やっぱり土属性が得意みたいで、ゴツいプロテクターみたいな物を魔法で肩に展開している。


 ピザ野郎のショルダータックルだー!


「よっしゃ直撃コーース!」


 ピザオークの仲間が勝利を確信。



 だけどね――



 トンダは力を溜めるように体を沈め、僅かに頭を後ろに傾け、前に踏み込んだ。


「いけトンダーっ!!」


 ピザオークの土魔法プロテクターにトンダの頭突きが正面から飛んで行く。

 文字通り地面に水平に飛んでいる。

 超頭突きだ!


 メキョ、グシャ


 人体から聞こえたとは思いたくない音を立て、ピザオークはぶっ飛ばされた。


「は、はあ!?」

「おい、こっちはダメだ!」


 タンコブすらできていないトンダが合掌している間に、チンピラたちは青い顔をして下がって行った。


 ユー・ウィン!


 まず一勝!








 一方ブランクの相手は腕自慢のオーガって感じの赤鬼。

 次から次へとパンチやキックを繰り出している。


 ブランクは戸惑った様子でそれを避けているだけだ。


「押してるぞ!」

「ぶっ殺せ!」



 そっか。

 ブランクまだ、いじめられていた頃のこと、吹っ切れてなかったんだね。

 優しい心の主だし、しょうがないなあ。



「本気出せブランク!」

「ブラっち! 手ぇ抜いたら和尚の折檻すからね!」


「ミサ、キャミィ……」


 頑張れ、とか負けるな、とかブランクには必要ない。


「ウガーッ! 舐めてんじゃねえーーっ!!!」


 私たちにバカにされたと思ったのか、赤鬼は息を大きく吸い込んだ。

 おっと、あれは炎の魔法だな。


 でも、防御の必要も無いね。



「やめろぉっ!!」


 弾丸のような丸まったブランクの回転体当たりが炸裂!

 炎が放たれる前に、赤鬼の腹部を抉り、回転しながら顎を跳ね上げた。


 プスプスと煙を発する倒れた赤鬼ボディ。


 えぐっ。

 デコルマン損傷できてんじゃん。


 その惨劇にサーっと青褪めるザコABC。

 こちらもダッシュで下がって行った。



 頑張れとか、そんな言葉は必要無いのだ。

 そう、ブランクは今でもすごく頑張っているのだから。




 うん。二人とも最高の必殺技を見せてくれた。

 さて、次は和尚だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ