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「東‼︎ まだ終わってないのか。早くしろ! 」
「はいっっ。」
マッハの速さで書類をまとめて、上司の元へもっていく。
「どうぞ、終わりました。遅れてすみません。」
「ん、次はこれだ。」
そう言って渡されたのは、山のような書類の束。
「はい、、、」
なんかみているだけでクラクラしてきた。ちょっと休憩しよ、。
「はあ。」
自分の会社での扱いを考えると、自然にため息が出てくる。
残業は毎日で家に帰ってくるのは日付が変わったころ。朝も6時に会社に着き仕事をする。
これは完全に労働基準法違反だと思う。
「クーデターでも起こしてやろうかしら。」
そう呟きながら、会社の近くにあるコンビニに入った。最近ストレスがたまりすぎて食べるのは甘いお菓子ばかり。太ったかな。
世界の役に立つことを夢見て、この会社に入ったが5年も勤めてそんな仕事はさせてもらったことがない。
そう簡単にはいかないものね・・・。
そんなことを思いながらコンビニを出て、会社に戻ろうとした、
その時。
私の目の前にブッブーと大きなクラクションを鳴らしたトラックが突っ込んできた。
ぶくぶく。
苦しい 息ができない
水の中にいるみたい
なにこれ 出して だれか・・・
「・・ラ。 ルーラ。」
・・・え? だれ、、
わたしはルーラじゃない。日本人で会社員で仕事をしてて、、、
車に轢かれたんだ。
でも私は今生きてる。助かったの?
「ルーラ。よかった意識が戻ったみたいね。ヴァイスが慌ててあなたを運んできてびっくりしたのよ。」
・・ヴァイス? 運ぶ?なんのこと?
さっきからなにを話しているのだろう。
恐る恐る目を開けた先には、ピンクの髪に黄色の目の、綺麗なおねいさんがいた。
「え・・。ピンク・・」
わたしが驚いて目を見開いていると
「ん?どうかしたかしら。」
と、ピンク髪のお姉さんは、首を傾げた。
・・可愛い。でも、小中高全て女子校という、いわゆるお嬢様に囲まれて暮らしていたわたしには
ピンクの髪はちょっとうけつけがたい。
「いや。あの、、髪の毛ピンクなんですね。」
「あら、ルーラ。今さらなに言ってるの。それにあなただって髪は綺麗な青色じゃない。」
いや、ちょっと待って。
・・もしかしてだけどルーラってわたしのこと?
いや、もしかしてじゃないよね。だって今わたしは、わたしのことをルーラだと言っている人と普通に話していた、、、
急いで飛び起きて、周りの様子を確認する。
白いカーテンに大きな窓。その先には広そうなバルコニーがひろがっている。そして丁寧に彫り細工の施されているドア。
間違いない。ここはわたしの知らない場所だ。
でも、本当に?わたしはルーラなのか?
試しに
「ルーラ、お腹空いちゃったなあ。」
と言ってみる。
「あら大変。ちょっと、だれか食事を用意してくれる?」
・・・・・・。
「ルーラ、喉もかわいっちゃった。」
「温かい飲み物もお願いね。」
・・・・・・。どうやらわたしは本当にルーラらしい。
・・でもピンクの髪って。ついでにわたしも青髪らしい。
「まるで異世界だなあ。」
と、何気なく呟く。
ってちょっと待って。よく見れば廊下にずらりと並んでいるメイドさん(?)も髪の色が
紫、黄色、銀、緑、、、。
・・本当に異世界。そして私はルーラ。
「もしかして私、異世界転生しちゃったの!?」