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森のクマさんはいつの時代も親切

頭の奥の方がズキズキと痛む。

でもユラユラ揺れてる感覚と僅かな振動が心地良くてこのまま目を閉じていたい気もする。


わずかに身動ぎし薄らと目を開けると視界いっぱいの黒。黒?


「起こしてしまったか...?」


ちょっと痺れる低めの声に驚き目線を上にすると、真っ黒な毛むくじゃらな何かが居た。


ヒッと声にならない悲鳴を上げそうになるが、

優しい瞳と申し訳無さそうに下がる眉に不思議と恐怖心が薄れ、ぽけーっと顔を見つめてしまった。


クマさん?!...いえ、人間だわ。

癖のある黒い短髪は硬そうだが艶があり、濃い茶色の瞳は優しそうでクリクリしている。

無精髭、と言って良いレベルか分からない程にモジャモジャの髭で顔半分が覆われており、口元は僅かにしか見えない。


「あっ!リア姉、目が覚めて良かったぁぁぁー!!助かったと思ったら急に倒れるからビックリしたよぉぉぉ」


鼻水と涙で顔面が凄いことになっているマリーによると、私はどうやら川面を見つめたと思ったら倒れたらしい。(多分白目で)

マリーの尋常でない泣き声に偶々近くを通りかかったクマさん改め冒険者のアルさんが気付き、まさに今孤児院へお姫様抱っこで運んでくれている所だったようだ。マリーは背中に担いだ大剣の留め具に上手いこと足を掛けて紐で固定されており、即席おんぶ紐状態で背負われている。

ちなみに泣きじゃくっていたマリーは、ヌッと現れたアルさんに驚いて更にギャン泣きしたそうだ。


「す、すみません!お手を煩わせてしまって!大変ご迷惑をおかけしました...」

「遠慮しないで良い。」

「あの、ここからは自分で歩きます。」

「溺れてびしょ濡れの者達を道にほっぽり出せる程俺は薄情じゃない。街に戻るついでだから気にしなくて良い。」


私の身長くらいある大剣とマリーを背負った上に成人女性をお姫様抱っこなんて、信じられないくらい重いだろうにアルさんは涼しい顔をしてズンズン進んで行く。

リアル親切な森のクマさんだな。あ、私もう成人女性じゃないのか。なんかキラキラしい顔の少女だったような。。


実際ヘトヘトなのといまだ混乱する頭を少しでも整理したいこともあって、有り難くアルさんに運んで頂くことにした。

いやぁ、森のクマさんってやっぱり親切なんだね。。。

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