表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と僕の物語  作者: かずねこ
8/34

君とのおしゃべりが楽しいけれど、いつまで続くのかな。


君はクラスの人気者で、僕はぼっち。

なんで、僕なんかと付き合ってくれるのか分からない。




そのせいで、クラスのリア充にいじめを受けたこともある。

フルシカトしてたら、校舎の裏に呼び出しって、いつの時代だよ。




僕は、ぼっちだ。そんな僕が、君といていいのだろうか?

気さくに話しかけてくれるのは嬉しい。

友達だった頃のことを、思い出して見る。




「優しくてかわいいと、好きになってしまうから。構わないでくれないか」

ある日、そんなことを君に伝えたら、悲しげに微笑んで、一冊の本を渡された。

「これ、読んでみてね」

渡されたのは、古い恋愛小説で、栞の挟んでるページを捲ってみると、女性が、男性に告白するシーンだ。

それが、どうしたのか、よくわからなかったので、関わらないでくれと言った手前、次の日聞いてみた。



「……それは、私の告白だよ。友達じゃないけど、側にいてあげるって意味だよー、恥ずかしいなー」

ひとしきり恥ずかしがった後君は、頬を赤くして僕を見る。



「……で、あなたはどうなの?」

「僕も、好きだよ」

考えるまでもない。憧れていたんだから。

こうして、付き合うことになったんだ。




「…別れよっか?」

「いやー、別れてやんない」

自信のない僕とは裏腹に、君の笑顔は、自信満々で僕の言葉に、傷つかない…訳は無いだろうけど。

「自信の無いからの別れはしない。あなたが私を好きでいる限り」

君と別れられない。



君との出会いは、桜も散って、若葉がきらめく頃だった。

高校に行く途中。前を歩く君が、なんか歩き方変だなと、女子と話すのが苦手だけど、声をかけた。


「靴擦れ起こしたみたいー」

君はそう言って苦笑しながら、ひょこひょこ歩くので、無言で肩を貸した。

「え?え?いいよ!」

「…いいから」

引かれたらそれならそれでいい。

でも君は、そっと身体をあずけて、ありがとうと言う。



君を助けたのも、校内で見かける君に恋をしていたから。

二年に上がり、君と同じクラスになって、僕がぼっちとしって、君は驚いたよね。


あの時の行動力が、印象深かったこらかな?

「これからよろしくね」

「こちらこそ」

あの時の笑顔を見て、可愛いなと思い、君は僕に、よく話しかけるようになった。



「どうして、いつも一人でいるの?」

ある日の帰り道、たまには一緒に帰ろうと言われ、ドキッとした。

誰とでも仲が良いから君にとっては普通なんだろう。



「……昔から、すぐに下に見られることがあって、めんどくさいんだ」

あの頃は独りになりたくなくて、そう言う奴等と、無理して関わっていた。下に見たり、いじったりしない奴と関われば良かったんだろうけど。そう言うちゃんとしてる人たちには、コンプレックスを感じて関わらなかったのかもしれない。



「ふーん。遠回りしたんだね」

「遠回り?」

「そ。遠回り。遠回りして私と出会ったんだね」

「言ってて、恥ずかしいよね?」


「うるさーい!ともかく私とは友だちなんだからね!よろしくー」

そう言って、にこにこする君と果たして、友達でいられるだろうか?案の定だったけど。




君のお陰で、ぼっちには変わらないし、同性に対しては、めんどくさいとは思うけど、君といて、楽しい時間を過ごせてる訳だし。



「ねえ、栞」

「なあに?」

「僕も、別れてやんない」

「えー?男が言うと、なんかこわーい!」

そう言ってクスクス笑う君の隣に、もっといれたらいいなと思う。

本に挟む栞のように……なんちゃって。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ