スライムくんの決意
「もう、嫌だ!」
僕は、ぷよぷよ跳ねながら逃げ出した。
「待って!」
アミンは、慌てて呼び止めるも僕は、逃げ出したかったのだ。
こんな損な役から。なんでだ。みんなもう少し、強い魔物になりたいとか思わないのか?
僕は、スライム。勇者や冒険者に最初に負ける役だ。
負けると村に自動転移されて、また初心者の草原に行かないといけない。
そういう世界のルールなのだ。
しばらく森の泉で、他の弱い魔物と駄弁っていたら、気分も爽快。
村に向けて、ぷるぷるしていたら、おや?あれは?
村のスライムが呼びに来た。
「スイラ、大変だ!アミンが!」
アミンが、勇者にクリティカルを食らったそうだ。
クリティカルを受けると、やられても復活しないのだ。
アミンは、僕が村から飛び出した後も、僕を探してくれていたらしい。
「おのれ、勇者!」
「お、おい、スイラ!」
村のスライムが止めるも僕は、ぷるぷるしながら草原を駆ける。
しかし、いくら探せどいなかった。
その勇者は、レベル38らしいと、近くで見かけた魔物が教えてくれた。
イベントで、始まりの村に帰って来た。
そして、気まぐれでアミンは殺されたのだ。
僕は、決心した。他の魔物になれないというならば、レベル99の限界突破の最強のスライムになってやると。
「……アミン。好きだったよ」
アミンの墓に、アミンの好きだった花を供えた後、旅に出た。
風が吹いて、僕を祝福してくれる。
スライムだって強くなれることを、証明してやる。