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トマト
私の友達はおかしい。私と出掛けるときは頭の上にトマトを乗っけてるのだ。
しかも絶妙なバランスで落ちそうで落ちない。
それがおちょくってるように見えてムカついた。
「ちょっと、なんで私と会う時にトマト乗っけてるの?」
「このトマト赤いだろ?」
「は?」
「君といる僕の気持ち」
好きって言いなよ。なに似合わない台詞を言ってんのかしら?
「いつも、はぐらかして言いたいことは、ちゃんと言葉にしなさいよ!」
あなたは、おろおろとしながら、落ちそうになるトマトを押さえると気持ちを伝えてくれた。
「好きだよ。ずっと前から……」
「うん。よろしい」
あなたから伝えてくれたので、手を繋ぐのは私からにしてあげた。
今年の夏は、楽しくなりそうだね。
いや、だからもうトマトは頭に載せなくて良い。




