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君と僕の物語  作者: かずねこ
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言葉の魔法

いつもの独りぼっちの朝。

クラスで孤立してる僕は、学校に行くのも憂鬱で、とぼとぼ歩いていたら、背中をバシンと叩かれた。


「おはよう!」

元気な君の声に、顔を上げる。初夏の陽射しが眩しくて、あはようと言う君の声に救われた。


「うつ向くなよー」

こちらを振り返り微笑む。君にとって、友達の友達なんだろうけどね。

「うん、おはよう」


にこにこしてる君の笑顔が素敵だよなんて、恥ずかしくて言わなかったけど、ありがとう。

木漏れ日の囁きに耳を傾ける。恋が僕を救う。叶わない恋なので、伝えないけどね。

だってこの気持ちが、今の僕の支えだから。

駆け抜ける君の背中を見ながら、力強く足を踏み出した。



しかし、そんな昼休み。クラスのリア充が話し掛けてきた。


「お前さー、なんでいつも学校来てんの?」

「そうだ。ぼっちで楽しいのか?」

「……そう言われても」

またか。嘉納と取り巻きのつり目はいつも一人でいる僕にうざ絡みしてくる。容姿端麗、成績優秀。スポーツ万能でモテる。しかし、性格だけは残念。まるでラノベの悪役みたいだ。


クラスもスクールカーストと言う中では口出せない。まあ、期待してもいないが。



「…そう言われてもなんだよ?言ってみろよ」

嘉納が小馬鹿にしたようににやにやしている。

いつもならそっと嵐をやり過ごすのだが、今日は違った。


「そう言われても……ラノベのリア充って性格悪いよね」

「は?なに言ってんの?」

「俺たちがそんなオタクの読む本読むかよ」

つり目が小馬鹿にしたように笑う。


「まあ、聞いて。君たちはそのラノベみたいな悪役だから面白くて」

「なんだと!ぼっちの癖に!」

「そうだぞ、友達もいねーし、チャラチャラした彼女もいねー!そして、俺みたいにつり目じゃねー!」

「うるせーんだよ、くそリア充。と、失礼。笑いの提供なら余所でしてくれないか?」

みんなぽかんとしている。普段は大人しい僕がリア充相手に言い返しているから。ふと、視界に入った君はにやにやしている。

小さく拍手して感心するより教師を呼んでくれないかな。


しかし、なんだろうか。今までの鬱憤を晴らすかのようにぽんぽん出てくる。


「お前、マジで怒らせるなよ」

「あ、ちょっとごめんね」

そこへ割り込んで来たのは君だ。

実際ぼっちでも学校来てるのは君がいるからだ。

周りからクスクス笑われても君と挨拶出来るだけで通う気になる。


「なんだよ、朝日。俺とじゃれたいのは分かるが後にしてくれるか?」

「あはは、それはないかなー!私は日影君に用があるんだよ」

朝日は君の名前で、日影は僕の名前。ホント、正反対の名前だ。


「うぐっ!なんだと!」

「それと」

迫る嘉納に人差し指を突きつける朝日さん。

「私は、ラノベ普通に読むからね。読者を馬鹿にしないよーに!」

にっこりと笑い放つ言葉は嘉納達を黙らせる。

「俺も読むぞ、ラノベ!」

「私も、私も~!」

クラスメイトたちが声を上げる中、嘉納は居心地悪くなる。どうだ?ぼっちが教室で感じている居心地の悪さとはまた別の居心地の悪さだろう。


それよりも、君は僕に何の用なんだろう?



「たまにはお昼一緒しよー?」

「ええ?僕と!?ぼっちの僕と!?」

クラスの人気者の君にそんなこと言われるのは嬉しいが、周りの男子の視線も痛い……が、ぼっちの僕に同情的な人達もちらほら。


「まてまてまてまて!俺と飯食わねーでこいつと飯食うの?」

「うん、食うの。お昼、日影くんと。嘉納は私の何なの?」

「え?友達以上、恋人未満?」

「ないです。ごめんなさい」

ペコリと頭を下げ僕の方に向き直る君。


「なんだ、リア充っつっても他人との距離感分かんないんだなー」

「なれば某が秘蔵のラノベを朗読してやるでござる」

嘉納はぷるぷる生まれたての小鹿のようになり、クラスメイトに笑われているのは流石に同情の余地あるか。


「さ、行こ、日影くん?」

「え、あのその……」

戸惑ってる内に腕を引っ張られる。

その後、中庭で話してくれたのは君が魔法使いで、いつも一人で頑張ってる僕に挨拶する時に己を解放する魔法をかけていたようだ。



だから、あんだけリア充に言い返せたし、今は何処か世界が輝いて見える。



「でもね?この魔法は毎日かけないと行けないの。だから……」


風が吹いて揺れる葉の音が心地良い。

木漏れ日の中で君は笑顔で言う。



「これからもよろしくね」



僕はもうぼっちではないようだ。



「うん、こちらこそよろしく」



そう、きっかけがあれば変えられる。

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