油揚げ
コンは小さな神社の狐だ。昔はよくちょんまげした人や、着物着た女子達が、色々と祈願しに上等な油揚げをお供えしてくれていたが、コンクリートなビルが増えてから、最近お供えしてもらえなくて寂しかったけど、最近毎日お供えしてくれる女の子がいた。いつも寂しげで浮かない女の子は、いつも油揚げをおそなえしてくれたんだ。若いから学生かな?
その子は、雫と言って自分のことを話してくれた。
親はいなくて弟と二人で、暮らしてるそうだ。
でも、いつも明るくて、親戚の家をたらい流しになっても笑顔を絶やさなかったのに、いつからか、沈む日が多くなった。
「弟に逢いたいよぉ……」
その日は、朝から冷たい雨が降っていた。
泣きながら、亡くなった弟に逢いたいと繰り返してた。
その子の涙は、冷たい雨に打たれて隠していたけど。
僕は、いつも狐の石像で話しを聞いてただけど、次の日は、その子の弟に化けてみた。写真を見せてくれてたからね。
だから雫がここに来た時は、めちゃくちゃ驚いて抱きついて来たので、ちょっとドキドキしたけどね。
ある日、弟くんに化けてるのを、雫に見られちゃったよ。
「化けるのって狸でしょー?」
雫は、苦笑しながら、でも、少し切なそうな表情を浮かべ油揚げをお供えしてくれた。
バレてしまったのは、悪かったかなと思ったけど、その子と益々仲良しになったんだ!




